文房具アーカイブ#40『セーラー万年筆 シャレーナ万年筆(初期型)』
これ以上に小さく細い万年筆を私は知らない
セーラー万年筆 シャレーナ万年筆
商品スペック(目視、インターネットの情報などから)
今回紹介するのはクロム仕上げの定価3,000円、初期型14金。
初期型の14金はちょっとレア。
『シャレーナ』とは
最大直径6.6mmという驚異の細さを誇る万年筆(ボールペンも存在する)。近い細さで言うと文房具アーカイブ#16「オート えんぴつ風ミニミニシャープ」(最大径5.6mm)ではあるが、シャープ機構部が入ればいいシャープペンシルとは違い、ニブを小さく作らなければならない上にインクカートリッジ(コンバーター)がある程度ないといけない万年筆でこの細さは異常。小さいボールペン、シャープペンシルを文房具メーカーがこぞって作っていた時代が確実にあったのだが、その時代の産物ではないかと思う。(はっきりとしたソースはないが……。)
思うにユーザーが小さいペンを求めていたというより、メーカーが技術力の限界を求めていたのではないだろうかと思う。なにせ、小さいペンは身軽に持つにはいいが使うにはいささか問題があることが多いから。明らかにユーザー目線ではなく道楽のような、冗談のような小ささなのである。
使ってみた感想
入手した時点でカートリッジはなく、別売りでスリムコンバーターを購入した。手帳に使ったらかっこいいかなと思って一緒に持ち運んでいたが、とりあえずはインク漏れはなかった。ただしペン先からインクが出ているようで、キャップを開けるとインクがニブについていることがある。コンバーターが大きくないためインクも一度にたくさん入らないから大事になっていないだけかもしれない。コンバーターも吸い上げ方法が自分のような対して一気に手帳に書き込まない人は気にならないがたくさん書きたい人にはインク容量が不安になるかも。
小さいペンは握りにくいが万年筆はキャップを尾軸につければ長くなる(ペン先から約133mm)+金属軸なので握りにくいまではいかなかった。携帯用として考えれば十分。ただしキャップはネジ式ではなく嵌合式(かんごうしき:カチッとはまるキャップ)なのでペン先の乾燥やキャップ外れによるインク漏れには注意されたし。
自分の持っているニブは初期型の14金なのだが書き味は滑らか。14金+ニブ自体が小さいためしなりは小さいものの、この素晴らしいクオリティで1980年代の時点で3,000円で売ってた事実が恐ろしく感じる。というかこの小指の爪よりも小さいニブを作ろうとすること自体がすごい。廃盤品を漁ろうという気には全然ならないがこういう技術力を感じる文房具にはとてもロマンを感じる性分なので嬉しくなってしまう。
気になったら使ってみてほしい
このペンはもうすでに廃盤しているので(リニューアル版も)、店頭で売っていることはほぼないとみていい。インターネットで誰かが売りに出していたらいいねくらいの気持ちで。大抵プレミア価格補正ついているのでお気をつけて。
また、運よく本体が買えてもコンバーターがついていないと使えないのでご注意を。
※コンバーターも2022年に生産終了のためネットショップなどで探すが吉。(定価:500円+税)
専用カートリッジもあるがコンバーターが生産終了しているためにこの先を考えるとコンバーターでの運用がいいと思います。
Twitter
作家アカウント(という名の雑多アカウント)