文房具アーカイブ#6『プラチナ万年筆 #3776 センチュリー 春暁』
万年筆の頂から見る初日の出。
プラチナ万年筆 #3776 センチュリー 春暁
商品スペック(プラチナ万年筆公式プレスリリースより)
プラチナ万年筆のフラッグシップモデル万年筆「#3776」の限定軸。『富士旬景シリーズ』の始まり。ちなみにこれが出る前は2016年まで『富士五湖シリーズ』で5年間で5本の軸を発売していた。こちらのシリーズは『富士旬景シリーズ』より全体的に凛としていてシンプルめなデザインだった。
『富士旬景(ふじしゅんけい)シリーズ』とは
『富士旬景(ふじしゅんけい)シリーズ』とは富士が織りなす旬な景色からインスピレーションを得て新たな万年筆を創り上げたというもの。新たな万年筆と言っても『#3776』の限定軸かな、という印象がある。美しい風景には日本の美しい言葉が良く似合う。息を飲むような神秘的な景色と言葉の持つ奥深さが相まって生まれる世界観。その世界観を万年筆全体で体現することがこのシリーズの目指しているところのようだ。このシリーズは2017年の『春暁』から2021年の『錦秋』まで5年間、5本の万年筆を作っていた。その祖であるのが今回紹介する『春暁』なのである。
『春暁』の魅力
『富士旬景シリーズ』の祖、と先程書いたがこの5本の中で恐らく……恐らくだが『春暁』が一番人気がないように思う。後から出たほうが技術力が上がったりデザイン性が出たりして人気が出るということは本当に文房具ではよくあることなのだ。この後出た『薫風』が美しい青緑色で青緑色Loverが多い万年筆好き垂涎の一本になったのは間違いないし、そのあとの『六花(”ろっか”。”りっか”と読んだ人は手を上げなさい)』は切子細工のような美しい細工が光る透明軸でこれもまたインクを入れると美しいと評判、どこに行っても買えないと涙で枕を濡らした方もいただろう罪な奴なのである。『春暁』の魅力を言うのになぜ他のペンの話をするのよ!と浮気を問い詰められた男のような詰められ方をされそうだが、正直な話この後でたペンにはない「いぶし銀」的良さがあると思う。定番のブルゴーニュより明るく、強い光に当てると美しく輝く様は名前に違わぬ暁色。鈍い色ゆえに色の影は出ないが軸で輝く色は息が止まるほど。サムネイルも強い光を当てて撮影したものだが、撮影して分かる。そなたは美しい、と。後のシリーズにある彫りの深い切子細工はないものの、これには必要のないものであった。軸にある薄い線、これは夜と朝を分かつ一筋の光を示していたのだと。
プラチナ万年筆公式の『暁色』インクレシピ
プラチナ万年筆には混ぜられるインク『ミクサブルインク』があり、これでインクを好きな色に調色できる。レシピは
【シルキーパープル3:サニーイエロー4:シクラメンピンク5】
の割合になる。これはプラチナ万年筆公式で公開されていた「暁色」のレシピ。(なお、現在はページがないため引用できない)少しだけ作る場合はスポイトでこの数だけ垂らして混ぜるとよい。なお、その際は少し斜めにして垂らすこと。この方が比較的正確な分量で出てくるため。算数が得意な方は比の計算で入れる瓶の量になるまで計算する。スポイトは100均で5本パックくらいで売ってるのと『インク調色キット』(後述)にも入っている。
ミクサブルインクのサニーイエローはちょっとオレンジっぽい。シクラメンピンクはちょっとだけ赤っぽい。そこにシルキーパープルを合わせることで真っ赤よりも暗めの色になる。フレイムレッドは明るくオレンジ寄りなのでここで軸にシクラメンピンクを入れるのが暁色を作るのには最適解な気がする。というかインク調色の話も後々したい。
気になったら使ってみてほしい。
残念ながらこのペンは2017年7月1日から世界限定3,776本(シリアルナンバー入)販売~現在は流通分のみという「限定品」ではあるが、実は他の『富士旬景シリーズ』よりは手に入れやすい気がする。ただ、「他のものよりは手に入れやすい」というだけでどこかしこに売っているわけではないので見かけたら手に取ってみてほしい。シリアルナンバーはまぁ、いい数字だったらいいねくらいの気持ちで。
「暁色」を作りたい方はこちら
『ミクサブルインク』と
『インク調色キット』をどうぞ(薄め液があるので色の幅が広がる)
(リンク先にインクと調色キットのセットもあるので参考までに)
文房具との出会いは一期一会。気になったら買うんだ。
今回はここまで。ちょっと長いけど年始だからいいよね。
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