読みたい②
食べたくて仕方ないの。ふっくらと太った魚の腹部に歯を立てた。
溺れていく雨蛙を思い出して、嘔吐してしまった。
魚は目を見開いて、光って意外と遅いのねと嬉々としている。
雨蛙が干からびていた。
私は弟を頭の中で殺ってしまった。だから、PCを起動させて、その絵を描こうと思った。
緑のメッシュをカビだらけにしてやった。新しいグラスで水を飲みながらもっと描いた。
飲み込んだ水に違和感を感じた。ヌルッとしたものを嚥下した感じがした。指で舌の奥を押して、咳込みながら水を吐いた。
違和感の正体と思しき物体が口から飛び出した。眼球のような形に見える。
辺りを見回すと、巨大なチョコレートの箱紙がたくさん宙に浮いていた。とてつもない罪悪感に襲われた。
私は涙しながら、PCの絵を消し、四方八方に土下座をした。それだけでは足りないと思い、もう一度描き直した。弟の笑った顔と楽しそうな体を描いた。
すると、チョコレートの箱紙は消えた。
だが、魚が泣きわめいていた。何故だ?
突然寂しくなった。姉の部屋に行って、一緒の布団に入れてもらおうと思いついた。何故だか、怖くなってきた。目の前に、見えない顔が凝視しているからだ。空気の温度で判る。部屋や廊下の明かりをいちいち点けて、姉の部屋に行った。
姉はまだ寝ていなかった。自分のノートPCを開いて、詩を書いていた。魚を思い出して気持ち悪くなってしまった。
私は、早く寝ろよと姉に言った。姉は、今から寝たら朝起きられないと返事をした。
頭が痛くなってきた。