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書き言葉と話し言葉の違いは、言語化能力の高さに影響があるか
前回は以下の記事で書き言葉と話し言葉に対しての私の考えを取り上げました。本記事では、書き言葉と話し言葉の違いは、人間の言語化能力の高さに影響があるか、私の考えを述べたいと思います。
言語化能力とは?
私がなぜ言語化能力を本記事で取り上げようとしたかというと、私がWebサイトやSNSで言語化能力について目にする頻度が増え、なんとなく言語化能力のイメージはあるものの、整理してみたいと考え、前の記事で書き言葉と話し言葉について取り上げたので、そこと関連付けた記事を書いてみるのは面白いと感じたためです。まずは、辞書で言語化能力について調べてみました。「言語化能力」では検索できなかったので、「言語化」で検索しました。
①言葉で表現すること。②感情や直感的なものを説明・伝達可能にすること。
つまり言語化能力とは、言葉で表現する能力であったり、感情や直感的なものを説明する能力のことを指し示すものであると思います。今回初めて「言語化」を辞書で検索しました。その際私は、言語化の意味①の「言葉で表現すること。」と言われれば、言語化とはそういうものだとすぐに納得できるのですが、意味②の「感情や直感的なものを説明・伝達可能にすること。」と言われると、説明・伝達可能にできれば、その際に用いるのは言語でなくても良いのか?と思いました。そして、もしかしたら意味②は、以下のように省略されているのかとも思いました。
感情や直感的なものを説明・伝達可能にすること。
=
感情や直感的なもの等、言語ではない感覚的なものを、他者に説明し、伝達されるように言語等を用いること。
ここで、上述の言語化の意味①と②は全く同じのようで微妙に異なるものだと考えました。以下の通り整理しました。
①:書き言葉や話し言葉によって、目に見えたり耳で聞こえたりする形を作ること。形を作る人がいれば成立し、必ずしもそれを見たり聞いたりする相手が必要なわけではない。
②:感情や直感的なものを書き言葉と話し言葉で説明し、説明を聞く相手が分かるような形を作ること。形を作る人だけではなく、それを見たり聞いたりする相手が理解できるという評価が必要である。
①と②の違いを簡潔に言うと、以下のように整理しました。
① = 伝える
② = 伝わる
「伝える」「伝わる」の考え方は後述しますが、ひとまず、言語化には「伝える」「伝わる」の両方の意味を含むということがわかれば良いと思いました。
以上をまとめると、言語化能力=伝える能力、相手に伝わるようにする能力ということが本記事を執筆しながら整理できました。
言語化能力の高さは、書き言葉と話し言葉の得意不得意で変わるか
前の項では、言語化能力とはそもそも何かということを整理しました。次に考えたいことは、書き言葉と話し言葉の得意不得意によって、言語化能力の高い・低いが決まるのかということです。仮説を置いて議論を進めてみることにします。以下の仮説を置いてみました。
書き言葉も話し言葉も、得意である。=言語化能力がかなり高い
書き言葉は得意であるが、話し言葉は不得意である。=言語化能力は比較的低い
書き言葉は不得意であるが、話し言葉は得意である。=言語化能力は比較的高い
書き言葉も話し言葉も、不得意である。=言語化能力が低い
それぞれ見ていきます。
1.と4.については特に異論なしで問題ないと思うので、ここは飛ばします。
議論となるのは、2.と3.が果たしてどうなのかというところだと思います。
比較的低い、比較的高いと、「比較的」という言葉を入れたのには理由があります。それは、言語化能力の高さを決める要素としては、話し言葉の方が書き言葉よりも優位に立っている、つまり同じ得意と言っても、話し言葉が得意の方が言語化能力がより高いということを述べたいからです。なぜかというと、私の中の独断と偏見ではありますが、以下を前提とした考えがどこか根付いているのではないかと思うからです。
Ⅰ:自分の考えを、その場ですぐに相手に伝わる形で表現することは、話し言葉の方がよく見られる。それが難しいことだからこそ得意な人は言語化能力が高いと言える。
Ⅱ:その場ですぐに言葉にしなくても、自分でじっくり考え書き言葉で伝えることは、即興ではなく時間に余裕があり、どんな人でもできるので特に言語化能力が高いとは言いにくい。
I:については、私があまり持っていない部分で、若干羨ましいみたいな気持ちの現れかもしれませんが、会議やプレゼンテーション、テレビスタジオの司会者から話を振られた時の受け答えなどの話し言葉で迷いなく表現している人を見ると、「すごい、これは言語化能力が高いって納得できるな」と感じます。
Ⅱ:については、端的にいうと「誰でも時間をかければできるでしょう」という若干精神論的な、やればできるという考えに基づきます。
本記事では、テーマとしていることに対し答えを出すというよりかは、テーマについて考える切り口を提供するということを目的としているので、あえて自分なりの考えに落とし込むというよりかは、自分なりの考えに落とし込むまでの過程で気づいた観点を述べています。
次の2人がいたときに、どちらの人を言語化能力が高いと言えるかどうかを考えるのは面白いと考えました。
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