クラール視点SS【瑠璃の鳥と星の巫女】Another

二週間開催の定期更新ゲーム【Colorful OneRoom】にて
有り難くも成立させて頂いたうちよそのお相手様(南村様)がアフター小説を綴ってくださっておりまして……!!(挿絵付きで死ぬ)
稚拙な文ではありますけど、この一話につきましては私、ねこのキャラクター、クラール視点が綴れそうだな~~~~と思ったので思った次第であります。
この時間で書いたので流石に絵とかは無いし読み直しも殆どしてない書き殴りですけど良かったら、南村さんの書いてくださった一話の後にでも……読んで頂けたら嬉しいなー!!みたいな感じです!!
前置きが長い!!(平手打ち)




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海から上がってからの景色は、見ている余裕は余りなかった。

海水の冷たさだったり、上がってから風に、肌が空気に触れる事での寒さだったり、そうでなくても不安定な飛行だったり。
ぎゅう、と青年の首周りに腕を回して抱きついて身を寄せる。

ただ、どれだけ寒くても、不安定な空中の中でも。
今、自分の視界に入っているのは、自分の視線を捉えているのは。


愛しい人が湛える全ての青色だ。





砂浜に降り立ってから、空色に微かに虹が混ざった髪を持つ少年は、集まった沢山の鳥を見上げた。
此処まで己を抱いて飛んでくれていた青髪の青年の隣に、ぴったりと寄り添っている。

……自分の全く知らないこの場所に集うのは、鳥だけじゃない。
ゆっくりと、目線を自分達を囲う人々へ向ける。
人々を見る。”いろ”を視る。

少年がいた場所――自分という星、世界の理が違うと幾分視え方も異なるかもしれないが、意識をして視ようとすればよりはっきりと”いろ”を捉える事ができた。
好奇、不安、不審、……或いは”青い鳥”は幸福を運んでくると信ずる者には、期待や喜びに、それに連なる”いろ”もあるだろうか。

振る舞いをどうするべきか、そも王という存在が治める国は、民を見ればある程度どのように治められているか予想もある程度でできはする。
王への謁見と恋人が言っていたものだから、その前に民を見ることで、視ることで、どのような生活基準であり、どのような王政を敷いているか、果たして民を治める王は――などと、寒いながらにもそんな事に思考を回していたが。

「――おや、青っぽい目の子がいるね」

恋人の声に、思考が途切れる。

「…………青い、鳥の人、だ」

砂浜に集っていた人々へ向けられていた視線が、青年の翼を見て呟く少年へと向いた。
青紫色の瞳、おかっぱ頭の子。
身の丈はほぼほぼ同じくらいか、見た目だけなら自分と余り変わらぬ年の頃か。
会話を交わす二人の話を聞きながら、きらきらと目を輝かせるその子を眺めていて。

視線が合う。
ぱち、と瞬いて、

「あなたは……」
「っはくしゅ」

問いが此方にも来た事は分かったけれど。
……これからの為にと思考を巡らせて気を逸らしてはいたものの、寒いものは、寒い。
こんなに冷たいとか寒いとか、感じた事なんて一切ない。

当たり前だ。
自分は星だったのだから。

人の身で冷たい海に落ち、風に晒され、それでいて丈が短い衣服……下着のようなもの一枚で。
ともあれ寒かった。寒いだとか冷たいだとかがこんなにも辛いものだとは。

一度意識してしまうと元々細かに震えていた身は更に少し大きな震えになって、青年に抱き寄せられるとこくこくと何度も小さな頷きを返す。
腕をさすられると、幾分マシになったようにも感じた。

寒さに流石に考える余裕も無くなってきて彼の語る言葉を聞く。
視線が翼へ自然と移った。
人々の驚く声も気にせず、綺麗な青色の翼を見る。
そうして次に鳥達を操る様を見て、泣きそうな青年の表情に気付いてか、それとも偶然か、ぎゅ、と彼の服を握り締めた。

話は続く。

王宮。
博士。
巫女王。
……この子の名前は、桔梗。

瑠璃の鳥が海からやってくるのを待っていた。

話の大切そうな所だけ頭に入れて、おいで、の青年の声に頭を擦り寄せる。
おかっぱの少年が――桔梗が見ている事に気付けば、以前程ではないにしても尚、星空を湛える瞳を細めて、ゆるやかに、唇に弧を描いた。




(……暖かいって、こんなにほっとする事なんだ)

広い部屋の真ん中。
囲炉裏のような所で火に当たりながら、そうして半纏を身に纏いながら、少年は思う。
暖かいという事が心地良いというのは知っていたけれど、冷たさを、寒さを知ってより一層暖かさというのは安堵するものなんだな、と考える。

恋人が――鳴夜が、此方を見て微笑んでくれるものだから、自分も胸が暖かくなった気がして、頬を緩める。

やがて。
高貴たる少女が現れれば、自然と視線がそちらへと向いた。
王、と言うと自分の星では男性が多かったものだったが、”巫女”王とは、なるほど。
年の頃も少女と言って差し支えない程の。

「!」

失礼にならない程度に観察をしていたが、羽根が当たると肩が微かに跳ねて意識が翼へ向かう。
ずっと翼――というより、その青色に意識が取られる事も多かったけれど、そう言えばきちんと翼として、愛しい人の身体の一部として見るのはなかったか。
色ばかりに気を取られていたが、良く見れば大分触り心地が良さそうだった。

(……、後で触らせてもらおうかな……)

なんて、そんな事を考えていた中で。

「触っても構わぬか」

巫女王のその言葉にぱっと視線が彼女へ向いた。

「この翼は、僕にとっては体の一部です。
 だから髪の毛を触られるようなものでして、正直言えば、あまり歓迎は出来ません。
 触られるのが得意じゃないもので……ですが、この国の王である殿下のお頼みとあれば断れませんね」

そしてすぐにぱっと青年に視線を戻した。

(…………)

翼に触れる少女を見る。
好奇心だとか興味だとか、その類、でのものだろう。
確認だとかそいうのもあるかもしれない。

が。

ひっそりと少年は思う。
最初に触るのが自分で無い事も、この綺麗な青い翼に他人が触れる事も。

(――……おもしろくない……)

なんて、そんな態度はおくびにも出さないが。

それから暫くは、炎を見ながら話に耳を傾けていた。
自分たちが此処に訪れた理由、その方法。
事実そのままを話す事に、さて、この少女は、広間の奥に在る人々は、果たして信じるのだろうか。
全てを全て信じなくても良い、けれど少しでも何かしら、この土地で過ごしていく取っ掛かりができれば。

「――――……隣のクラールは、そんな僕の理解者であり、僕を見守ってくれている『星の巫女』――と呼ぶべき存在にして、僕の大切な伴侶です」

伴侶。
……その言葉が嬉しかったのでさっきのおもしろくないと思った事は帳消しにしようかな、なんて。

そうではなくて。

視線が、鳴夜へ向かう。

「星の、巫女――ボクが?」

星の巫女。
自分の事をそのように語る彼に、瞬きをひとつ、ふたつ。

「そう。君は遠い宇宙で消えてしまった星の化身だ。
だからきっと、この国で君は何かの力になれるはずだ」

消えてしまった星の化身。
何かの、力に。
目線が一度斜めに落ちる、けれどそれも少しの間。
巫女王と呼ばれる少女を、まっすぐに見据える。

元々は遠い宇宙の星であった事。
”いろ”が――人々の、生命の感情、だったり。
生きているものの生命力であったり。
そういうものが視える事。

例えば”いろ”が褪せれば何かしらの病を抱えていたりだとか、”寿命”が近いだとか。
空気が淀んだ場所や、穢されたようなものであれば、”いろ”の淀みとして捉えるだとか。

如何せん、当たり前に自分の星にあったもので、視えるものだからこそ説明は難しかった、が。
淀み、という言葉に反応した巫女王に、ぱちりと瞬きを落とした。

「そなた、"淀み"と言ったか。
 そなたの言う"淀み"と同じかは知らぬが、"淀み"はこの国を、島を、脅かす存在ぞ。
 それをそなたが真に見えると申すのなら、この国の巫女としてわらわは歓迎するであろう。
 星の巫女よ。命を守る神託を、民に授けてみせよ」

国を、島を脅かす存在。

(……そういうものが、此処にも、あるんだ)

自分の星での淀みは、星全てを呑み尽くし滅ぼすものだったけれど。
この国でも、似たようなものがあるのだろうか。
いや、

(命を守る神託……)

きゅ、と両手を握りしめる。
少しばかり、また視線が床に落ちた。

少女が詠む唄を、語る言葉を。
――何を言うでもなく、ただ静かに、耳を傾けていた。



人間態様々

資料置いとこうね。ここに星の色とりどりのネックレスが付与される……感じ……(描け)
ブーツお揃いなの嬉しくなっちゃったよね なっちゃった デザインもうちょっと和に寄せても良かったかな~~~~(和、好き)

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