餘部橋梁物語 第30話いよいよ工事始まる
皆様こんばんは、昨日の猫尾とお上はどうなったのかって・・・ちょっと興味あるかもしれませんが、その辺は大人の事情で・・・(^^ゞというかその辺のことは全く配慮していなくて今日から、いよいよ架橋編なんですね。
まぁ、当時を想像しながら書いていますので、史実と異なるというよりも史実も何も無視した出鱈目ではありますが、まぁ気軽に読める小説として見ていただければ幸いです。
現場の朝は早い、未だ肌寒さを感じる朝7時、三々五々と猫尾の元に妊婦じゃなかった、人夫が集まって着ました。
「おっす、猫さん」
「おはよう、やまちゃん。」
「おはよう、今日から頼むで、猫。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。西山さん。」
「おはよう、よろしくお願いします。」
「おー、たのむで~。さとし。おまえさんが一番若いんだからな。」
そんな感じで、ドンドン人夫たちが猫尾の元に集まってきました。
とくに、「さとし」と言うのは今年中学を卒業したばかりの15歳、いまでこそ、多くの場合高校へ進学というのが一般的ですが、当時は中学卒業で働き出す場合が圧倒的に多く、それも地元では仕事がなくて、集団就職として東京や大阪に働きに出る場合がおおかっただけに、地元の建設会社に就職できた、「さとし」はある意味、皆に羨ましがられたのです。
7時半になると、猫尾が集めた人夫は概ねあつまりました、ただ1名の例外を除けば。
彼の名前は勇二、いつも遅刻するので有名でした。
本当は、彼を工事に加えたくなかったのですが、並外れた力持ちであり、今回のような人海戦術の場合にはどうしても必要な人材だったのです。
親方への約束の時間は8時、猫尾の会社から親方の会社までは歩いても10分ほどでいけるとは言え猫尾は気がかりではありません。
万一遅れたらどうしようか、そんな不安が最大になりかけた頃、
「親方、遅れて申し訳ない。」
「勇二、まだ大丈夫だ。よかった、よかった。」
勇二が遅刻せずにやってきてくれたので、猫尾が集めた人夫は全員そろいました。
猫尾は、総勢10人を引き連れて、親方の元に急ぐのでした。
時間はすでに、7時45分、今から歩いてもちょうどいい時刻となりました。
さあ、これから彼らはどんな働きをするのでしょうか。
こうご期待。