余部橋梁物語 第44話 忍ぶ恋
> 「今日はよ、現場に小学生のガキ大将が来てよ、仕事手伝わせてくれ・・・」と言ってきた。
> まぁ、子供の気まぐれとはい助かったもんだ。
> 親方の言葉に頷く猫尾でしたが、こうして女将の店では、二人きりになりたい猫尾の願いもむなしく、親方たちによる夜の部は続くのでした。
さて、すっかり夜も更けて時計の針は午後10時を指しています。
田舎の夜は早くて、8時には寝てしまう人もいるほどで、午後10時までといったら、それこそ深夜3時くらいの感覚です。(大阪のミナミなんかだったら午前1時2時でもにぎやかですけどね。(^^ゞ)
親方の声が響きます。
「女将、付けておいてくれ」
そういうと、親方は数人の人夫と一緒に帰っていくのでした、その中にも猫尾が、多少未練惜しそうな顔をしながら出て行く姿がありました。
女将のほうから声をかけようと思いましたが、さすがにはしたない事なので女将もそのままそっと見送るのでした。」
女将は心の中で、いつもすれ違いだわ・・・、私の気持ちを判ってくれているのかしら・・。
今と違って、メールなども無い時代、手紙が唯一のやり取りだった時代、まして女性のほうから積極的に声をかけるなんて事ははしたないことといわれる時代でした。
忍ぶ恋なんですね、辛いですね。
こりゃーいい最高の親善結婚だ・・・・なんてことにはなりませんからね。
(このフレーズ判った人は、多分私と同じ漫画が好きでしょう。笑)
そんなばかげた話は置いておいて、話を翌日に進めましょう。
翌日も朝から雲ひとつ無い五月晴れ、仕事もはかどるというものです。
親方は、早速人夫を集めて一通りの説明を始めます。
草刈は終わっていますので、今日から本格的に整地と山の一部切り出しなどの作業が入ってきます。
今日から本格的な作業の始まりといえるかもしれません。
草を刈り取った駅予定地は結構大きな石なども残っていたりします。
そうした石を取り除き、ひとまず下に設けた集積場に運ばねばならず猫尾以外の一人親方も今日の作業はきついなぁ・・・思わず弱音を吐きかけるのでした。
そんな折、14:00頃になった頃でしょうか。
下のほうから、声がしてきました。
どうも聞き覚えのある声でした。
そして、それを見て猫尾はびっくりするやら、ほっとするやら。
その声の主は誰だったかって?
それは明日のお楽しみといたしましょう。
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