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餘部橋梁物語 第20話 まさか自分の子供がきっかけ?

前回は、太助が町の居酒屋で餘部の集落に駅が出来るというところで終わっていたと思います。

よろしければ、しばしお読みくださいませ。

> 「餘部に駅が出来るのか、噂では聞いていたけどな。これは、おっかあに知らせてやらんといかんなぁ。」
> そう呟くと太助は、「みんなすまねぇ。先に帰るけ。」
> そういって、店を足早に出て行くのでした。
>太助は、女将に一言、「付けといて」と言うと足早に駆け出していくのでした。

残った同僚は一同に、(・。・)ぽかーんとした表情で、見送るのでした。

しかし、しばらくすると、太助と一緒に飲んでいた人たちは、他愛のない話、時には猥談を交えながら杯を空けていくのでした。

太助の家はどうなっているのでしょうか?

「おっかぁ、いい知らせだ。」

太助が、帰ってくるなり大きな声で叫びます。

「どうしたんだい、大きな声で、そんなに大きな声出さなくても聞こえるよ。」

妻の、ムメが奥の台所から顔を出します。

「決まったんだよ、例の話」

「決まったって、何が決まったのさ。」

「だから、例の話だよ。」

「もったいぶらずに教えておくれよ。」

「決まったんだって、俺たちの町に駅ができるんだ。」

そんな会話が、交わされていました。

しかし、太助の息子が書いた手紙が、まさか駅設置の原動力になったとはその時点では知る由もなかったのです。

太助は、少し興奮気味に、「太郎も起こそうか。」

といったところ、妻のむめに、

「もう遅いから、起こさなくていいよ。」

叱られてしまいました。

「それよりあんた、晩飯は食べてきただか。」

  「いや、酒を少し飲んだだけですけぇ、飯がほしいなぁ。」

太助は、食べながらも少しづつ、居酒屋で聞いた話をしていくのでした。

きょう、町の役場に電話があり、駅の設置が決まったと連絡があったこと。

電話の相手が、兵庫県知事だったので町長緊張して机の前で直立不動で電話をしていたことなど、必要にない話まであれやこれやと、身振り手振りを交えながら話すのでした。

最後に、詳しいことはわからないけど、来年には駅が出来るらしいと・・・・しかし、実際には実行の際して駅を設置するための工事や土木機械が入れないためその殆どを手作業ですることになったため実際の完成は、このお話からさらに2年ほど待たねばならなくてはなりませんでした。

むめは、何度も頷きながら、よかったね、よかったね。と何度も繰り返すのでした。

さて、この続きは又明日以降にさせていただきたいと思います。

さて、いよいよ次回から、餘部駅設置編がスタートします。

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