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余部橋梁物語 第41話 ガキ大将が乱入?

前回は、機材の搬入を気にしたまま帰った所でお話が終わっていたと思います。

> それを遠巻きに見ながら静かに頷く加藤係長でしたが、やはり気になるのは駅ホームを実際に作る段になって必要な機材をどうして運ぶのか・・・。
> また新しい疑問を持ちながら、加藤係長はその場にしばらく佇み、解決策を考えようとしているのでした。

さて現場では、親方の号令一家、蜘蛛の子を散らすように人夫たちは各々の持ち場に散っていくのでした。

それを見届けると、加藤係長は足場の悪い道をおりながら、待たせてあった浜坂保線区の車に乗り込み浜坂駅に向かうのでした。

さて、ここは場所が変わって福知山鉄道管理局の施設部、本社からの指示でで予算と工事命令書に基づき、基本設計は終わっているのですが作業はやっと端緒についたばかり。

細かい設計作業の詰めは係長の出張を待ってということになっていました。

当初の計画では、重機を搬入という予定をしていたのですが、搬入すべき道がないことは事前の地図等で確認できていたのですが、係長の答えはそれを裏付けるどころか、建築自体可能なのか_と思わせるほどの難工事であることがわかったのです。

重機を入れることは不可能、そうなると工事の殆どは当初の予定通り人力に頼るしかないが、一部工法を変更する必要があるかもしれない。

工期を延ばしたいが悪戯に延長すると、今度はダイヤ改正のことも考慮する必要があるのであまり後ろにも持っていけない。

ひとまずは、人夫の増員にかかる経費は管理局予算の予備費で賄うこととしました。

さて、それでは再びマイクを現場に・・・松宮さん、松宮さん・・・じゃないって。(^^ゞ

場所は変わって、餘部橋梁の建設現場です。

昨日、猫尾に質問したガキ大将の次郎が子分を引き連れてやってくるのでした。

開口一番、二郎が猫尾に、「おっちゃん、俺たちも手伝えることあるかな?」と聞いてきました。

猫尾は、「子供に出来ることなんかないから、帰れ、帰れ・・・」とぶっきらぼうに答えました。

ガキ大将の二郎は、そんなことくらいではへこたれませんでした。

「俺たちだって、石を運ぶくらいのことは出来るさ・・・。」

二郎も中々引きません、根負けした猫尾は、

「邪魔にならないところで見ておけよ」

と言ってそのまま仕事に戻ったのです。

そうして、昨日遣り残した草刈を始めるのでした。

それから1時間ほど、ふと振り返るとガキ大将の二郎がこれまた子分の子供たちを連れて草むしりをしているではありませんか。

猫尾は感心するやら、自分たちの仕事が取られたように思い、

「おいおい。何してるんだよ。」

二郎は、

 「おっちゃんたちの仕事手伝いたんだ。だって、俺たちの駅が出来るんだろう。」

「坊主、危ないからやめときな。おっかあに叱られんぞ。」

 「おっちゃん、でも俺たち、手伝いたいんだ。」

「昨日おっかあにも言ったら、邪魔になるから止めときなっていわれたけどな、やっぱり手伝いたいもんなぁ。」

二郎はまくし立てます。

 それを聞いた猫尾は、判ったからちょっと待ってろ親方と相談するから・・・。

そうして、猫尾は二郎をその場に残して、親方に相談しに行くのでした。

さて、この続きはどうなるのでしょうか。

また、明日以降のお愉しみといたしましょう。

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