Contax IIaで(目測で)撮影した東京・江東区の街並み
カメラが増えました。
カール・ツアイスのContax IIaです。
カール・ツアイス(厳密にはツアイス・イコンと言うべきなのでしょうけど)は第二次大戦前にライカ(これも厳密にはライツ社)とレンジファインダーカメラの2強扱いで、1932年に作られたContax IIはその代表格で、当時の水準ではとにかく高級で贅沢なカメラだったようです。
そのContax IIを全体的に小型化・アップデートして大戦後の1950年に発売されたのがこのContax IIaです。
僕が手に入れたカメラは、シリアル番号を頼りにすると1956年から57年の間(レンズのほうは、1953年から59年の間)に作られたもののようです。
小型化というのは、重量にして15%、外観サイズは20%くらい小さくなっている。
プレイステーション2が途中から薄型モデルに変わったみたいなものですね(本当かな?)。
もっともプレステ2が機能的にはほぼ同じだったのに対して、Contax IIaはピント合わせの精度を決める基調線の長さも、サイズに比例して短くなってしまっている。会社そのものも戦後に分裂しちゃってるし、これはもう別のカメラ、だと思う。
カメラを受け取ってからよく状態を確認すると、全体的に綺麗だし、シャッターも正しく動いている。
しかし、ファインダーの中のピント合わせの二重像が見えない。ファインダーが茶色く曇っているからかもしれない。さっき基調線の話を持ち出したけど、これでは距離計によるピント合わせができない。
仕方がないので、ピントリングの目盛りをたよりに、目測でピントを合わせるのとにする。
世の中、目測でピント合わせるカメラなんてたくさんあるわけだし、最初からピント合わせ機能なんかなかった、と開き直れば、たいした問題ではありません(そうかな?)
撮影場所は、カメラを引き取った江東区周辺。本当は東京都現代美術館に行こうかな、と思っていたけど、暑かったし移動するのが面倒くさくなって、その辺りで歩きながらとりました。
改めて撮影してみても、各部の動きはスムーズである。シャッターも切れるし、速度も変わってるっぽい。このカメラのシャッターは、縦走り式の金属シャッターで、「ガキャ」っていう硬質で律儀な感じの音がする。
この写真は、川面がうまく撮れました。これまでの写真を含めて、露出が思ったよりも強く出ている気がするけど、カメラの機能としては、うまく働いている。
一方、目測でピントを合わせているから、いまいちピントが決まらないものもあります。
予想された失敗写真です。
それと、レンジファインダーカメラの宿命的に、ファインダー越しの構図と、実際の写真でずれがある。
↑の写真は地下鉄の駅の入り口の階段を、天井の照明と一緒に撮影したのだけど、おもったよりも構図が上の方によってしまった。
今まで使っていたLeica IIIfよりもパララックスが大きいのかもしれない。
ピントの話にもどるけど、意外とうまくいったのが次の写真。
お寺に並んでいたお墓の木桶だけど、露出もコントラストもうまくいったのか、木目が綺麗に写りました。けっこう近距離のほうが目測との誤差が少なくなるのかもしれない。
ところで、僕はこのカメラとレンズを、官公庁オークションで手に入れました。
どういった経緯で公売にだされたかは知る由もないけど、引き取り先が東京の都税事務所の徴収課だったことを踏まえると、円満に引き取られたものではないかもしれない。
でも、カメラはカメラだし、ボートはボートです(村上春樹っぽい表現)。ちゃんと使えれば、問題なしです。