『特捜エクシードラフト』

92年『特捜エクシードラフト』
色々、詰まってる。
レスポリは無論、戦隊、ライダー、宇宙刑事、メタルダー、ウルトラマン、ノアの方舟、処女懐胎、ハルマゲドン、『サイボーグ009』 の天使編・神々の戦い編……。
特撮ヒーローの総決算であり、分岐点となった作品といえる。

憎い相手であっても、慈悲・情け・許しをかけ、償いのチャンスを与える。そんなテーマで始まったレスキューポリスシリーズ。
いわば 『月光仮面』 をはじめとする川内ヒーローの再燃ともいえる(?)他のヒーロー作品と違うのは、先端科学が普及している近未来を舞台としながら、法律や倫理は現代に基づいている、というところ。低年齢層向けとしての商業的志向と、シリアスなドラマを重視する風刺的な志向とのバランスにも苦心してきたのではないかとも思われる。
”あらゆる事態に備えて” と強化されるアイテム群。
従来ヒーローとしてのかっこよさやおもちゃ商戦としての対策、何かを破壊する・打ち倒すカタルシスがどうしても求められることから、シリーズを経るごと増していくが、それはまた抑止力としての軍拡、凶悪犯罪に対して武力制圧の必要性が求められる現実ともリンクしているかのよう?
『ウインスペクター』 において黒田鬼吉が指摘した「お前たちの正体」。
商業・権力・武力は、近接性を持ったものだといえる。

どんな凶悪犯でも救う、でもそのために犠牲者が出てしまう、といった矛盾はシリーズ中、様々に描かれている。
鬼すぎる 『ハーバード白熱教室』 みたいな。

結局、明確な答えが出せぬまま、『エクシードラフト』 では、宇宙生命体の登場や、神と悪魔との戦いなど、人智を超えた存在との戦いへシフトしていく。
救命用のトライジャケットから戦闘用のバトルジャケットに変わり、立ち回りも暴れる犯人を取り押さえる、リアルっぽい立ち回りから、アクロバティックでスピーディーなアクション映画としての魅せる立ち回りへと変わっている。

以後の作品が独自の世界観に基づくルールで、敵を倒す、制裁していくより他なくなってしまったことのターニングポイントだったともいえる。
現実の法律・倫理を踏まえた上での極限の状況への向き合いを描いたシリーズは、以前にも、以後にもなかったといえるかもしれない。
作ってる側としてはかなり悩みながらだったのかもしれない。

情報が錯綜し、先端科学が現実に普及し始めつつある2020年代、もう一度、レスキューポリスシリーズを引き継ぐ作品が作られないだろうか。
なんてことを思ってしまった。

#特捜エクシードラフト #レスキューポリスシリーズ #メタルヒーローシリーズ

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