『特警ウインスペクター』

90年『特警ウインスペクター』
悪人を「倒す」ではなく、「逮捕する」「償わせる」、命の危険があれば「助ける」と、悪との向き合い方、善と善の対立など、難解なテーマへの挑戦が行われている、レスキューポリスシリーズの第1作。
『セーラームーン』やプリキュアシリーズの直系の先祖ともいえる?

出演陣も豪華。
V3(アオレンジャー、ビッグバン、ズバット)を司令官に、キカイダー、ストロンガー、ジライヤ、ダイアナ、イデ隊員、神官ポー、とかが出てきたり、フラッシュマン、ターボレンジャー、ゼネラルモンスター、デスギラー将軍、とかと対峙したり、ウルトラマンが難問を残していって次作への布石としたり……。
ウルトラマンが最初と最後を飾るのが何とも意味深、と思うのは自分だけ?

『リトル・ピープルの時代』では 『ウルトラマン』 シリーズと『仮面ライダー』 シリーズの変化と時代背景が語られていて、その中でのメタルヒーローはウルトラと仮面ライダーの融合と位置づけとされていて……。
『特警ウインスペクター』 はこれらの語りとはまた別の語りが必要なような……?

「どんな凶悪犯でも、人の命に変わりはない」
(第41話・香川竜馬=山下優の台詞)

「正木、お前はわしを撃とうとしたな。
やっぱり獣だったんだ。
それがウインスペクターの正体だ」
(第49話・黒田鬼吉=黒部進、
正木俊介=宮内洋に向けた台詞)

V3が託そうとした次世代の正義のコンセプトが、ウルトラマンによって揺るがされているのが絶妙。それを宿題に『ソルブレイン』 へとつながっていく。

警察の特殊部隊でありながら情報解禁しまくりで「?」 と思えてしまうが、冷戦の空気が残っている時代、いわば抑止力としての存在、として捉えれば、最終回での黒田と正木のやりとりに含蓄が増していく。

他にも諸々、グーグルスピーカーや(第47話)、ワークライフバランスなど(第2話)、現代・近未来につながってくるモノや考え方が出てきていて、本当にエポック作品だったんだなと思える。

特撮の低迷期、商業性、革新性、子供向けの描写とシリアスな描写、諸々のバランスを考慮しつつ、ヒーローを演じてきた人たちによって「正義」 への疑念が語られていく。

宇野常博的にはリトル・ピープルのうちの一つ、30代半ばにとっての”かっこいい” の刷り込み、島宇宙の一つに過ぎないけれども、これは再注目されてほしい、島宇宙なのではないのかな、なんて思える作品。

#特警ウインスペクター #レスキューポリスシリーズ #メタルヒーローシリーズ

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