涼村さんご=キュアコーラル 『トロピカル~ジュ!プリキュア』
”普通” に徹しようとするあまり、引っ込み思案になってしまったキャラクター。
自分の価値観が浮いてしまうことを執拗に恐れてしまう、日本社会に育った者のほとんどが抱えてるであろう悩みが、さんごに表徴されている。
みのり・あすかが、人の輪から離れていた所から回帰していくストーリーラインになっているのに対し、さんごは人に埋もれていた所から飛び出していくストーリーラインとなっている。
モデル活動など人前に出ることにチャレンジしていくうちに、自分と同じく自信が持てずにいるモデルの子たちを見かけていく。その子たちのメイクを手伝っているうちに、それ自体に自分の意義を見出すようになる。
”普通” から飛び出した先に、まなつと出会う前の自分が他にもいることを発見し、その人たちを後押ししたいという選択肢を持てるようになる。
『トロプリ』は、孤立からの救済、また集団心理による息苦しさからも解放する作品でもあったといえるのかもしれない。
’90年代セーラームーンが、令和においてリブートされた作品であると、私は思っている。