プリキュア分類例
プリキュアシリーズの分類例(管見の限り、独断)。
バディ型:初期レギュラーがふたり、キャラクターが対称的に描かれやすい。初代、SS、ハープリ、スイプリ、まほプリ、スタプリ、ひろプリ。
奇数型:初期レギュラーが奇数、セーラームーンと比較しやすい、月野うさぎタイプがセンターに立つ傾向。5、フレプリ、スマプリ、Goプリ、キラプリ、はぐプリ、ヒープリ、トロプリ、デパプリ。
不明:ドキプリ
主人公・センターキュアをセーラームーンのキャラクターを基準とした分類例。
月野うさぎタイプ(ドジっ子、人情家、大器晩成)
のぞみ、ラブ、みゆき、めぐみ、はるか、いちか、はな
愛野美奈子タイプ(おっちょこちょい、何らかの秀でた才能)
スポーツ系 なぎさ、咲、響、マナ、みらい、まなつ、ゆい、ソラ
ミーハー系 ひかる
水野亜美タイプ(おっとり、しっかり者、学才)
つぼみ、のどか
セーラームーンの当初の構想は、『セーラーV』の続編として愛野美奈子を中心に展開していくものだった。運動が得意で勉強が苦手、猪突猛進でお転婆、アイドルへの憧れを持っているなど、愛野美奈子に見られる特徴は、バディ型の作品のキュアに多く見られ、近年のセンターキュアもこの傾向にある。
そのセーラーVに憧れる女の子、月野うさぎを主人公として、『セーラームーン』は展開していく。勉強も運動も苦手、ドジで泣き虫、人一倍、情に厚く、誰とでも仲良くなれる、月野うさぎタイプは、奇数型のセンターとしてほぼ定位置にあった。ストーリー開始当初は空っぽで始まりながら、作品テーマに沿って成長していく過程を描きつつ、「こいつがいないと始まらない」というセリフが定番のごとく入ってくる、常に中心にいる存在を描き続けてきたのが奇数型の作品でもあった。
2018年の『はぐプリ』において、空っぽであることの悩み、いじめをなくそうと行動したことによって、却っていじめに遭ってしまい、転校に至るなど、月野うさぎタイプへの痛烈な内省が描かれたのを境に、主人公・センターキュアは愛野美奈子タイプに遷移していき、月野うさぎタイプはサイドもしくは、各キャラの要素として分散していく。
はぐプリ以降のセンターキュアの特徴の変遷
はな→試練
ひかる→旅立ち
のどか→復活・帰還
まなつ→来訪
ゆい→英雄化
ソラ→英雄宣言
『はぐプリ』を境に、中空的中心からの脱却傾向が観られ、主人公・センターキュアの特徴が、英雄神話の過程を描いているようにも見える。
時代の空気を敏感に察知してきているシリーズゆえ、意図はないにしても、ヒロインからヒーローへの変貌、男児向け・女児向けのカテゴライズの撤廃、などといったことが、より色濃くなってきているように見える。
(文芸面において)
英雄宣言をした後のシリーズとなる『わんだふる』はどのように描かれていくのか。プリキュアの作風の変化は、時代の鏡のひとつといえるかもしれない。