2024サンフレッチェ広島全選手レビュー➂ シャドー&CF

 あけましておめでとうございます。怠惰により年が明けてしまい、2025シーズンの陣容も固まりましたね。
 とはいえ2024の振り返りは終わらせねばということで、ラスト前線を主に務めた選手たちについて振り返りましょう。


シャドー

マルコスジュニオール

 試合に出れば情熱とスモールエリアでのキープ力で存在価値を示してくれるのですが、いかんせん稼働率が… 5月くらいまでは割とリーグ戦にも出ていた気がしますが、正直鮮明に覚えているわけではありません。
 ただし、チームに唯一無二のモノを持っているのも確か。同じようなタイプだと中島洋太郎や井上潮音といった選手が2025シーズンにはいますが、よりゴールに直結させられるのはマルコスだと思います。マリノスでの輝きとサンフレ戦での活躍を覚えている以上、サンフレファンの多くは期待し続けると思いますので、来季はここ2シーズンの苦戦を乗り越えてほしいと思います。

満田誠

 ルーキーイヤーからの2年は「満田のチーム」でしたが、今季はまさかまさかの大苦戦。スタメンの機会も大きく減らしました。
 いや、まさかでもないのでしょう。2023シーズンも右サイドでの起用に固執された結果序盤は持ち味を発揮しきれず、復帰後チームは勝ちまくりましたが満田が本来のキレを出していたわけではないと思います。よりチームを「支える」プレーになってしまった、というか。
 今季も前線の人員過多によりボランチで開幕スタメンでしたが、中央でボールを受けるのは本当に難しいんですよね。川村も受けて散らしてというプレーには大きなスペースを必要としましたが、満田もシャドーの時のようにはいかず、降りて受ける動きがメインに。やはりロスト時のリスクが桁違いですからね。
 その後はシャドーでのプレー機会も増やしましたがいまいちアグレッシブさと怖さに欠け、スタメンを外れたり左ワイドで使われたり。右に比べ中に踏み込みやすい左はアリなのかなと思っていましたしそれで実際にゴールも奪ったと思いますが、まあ、出色の出来を見せた東を差し置いて使うほどかと言われると…といった感じでした。極めつけにはマリノス戦での退場。その後極端に出場機会を減らしたというわけでもないですが、途中出場でもチームをノせるプレーはできず、終盤の連敗時期にも存在感を発揮できず。「サブ組」のままシーズンを終えました。
 いろいろなポジションをこなしたりチームの中心選手としての役割を担ったりする中で、思い切りの良さという満田特有の良さが失われてしまった、のでしょうか。満田はもちろんあらゆるプレーが高水準なのですが、何よりもそれを継続できるというところに強みがあると思います。それがどこで活きるかとなると、やはりシャドーでしょう。田中聡というリーグトップレベルの選手が加わり、井上潮音も中盤のより低い位置で輝くタイプ、川辺はもちろんアルスランもいる。外国人がドカッと抜けた前線にこそ、満田の居場所はあるはずです。相方に加藤を据えるのであれば、創造力に長けた満田は相性も良いはず。
 普通にやれば、また2022の輝きを取り戻せるはず。私はそう感じています。正直藤井のように移籍するかな…とも思いましたが、クラブの思いが伝わったのか残留。シーズン中の選手の入れ替わりは読めないので何とも言えませんが、とりあえず今のスカッドでは、前線で躍動する満田が見られる機会は増えるのかな、と期待しています。まだ25歳、大きすぎる期待と今季の(申し訳ない言い方ですが)失望を取り返すチャンスは山ほどありますし、満田はその期待すら超えていける選手だとみんな思っていると思います。

エゼキエウ

 日本人にはなかなかない推進力を備えていますが、いかんせん稼働率が…(n回目)
 どういう選手に育っていくのかな~と期待した2020から早5年、とはいえ助っ人としては長期にわたりチームにいてくれましたがついに退団ですね。苦しい苦しい2021にはチームの(唯一の)槍になってくれましたし、2023もブラジル人コンビで得点を量産してくれました。日本にもJにも慣れたと思いますし、また日本で見たいですね。アンデルソンロペスのようにフィニッシュの選択肢が増えて質が上がれば、怖い選手だと思います。

加藤陸次樹

 熱そうだなと思っていましたが、まさかここまで熱いとは。収まりきらないサンフレへの熱情を、ピッチで表現してくれる選手です。
 442の最前線が適性ポジションでしょう。オンザボールが増える2列目の選手としては物足りない部分もあります。スモールエリアでのプレー、ビルドアップへの関わり、バイタルでの崩しへの関わり。しかしそれでも、飛び出しに特長をもつボランチにポジションを譲りつつ自分は右の前に流れてクロスにつなげたり、左に流れて対面の相手をかわしたり。相手と味方を見ながらプレーでき、「そつなく」という言葉が似合います。
 フィニッシュはそつなくできずに結構外してますので、二桁取れるチャンスはありすぎるほどあると思います。ジャーメインの特性次第では最前線を務めることになるかと思いますが、今季の数試合では苦戦した印象。体格で勘違いしがちですが後ろ向きにはなかなかプレーできないので、前を向かせてストライカーとして機能する加藤も見たいところ。もうチームの軸だと思います。2025は優秀選手、あわよくばベストイレブンを!

CF

ドウグラスヴィエイラ

 前線でボールを収め最前線からのプレスの先導役を担える特殊技能持ちのおじいちゃんですが、フィジカル的なしんどさが露骨に出てしまう場面が増えました。ヴィエイラほどのスペシャリティはなくても何でも頑張るソティリウより優先して起用する意味はあまりなくなりましたかね。2024限りでチームを去ることに。
 城福体制下では間違いなくチームの核でしたし、スキッベ体制では役割は変わりましたが、それでもストライカーとして活躍。地味だとは思うのですが、サンフレの助っ人史に鮮明に残る選手だったと思います。

ピエロスソティリウ

 在籍した中では最も輝けた1年になったと思います。やや理解に欠ける部分はあれど、プレスを忠実に遂行し、ややサボって跳ばずにファールになりますが色んなボールを収め、ややレパートリーに欠けますが良いボールが来た時のフィニッシュの迫力はやはり日本人には出せません。
 書いてわかる通り、幅は広いのですが特別なものはありませんでしたかね。得点も固め打ちの印象が強く、チームを救うゴールがいくつあったかと言うと… 何とも掴み切れないまま退団となりました。
 カップ戦弱者のサンフレにルヴァンをもたらしてくれた立役者ですし、こちらも歴史に刻まれる選手でしたね。国籍を考えると流石に日本でのプレーというのはもうないでしょうか。

井上愛簾

 正直あまりプレー見れてませんが、リーグ戦でインパクトを残しましたね。愚直なフリーランと確かなオンザボールの技術は、今後に期待を持たせてくれました。
 しかしこういう選手が最前線で我慢して起用されないのがサンフレなので、どうなることやら。スキッベは最初こそ永井とか使ってましたが、結局最前線のところはデカい外国人でお茶を濁す傾向があるので、井上もどうなるか。来季はたくさん試合で見たいです。

大橋祐紀

 ひと言で言えば神ですね。空中戦の強さも、ボールの持ち出しも、運びも、体の使い方も、非保持でのプレスも、城福~スキッベにおけるすべてのFWに勝っていると思います。そしてよく点も取る。ソティリウと同様固め打ちの印象が強く、離脱もあったため、得点で勝ち点を持ってきているかと言われると(だいぶありますけどね)そこまでですが、90分通しての貢献度がレべチすぎました。シャドー起用でも運べるのでまあいい感じでしたし、マリノス戦ではあり得ないゴールを決めますし、まあ神というところです。
 2025まで残っていたらユニフォーム買ってましたが、ブラックバーンへと旅立ち、イングランドで戦っています。Jリーグを飛び出したことで代表選考のステージにも上り既にデビュー、半年の在籍でここまでのインパクトを残した選手もそういないだろうし、引き続き応援したいと思います。

ゴンサロパシエンシア

 少し期待値が大きすぎたかなという印象ですね。明らかにトップフォームではない中で、フィニッシュのところでは違いを見せましたし、献身的な姿勢も見せてくれました。しかし、ソティリウを差し置いて使うほどかと言われた時に、そんなことはないとしか言えないパフォーマンスでしたね。
 年齢考えても来季残るのも楽しみな半分どうなのかな…半分というところで退団に。よくわからないままお別れになっちゃいました。アルスラン含めて、ピースウイング1年目の2024に優勝を掴むための投資と考えたら、悪くなかった気がしますね。鹿島戦町田戦と、大事なところでゴールを決めてくれましたし。当たりはずれはありますのでね。

 はい、ということで全選手終わりです。MVPは中野か東か迷いましたが東で。あとは泰志加藤といったところも年間通してチームを支えてくれましたね。2023とはまた違った選手の活躍が見られて楽しい1年でした。
 来季こそは優勝を!みんなで掴み取りましょう。では。

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