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みずほ証券

~元派遣社員が告発する「パワハラ職場」の実態~

みずほフィナンシャルグループ傘下には過去複数の証券会社が存在していたが、「みずほ証券」と名がつく会社は、2000年のみずほホールディングス発足にあたり、第一勧業証券、富士証券と興銀証券が合併したところから始まる。

しばらくはホールセール専業であったが、09年にリテールも手がける上場企業の新光証券を存続会社として合併。13年にみずほインベスターズ証券を吸収合併し、みずほグループの証券部門が統一されて現在に至る。

みずほ証券は16年、金融投資情報紙の人気アナリストランキングにおいて3年連続で会社別順位第1位を獲得するなど、レポートには定評があるほか、社内からは、「債権の引き受けに強い」「社内制度が充実しておりワーク・ライフ・バランスがとりやすい」「コンプライアンスが厳しい」といった声が聞かれる。

しかし、みずほ証券にまつわる不祥事は多い。代表的な例で言えば、05年に発生した「ジェイコム株大量誤発注事件」が有名だ。また07年には、みずほコーポレート銀行から入手した顧客情報を取引の勧誘に流用した事件も発生し、いずれも金融庁から業務改善命令を受けている。

コンプライアンス体制を評価する内部の声とは矛盾するように、近年、みずほ証券内部のコンプライアンス意識に疑問を呈せざるを得ない事案には事欠かない。約7000名の従業員を抱える大企業だけあり、中には問題のある社員も存在し、これまでにも、みずほ証券、また同社社員に対する裁判沙汰が複数起きている。

認知症女性に金融商品を不適切勧誘

08年、みずほ証券の担当者が当時85歳の認知症女性を勧誘し、金融派生商品を組み合わせた「仕組み債」を、計約7100万円購入させた。しかしリーマン・ショックによって約4000万円の損害が生じたことにより、女性側は「複雑な金融商品を購入させられた」として、みずほ証券などに約4300万円の損害賠償を求めた訴訟がおこなわれていた。

みずほ証券側は、販売当時は女性が認知症であるとの認識はなく「商品を理解する能力があり、担当者は基本的な仕組みやリスクを説明していた」と主張していた。しかし16年6月、東京地裁で判決が下り「不適切な勧誘」であったことが認められ、みずほ証券に約3000万円の賠償を命じた。

その判決では「女性が購入した金融商品はリスクが大きく仕組みが難解であり、相当程度の投資判断の能力が要求されるものだった」と指摘。女性が認知症の診断を受けており、投資の経験が浅いことなどから「不適切な勧誘で、違法な取引にあたる」と判断されたのだ。

粉飾企業の上場審査で賠償責任

09年11月、東証マザーズに上場した半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」(すでに破産)は、上場審査にあたり売上高の97%が架空の有価証券届出書を提出したことが発覚し、粉飾決算の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受け、わずか7カ月後の10年6月に上場廃止となった。

この事件を受け、元株主ら約200人が、当時の経営陣や証券会社などに計約1億7500万円の損害賠償を求めた訴訟が行われていたが、16年12月に判決が下った。東京地裁は旧経営陣ら7人に全額の支払いを命じるとともに、上場時の主幹事会社だったみずほ証券(旧みずほインベスターズ証券)についても一部の元株主に対する賠償責任を認めた。

裁判長は「みずほ証券は審査で主幹事としての注意を尽くしていたとは認め難い」と指摘しており、上場審査を巡って証券会社に賠償を命じた判決は初となった。

派遣スタッフへのパワハラと退職強要

みずほ証券の幹部社員の秘書として勤務していた派遣スタッフに対し執拗な社内いじめとパワハラ、そして退職強要がおこなわれた事件が15年~16年にかけて発生、民事裁判が進行中だ。一見、個人的な諍いごととも思われるが、同社の体質が如実に表れている事案のため、背景から説明する。

みずほ証券内のとある大規模部署内でグループ長の秘書として勤務を開始した派遣社員のAさんは、入社早々からほぼ全ての勤務期間に渡り、グループ内の一部門長である女性部長B氏からパワハラに相当する執拗な嫌がらせを受けていたという。

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