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#2.27 パパ活編:リベンジ・アオハル①──東京への憧憬

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◎物語の説明とあらすじ
妻とはセックスレス、ここ数年は婚外恋愛の出会いもない40男、浦野けいすけ。2児のパパ。風俗以外でセックスできない「性の砂漠」に苦しむなか、昨今の自粛ストレスが加わり、「今までしたことのない経験がしたい」と、パパ活に手を染める。そんなアラフォー男の性と愛のサバイバル物語。
すでにパパ活アプリをはじめて3週間目。当初の興奮は冷め、現代社会の歪みを凝縮したようなパパ活の世界のなかで徐々に心が疲弊していくことを感じていた。しかし、当初の目標である「普段は出会えないようなものすごい美人」には、まだ出会えていない──。そんななか、自分がパパ活に手を出すに至った、もう1つの動機に気づくのだった。



◆駅弁大学生のアオハル

東京の街に出て来ました
あい変わらずわけの解らない事言ってます
恥ずかしい事ないように見えますか
駅でたまに昔の君が懐かしくなります

くるり「東京」より


久々に、くるりの「東京」が聴きたくなった。

僕は前回、純蓮さんと地獄のランチをしたころから、気づいていた。いかにも東京、しかも恵比寿か表参道、青山、広尾が似合うようなレベルの20代の美女を求めるのは、田舎で大学生活を送ったリベンジなのだと──。

東京にも通学可能な関東の田舎で生まれ育った僕にとって、東京の大学への進学は当然の選択肢だった。同級生の半数近くも、磁力に引き付けられるように、東京の大学へ進学していった。

しかし、実家の経済的な事情で、進学先を国公立大学に限られた僕は、東京、それどころか首都圏への進学も諦めざるを得なかった。中学・高校で全く勉強しなかった僕の偏差値では、どんなに背伸びしても、首都圏に手の届く国公立大学はなかったのである。


高校3年生の夏、「今から勉強して手の届く国公立大学はないか──」、日本中の大学を必死に探して、見つかったのが、ある地方都市の国立大学であった。大宅壮一の言う、いわゆる「駅弁大学」である。1949(昭和24)年に新設された旧帝大以外の新制国立大学のことで、当時、急行列車が停まり、駅弁が売っている地方都市に新設されたことから、駅弁大学と揶揄やゆされた。

一浪して、やっと合格した大学での生活は、僕がテレビなどで憧れた大学生活とは全く別物だった。中高生時代にかぶりつくように観ていた「ねるとん紅鯨べにくじら団」に登場する大学生はもっと華やかでキラキラしていた。「トゥナイト2」などで紹介された東京の大学生活は、もっと刺激に満ちあふれたものだった。

けれど、その大学の同級生のほとんどは素朴で、時間はゆっくりと、穏やかに、緩慢に流れていた。とても平和だったが、刺激がなかった。サークルでの新歓コンパは、駅前のつぼ八。イベントは、山の自然公園か、浜辺でのバーベキュー。今の僕なら、それも大切な時間と思えるだろうが、当時の僕は、そうではなかった。


それだけが理由ではないが、僕は次第に大学に行かなくなったのである。


◆左官町の薄暗いネオンと東京のキラキラ


見栄えのしない地方都市にも、左官町(さかんちょう)という名の、小さな繁華街があった。

小さいながらも、高級クラブ、キャバレー、スナック、バー、風俗店、テレクラなど、何でもあった。僕は、左官町の居酒屋のアルバイトから始め、バーの店員、テレクラのスタッフ、風俗店の電話係など、夜職のアルバイトにのめり込んでいった。生活が大きく乱れ、ついにはほとんど大学に行かなくなった。格好も、茶髪に黒シャツにサングラス。すっかり夜の人になった。


大学の校舎近くの古いアパートで、夕方に起きて左官町に行き、明け方に帰る。バイトがない日は、彼女とのデートだが、地方都市には行くところもない。駅前の丸井や小ぢんまりした商店街をぶらつくか、車高短(シャコタン)の古いアコードワゴンに彼女を乗せて、ジャスコか海に行き、車の中か、ラブホテルか、僕の汚いアパートでセックスをする。そんな日々だった。家で時間があれば、録画していた「恋のから騒ぎ」などを観ながら、東京のキラキラした生活に思いを馳せた。


いよいよ大学卒業となり、奇跡的に新聞社の採用に通った僕は、憧れの東京で新社会人生活を送ることになる。

雨に降られて彼等は風邪をひきました
あい変わらず僕はなんとか大丈夫です
よく休んだらきっと良くなるでしょう
今夜ちょっと君に電話しようと思った

君がいない事
君とうまく話せない事
君が素敵だった事
忘れてしまった事

くるり「東京」より


※地方都市のネオン街の画像は、フォト蔵

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ネットで検索したら「ネット乞食」という言葉に出くわしました。酷いこと言う人、いるなー。でも、歴史とたどれば、あらゆる「芸」は元々「乞食」と同根でした。サーカス、演芸、文芸、画芸しかりです。つまり、クリエイトとは……、あ、字数が! 皆様のお心付け……ください(笑) 活動のさらなる飛