見出し画像

ボイン君の実録ブラック企業④育休?ふざけるんじゃないわ。恐るべき女役員

「体面のためにやってるけどね、本当は育休なんて甘ったれた制度認めてないのよ、あたしは!」

私がコンサルタントとして入っていた、とあるマーケティング支援企業との懇親会で、人事を管掌する女性役員が言った言葉である。

その企業は、女性管理職を全体の30%弱登用しており、
雑誌やメディアでも女性の働きやすい会社としてたびたび取り上げられている。採用や広報においても、その点は大々的にアピールしており、眼の前に座ったその女性役員も、ビジネス誌のインタビューで、女性が働きやすい職場をいかにして作っているか、その取組について語っていたのだが。。

私が、御社は男性でも育休取れる制度を導入したのですね。先進的な取り組みをされてますね。
と聞いたところ、返ってきたのが↑の言葉というわけだ。

「大体、子供を生むかどうかって本人の自己都合でしょ。子供を育てるのに休むってのは、周りに迷惑をかけてるの。私から言わせると本当はもう子供を産むって女性は会社辞めてほしいのよね。でもそんなこと言ったら叩かれるでしょ。上場もしてるし。だから育休制度をやるなら、どうせならマーケティング的にキレイに見えたほうがいいってことで男の育休も認めたわけ。」

そして、女性役員はひとりごちるように続けた。

「…ま、育休とりたいなんて男は無能が大いに決まってるしね。戻ってきても評価はゼロよ。傍流に飛ばすわね。女は育休とった時点でうちの会社内でのキャリアはゼロリセット。」

ホンネとタテマエのホンネがあまりに生々しかったので、私は返事を返すのにちょっとした間があいてしまった。
そりゃ、制度としてタテマエでやる部分があるのは理解ができる。
しかし、ここまであけすけに「本当は認めてない」「育休は無能」とまで言うのであれば、彼らの制度を見て、素晴らしいと思って入ってきた社員はホンネを聞いた時どう思うだろうか。

と、聞くと、役員はこういった。

「制度は運用してますよ。でもその制度を使うような甘っちょろい人たちには会社でいい思いなんてさせないってだけ。子供作らずに仕事してる人たちに不公平じゃない!管理職の30%は女性だけど、全部が全部ちゃんと仕事させる必要はないから。こんなのは外面用のお飾りよ。育休とって復帰してきた女性社員でそこそこキャリアの積み上げがついちゃってる社員には、不満が出ない程度に部下つけずに担当課長とでも名乗らせておけば管理職カウントされるんだから。」

世の中、このような考え方の会社は多いんだろうか。外に見えるコミュニケーションだけを信用することがいかに危険か。私はこの時深く知った。
なお、「社員の口コミサイト」によれば、この会社の女性の働きやすさの満足度は5点中4.5であった。

※本エントリは「実際に起きた内容」を元にしたフィクションです。

いいなと思ったら応援しよう!