ボイン君の実録ブラック企業③ 社員のSNS投稿はすべて監視されている
今回の事例:サイトウ マサル氏(32)人材業界営業課長 部下を10人束ねている
サイトウマサル氏は、求人広告を扱う企業にて、部下10人を束ねるマネージャーを務めている。
「新卒で今の会社に入り、求人広告一筋ですね。ベースの給与はまあ平均程度だと思うのですが、業界全体が好景気なので、インセンティブがあがっており、ここ2年ほどは年収もあがっています」
私の経験則では、不動産、人材、流通はブラックポシビリティ(ブラック企業可能性)が高いのだが、労働環境を聞いてみるとご多分に漏れずいわゆるブラック企業であった。
「残業は大体月平均120時間くらいでしょうか。残業はみなしで月60ついているので、残りはサービス残業です。定時で帰るとか、、そういう概念はないです、というか許されないですね。定時で帰ろうものなら、たとえ目標を達成していても給与減額ですよw」
ありがちな話だ。こんな話は正直聞き飽きている。ブラックエピソード偏差値でいうとせいぜい45くらいの話でしかない。
「うちの会社が変わっているなぁ、と思うのは、、SNSの監視制度ですね」
監視制度。どういうものなのだろうか。
「社員はそもそも自部署の社員とはFacebook,twitter,instagram,LINEすべてつながりを持つことが求められます。課長以上の役職となった人間は、自分の担当の社員全員のSNSをチェックし、批判をしていないか、自社サービスをちゃんと褒めているか、他社サービスを貶めているか…これは遠まわしにちゃんとやれているかですね。を確認し、人事へ報告するのです。」
私は思わず笑ってしまった。そんなことを監視しだしたら、社員はSNSなぞ使わなくなるだろう。
「いえ、そこは、ちゃんと投稿してないと逆に評価が下がります。いかにサービスと会社をSNSで褒めるか。。。踏み絵ですね」
成る程。しかし、そんなことをしていたら、傍目には宗教にしか見えなくなるのでは?
「まあ、そう思いますよね。実際、会社以外の友達からは『お前の投稿って会社褒める投稿だらけだな』って突っ込まれましたし、取引先の方に弊社のFacebookページを見られ、『御社のページっていいねとコメントが社員だらけですがこれは運用する意味があるんですか?』という感想をいただいたこともあります」
私は彼の会社のFacebookページを見てみた。
新サービスリリースの投稿にいいねが1700件(!)、コメントが1500件(!!)もついているが、コメントを見てみるとほとんど社員のようだ。
「◯◯さん、頑張りましたね!リリースおめでとう!」「これで今月も目標必達だ!」「ハードワークの賜物ですね。今週の土曜日はチームで焼き肉パーティだ!(このコメントに48もいいねがついていた)」
などのコメントだらけで、ユーザと思しき人のコメントはパット見1つもなかった。そもそもこんな内輪のやり取りを衆人環視のSNSでやる必要あるのだろうか。。
「結束意識を見せることが、会社としてのブランディングにつながると考えていますから。。実際これを見て仲が良さそうな会社だと思って入ってきた社員も数多くいます。監視についてはいきすぎだな・・と思いますが、この点はあまりおかしいとは思っていません。むしろもっと積極的にSNSを活用していくべきだと思っています」
そういうものなのか。SNSの活用。。。
私はサイトウ氏とSNSの活用について突っ込んだ話を聞いてみたいと思ったが、疲れがたまるだけになりそうなのでやめた。