なつやすみワンコイン相談室のためのテキスト
わたしは、ある日唐突に自我が芽生えた状態で中庭に放り出されたように幼年期を始めました。
「誰もなにも教えてくれなかった」と言えばうそになりますが、「みんながあたりまえのように知っていることを、わたしは知らない」が、あたりまえの状態からスタートしました。
というわけで、わたしは彼らの「あたりまえのこと」をなにも知りませんでした。それを知らない理由も説明できませんし、それは何なのか説明してくれと求めることもできませんでした。なぜならそれを当たり前に知っている子供たちは、「それがあたりまえである」という以上の認識をできないからです。
そしてわたしがどうしたかというと、彼らの話をひたすら聞いて、それは「何」であるのか、自分で考えて理解して自分のものにしようとする、わからなかったらわかるまで考えるか、サブテキストになりそうなものを探す、ということをやっていました。
「打ち明け話」をされるようになったのはたぶん高校生くらいの頃からで、加速度的にされるようになったのが大学に入ってからでした。人生のこと、家族の問題、将来設計について、「聞いてほしい」と言われること、あるいは、遊んでいる途中でなんとなく始まること、泊まっていてなんとなく始まること、かかってくる電話、そういう日々を延々と経て、インターネットでQ&Aのサービスで遊び始めました。
で、回答側としてもハマったし、こういうことをやるべきだった、とか、こういうことができたんだ、とか、いろいろ思うところがあったんですが、まあこのサービスは匿名で質問ができるので、最終的に端的に悪意が寄せられる量が許容範囲を超えてしまい、なかったこととなりました。いまも質問は送れますが全然見てないので回答はしません。
で、代わりに萩の原というウェブショップを始めました。
結構ご愛顧いただいており、楽しくやっているのですが、原点回帰というか、たまには気軽に質問されて気軽に返事をしたいな~という気持ちがあり、いわゆる「夏休み」(~八月末)までワンコインボックスを設けております。返答はnoteに流す予定です。
唐突に発生した何も知らない子供から、知っていたはずのことが分からなくなった人や、知らないということそれ自体にはじめて直面して、出口がわからなくなった人へ。
楽しくやりとりができるといいなと思います。
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