第55話「プロポーズ決行」
4月某日、あおさんの誕生日。ついにこの日、プロポーズを決行いたします。
場所は東京の高級フレンチレストラン。そこに決めたのは、プロポーズ用プランがあったからです。席はテラスで、特別なコース料理が用意されているとのこと。
「店側で何かご用意致しましょうか?」
さすが高級レストラン、心配りまで完璧です。
「大丈夫です。ありがとうございます」
断りました。そっとしておいて欲しいので。
駅であおさんと合流してお店へ。
時間は18:00。すでに数組のお客さんが入っていました。店内を通り、テラス席に案内されます。思っていた以上に素敵な場所でした。テラス席と言っても屋内になっており、大きな窓からは美しいガーデニングが見えます。外も暗くなってきて、お店の灯りが良い感じに演出してくれています。
ここで一つ驚きが。プロポーズプランに「テラス席予約」と書かれていました。これが、私が思っていた「テラス席予約」と違っていたんです。どういうことかと言うと、テラス席には、私たちしかいないんです。6席あるのに、誰もいません。2人だけの空間。つまり、テラス席まるごとの予約だったんです。
「プロポーズを他の人に聞かれると嫌だな」と内心思っていましたが、完全に心配がなくなりました。素晴らしいレストラン。
ここまで心配りができるレストランは、当然料理も美味しいです。二人して、食べる度に感動していました。
ギャルソンが一つ一つ丁寧に料理の説明をしてくれます。説明はお皿の話にも及びます。内容はなかなか面白いです。料理ごとにひと笑いある感じ。ただ気になるのは、話の長さ。少し長め。何でしょう、私のトーク力に不安を感じているのでしょうか。アシストは嬉しいですが、複雑です。
説明が面白いのは、シェフが変わった方だからだそうです。シェフの、お客を楽しませようという心から、独創的で楽しい食事を提供できるとのこと。
そのシェフの独創的で楽しい食事ですが、デザートが斜め上を行き過ぎていました。フルーツ系のソルベだった記憶があります。食べると、口の中でパチパチと弾ける音が。
これは……。駄菓子のパチパチキャンディー!
驚きましたけども……! ちょっと面白いですけども……! なんか、なんか、安い駄菓子感が!
あおさんと苦笑いしてしまいました。
2回目のデザートが来て、そろそろです。
そろそろって?
プロポーズです(皆さん忘れていましたね?)。
一度トイレに立ちます。気合いを入れに行ったのではなく、鼻をかみに行きました(花粉症の時期だったもので)。
スッキリしたところで、あおさんに考えてきた言葉を言います。
「(ピーーーーーーーーー。ピーーーーー。ピーーーーーーーーー。)」
※ここは内緒
「オレと結婚してください!」
ポケットから箱を取り出し、ちゃんと海外式に片膝ついて、箱パカしました。事前に箱の向きを確認していたので、スムーズに行けました。
何故海外式にしたかと言うと、人生を懸けたお願いをするのに、同じ目線で伝えるのは違うと思ったからです。香川照之ばりの土下座はもっと違う(不本意感出まくり)。真剣な気持ちで、へりくだった感じではなく、正式にプロポーズしたい。この想いが自然と私に片膝をつかせました。もしくはハーフである私の血がそうさせたのかもしれません(滋賀と群馬のハーフ)。
あおさんは最初「えー!」と驚いた顔をしていましたが、恥ずかしそうにニヤけた顔になりました。
私はここがチャンスと、返事も待たずに指輪を彼女の左薬指にハメにいきます。ハメちゃえばこっちのもんです(←言葉)。
「正式な返事はいつでも良いから」
とにかくプロポーズを成功させたい。焦りまくりの私。あおさんも何も言わないので、無事、婚約指輪、装着! 婚約成立です(半ば強引)!
帰り道、あおさんは「本当に私で良いの?」と確認していました。
雰囲気的に返事はOKな感じです。これは、ついに!?
(続く)