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1日に2本の映画を観た話

今までやりたいな〜と思いつつ、なかなか機会がなかった、同日に2本の映画を鑑賞してきました。映画の日でしたし。

《月の満ち欠け》前夜祭LV付
《すずめの戸締まり》

この2本を観てきました。

これから1作品ずつネタバレを含む感想を書きますので、ご了承ください。

🌙月の満ち欠けの感想

人の生まれ変わりを描いた作品。

よく「わたしの前世は〜」とか占いであったりするけど、なかなか前世の記憶って残ってないからそういう類の話は不思議な感覚がするけど、それは大半の人のことで、もしかしたら前世の記憶が残ってる人もいるのかもしれない、と少し思った。


瑠璃という女性を中心に起こる奇跡のお話。

時系列がたくさん回っていくので、ちょっと難しいのかなと鑑賞前には不安に思ってたけど、意外とわかりやすかったので安心しました。

瑠璃(有村架純)は本当につらかった。

三角(目黒蓮)との関係は、決して認められるものではないけど、それでも、2人の関係性を否定はしたくないな。彼の存在にきっと救われてたと思うから。


「関係を続けていけばいくほど、お互いにつらくなる」

そう瑠璃(有村架純)は三角に伝えたけど、それでもいいんだと関係を続けてしまう三角の気持ちが本当に痛いほどわかるというか。

今世でつらい想いをした、瑠璃(有村架純)には来世で幸せになって欲しいと思っていたけど、それも難しいことがあるんだなと。


現世で生きる人は、過去の人の想いを織り重ねながら、受け継いで生きているのかと思うとなんだか苦しくなる。報われて欲しい人が多すぎる。


小山内堅(大泉洋)・梢(柴咲コウ)夫妻の相思相愛ぶりが素敵すぎてほっこりする反面、その後に待ち構える悲しい現実が受け入れられなかった。

特に梢と瑠璃(菊池日菜子)が亡くなって、霊安室で対面するシーンは本当につらかった。あんなに泣き崩れる姿を見ると、本当に苦しかった。

不慮の事故って、どうしようもなかったのだと事後は思うしかないけど、そこにもし何か意味があったとしたら?そして、その先を生きる人たちに何かを伝えようとするメッセージだとしたら?と何度も反芻しながら鑑賞してました。


瑠璃(小山紗愛)が三角のもとに走っていく交差点のシーンで、瑠璃(有村架純)と重なる部分には圧巻でした。そこに行き着くまで、瑠璃(菊池日菜子)の想いも含まれているので、瑠璃という女性の切実な想いが感じられてすごく心を掴まれました。


瑠璃(菊池日菜子)が、あるタイミングで「パパとママの子供に生まれて本当に幸せだよ」って小山内堅(大泉洋)に伝えるシーンがあるんです。幼い子供の時と、高校生になった時。その言葉の重みって、かなり強いんですよね。きっと、前世で叶えられなかった想いもあったから、来世では「この両親の元に産まれたい」って瑠璃(菊池日菜子)自身が選んで、産まれた命だと思うから。

だから、今世の瑠璃(菊池日菜子)には前世のつらさが報われるような人生を送ってもらいたかった。

最初は信じられなかった小山内堅(大泉洋)も「もしかしたら…」ってきっと半信半疑のままだったと思うんだけど、愛した人に愛されてたんだって改めて気付くことができて良かったなって。だから、やっぱり大切な人にはちゃんと言葉で伝えていかなきゃいけないんだよなって思うんです。生きているうちに。


最後のエンドロールで流れた曲を歌っていたのは瑠璃(有村架純)じゃないかな?と勝手な予想をここに置いておきます。



🕊すずめの戸締まりの感想

前情報がまったく入ってない状態で観に行ったので、タイトルが入る瞬間、ぶわっと鳥肌がたった。そして冒頭の一瞬だけで、今作のテーマって…?って探りながら鑑賞を開始。


さすが新海さんの映像美だった。
風景画が本当に美しい。雲が移り変わっていくところとか、本当に絵なのか疑うくらい。

鑑賞を続けていくと気づいてきたけど、今作はあえて地震をテーマに扱ったんだなって。それも隠喩とかではなく、ちゃんとどストレートに。

どうしてこのタイミングで?って思ったけど、人は忘れてしまう生き物だし、慣れていってしまう生き物だから、自然災害が発生した時に感じた想いを今作と重ね合わせることで思い出して、防災をすることへの意味を伝える必要があると考えたからなのかなと。

推測でしかないけど、あの大震災から12年が経とうとしていて、あの大震災を知らない子もたくさん増えてきた今だからこそ、今一度振り返るために制作したのかなって。


新海誠という監督の与える影響力は強いから。


特に印象的だったシーンとしていくつか挙げます。


地震が起こる前(ミミズが発生する前)、鈴芽には見えてるサインが他の人には見えないシーンがあって。でも携帯には緊急地震速報が届くんだけど、

「この音(アラーム音)、うるさいんだよね」
「結局、何もないじゃん」

と深刻に捉えないんですよね。
でも、それはフィクションではない部分だと思うんです。その速報に救われる時と鬱陶しいと思う時の頻度を比べたら、どちらが多いかなんて一目瞭然で。

この大きな自然災害の裏側で、鈴芽や草太たちが動いてくれてるとしたら、防いでくれてるとしたら、と考えるとどう行動したらいいのかなって自然と考え方が変わるように思えて。



ミミズが広がっていく様は、今後どれほどの災害が起こるのかを予知しているから、一種の恐怖でもありつつ、それを感じさせないほどの芸術性も兼ね揃えていて、どこまで魅せることが上手なのだろうと感嘆しながら観てました。


正体が要石だから仕方ないとは思うんだけど、個人的にダイジンがわたしの大切な存在と重なってみえて、主人公に「ダイジンなんて大嫌い!」って言われてからシュン…ってするところでわたしもシュン…ってなってました。笑



クライマックスのすずめ(高校生)がすずめ(震災当時の幼少期)に語りかけるシーンはとにかくグッときて涙が止まらなかった。

あの言葉たちは、すずめが観ている観客に対してお守りのように大切に心に締まっておけるように、そしていつでも鍵を開けて引き出せるように、伝えてくれたのではないかなと思っています。


あと、たくさんの「行ってきます」「行ってらっしゃい」にはもうだめだった。

いつも何気なく言う、「行ってきます」「行ってらっしゃい」。そして「ただいま」「おかえり」。

あの震災後、わたしが一番大事にしてる言葉です。


当たり前だと思っていたことが当たり前ではなかったと思い知らされたあの経験から、些細な言葉がどれだけ幸せで、あたたかい言葉なのか、痛いほど思い知らされました。いつ、何があってもいいように。後悔しないように。その言葉をお守りのようにして、率先して伝えるようにしていたので、その想いが反映されてるように思えて、グッときてしまいました。


すずめの椅子のことだったり、環さんとすずめの関係性のことだったり、要石のことだったり、まだまだ理解しきれなかったこともあるし、伝えきれないこともあるので少しずつ、自分の中に昇華していければなと思います。



声優さんの件でびっくりしたことを2つほど。

芹澤の声優がめちゃくちゃ上手だな〜 ◯◯さんかな〜と思いながら観てたんですが、エンドロールで神木隆之介という表記を見てびっくり。多才すぎて本当にすごい。

両作品を観終わった後に思ったんですが、伊藤沙莉ちゃんが2作連続出演されててびっくりしました。勝手にシンパシーを感じてる俳優さんなので、なんだかうれしかったです。



最後に。

洋ちゃんが舞台挨拶で仰っていた言葉を。

気になる作品があるのだったら、積極的に映画館に足を運んで行きたいし、その感想を伝えていきたい、いや、思うだけではなく実行していこうと改めて決意した次第です。


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