〆の言葉は「明日彼女ができます」2話

ドリンクを出して、注文をとり終えた
雄太郎さんがカウンター越しに戻ってきた。

「えーっと、何の話やっけ?」
「ひとみさんの友達にいい人がいる
って話ですよ」
「そうそう、秋元って女の子で
ひとみさんの高校時代の友達!
俺も1回だけあったけど、いい子やったよ」
「写真とかあります?」
「ない。でもめっちゃいい子なのに
彼氏ができないって嘆いてた。
ウチのメニュー表に名前載せようと
してたもんね」
「なかなかですね」
「ひとみさんに連絡先教えていいか
きいてみるよ!」
といって、ひとみさんにLINEを
送ってくれた。
それから、さっき注文された
串を銀のトレーに乗せてテーブルへと
運んでいった。
「芋の水割りお願いします」
雄太郎さんの後姿に注文を投げかけた。

しばらくすると、
「教えて良いってよ!送るね」
と雄太郎さんからLINEが来た。
『秋元志織』という名前の
リンクが僕のスマホに表示された。
「ありがとうございます!
今から送ります!」
『はじめまして、雄太郎さんから
連絡先を教えてもらいました
相垣魁です!
よろしくお願いします!』
絵文字を使うのが苦手なので
基本『!』しか使わない。
送ったのが夜の8時くらいだった。
酔いも良い感じに周り、
常連さんとの会話を楽しみながらも
普段はマナーモード&スリープモード
にしているスマホの設定を
マナーモードだけにして振動を待った。
しかし、この日は未読スルーだった。

翌日になっても、既読がつかない
ので、再び勝軍に行き
雄太郎さんへ相談した。
雄太郎さんがひとみさんに
そのことを伝えると、
どうやら、知らない人からの
メッセージをブロックしていたようだ。

ひとみさん経由で設定を変更してもらい
前日と全く同じメッセージを送った。
今度は、すぐに返事が来た。

「昨日はごめんなさい!
秋元志織です。よろしくお願いします」

そこから、毎日のように
やりとりが始まった。

《つづく》

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