「利他の精神で成功できるでしょうか?」について考えてみた
面倒見がいいこととお節介の境界線はどこでしょうか。
人の役に立つためには、さじ加減は必要なようです。
人はどこまで自分を犠牲にできるのでしょうか。
これも難しい問題です。
人の役に立つと、いいことが巡ってくると言われることがありますが、人の役に立つとはどういうことでしょうか?
お節介は役に立っていると言えないでしょうし、自分を犠牲にするとつらいです。
最も問題なのは、人に何かをしてあげると見返りがあると考えているところでしょう。
「利他=成功」というのは浅ましい考えのような気がします。
利他の精神とは、具体的に何をすればいいのか?
利他の精神で成功できるという話があります。
利他の精神とは、「相手の、または他人の利益や便益を重んじ、自己をささげる心がまえ。利他を行動原則とする考え方」と言われます。
ただし、そのまま理解すると、ボランティアになってしまいます。
利他の精神の経営を提唱している京セラ創業者の稲盛和夫さんは、著書『生き方』(サンマーク出版 2014年)の中で、石田梅岩の考えを引用して、利他の経営について語っています。
江戸時代の中期は商業の勃興期にあり、士農工商の順でいえば、商人は最下層に位置していた。その中で梅岩は「商人の売入は士の禄と同じ」と述べ、商人が利を得ることは武士が禄をはむことと同じと説いています。
「利を求むるに道あり」という通り、利潤追求は罪悪ではない。ただし、利を得るにしても人間としての正しい道を歩まなければならないと倫理観の大切さを稲盛氏も説いているわけです。つまり、利他の精神とは、「自利利他」が含まれていないといけないということです。
この点は非常に重要で、利他の精神で成功するのでなく、利他の精神がないビジネスは成功することが難しいという理解が正しいと思います。相手にも自分にも利があることが商いの極意だとあります。
利他の精神とは、奉仕でなく、人が求めていることを知り、それを提供することにあります。だから、利他の精神とは、「人の気持ちがわかること」であると私は思います。
成功している企業を見ると、必ず世の中の役に立っていることがわかります。
利他の精神は自己犠牲ではありません。奉仕でもありません。価値の提供だと思います。