ビビリはノウハウでは治らない
私は、35歳くらいの時から、独立したいなと考えていて、実際に独立をしたのが40歳を過ぎていました。
今から考えれば35歳で独立をしても、特に問題はなかったと思います。40歳を超えて能力が上がったとは思えませんし、むしろ、独立をしてから学ぶことが多いことを考慮すると、35歳で独立をしていた方がよい仕事ができたのではないかと思います。それに伴い、収入も増えていたと予想できます。
なぜ、私が思い立ってからすぐに独立ができなかったのか?
その理由は、私はビビリだったからです。
仕事がまったくなくて、お金に困るかもしれないという不安を払拭できまでんした。そこで、独立をして成功する(具体的にはお金を稼ぐ)根拠が欲しかったのです。
前進することに根拠はいらない
第一弾で考えたことが、本を出版するということでした。当時は、「本を出せば成功できる」ブームで、各地で出版セミナーが開催されていました。実際、セミナーの参加者の中からベストセラーも生まれていました。その中に何人かは今でも大活躍しています。
ビビリの割には、自信もあり、「本くらいは出せるだろう」と考えて、一番安い料金のセミナーに参加しました。結果的に言えば、参加したセミナーは最も質が高く、参加者全員が出版することができました。
2回しか開催されなかったのですが、30名以上の参加者が全員出版をしました。(もちろん、商業出版です)
当然、ベストセラーになることしか頭になく、これで独立ができると考えておりましたが、本は売れませんでした。独立するための根拠をなくした私はサラリーマン生活を続けます。
その後に、2冊目のオファーがあり、今度こそと思い、執筆をしました。この本は、1冊目に増して売れず、なぜか韓国版も出版していただいたのですが、私には何も起こりませんでした。
それでも、本の著者であることは、私の宣伝材料になり、人脈は膨らみました。今度は、その人脈を活用して(実際は利用して)独立ができる根拠を見つけようとしましたが、下心のある人間の面倒を見てくれる人などいません。増して、友人を客にしようとするような魂胆まで持っていたので、せっかくの人脈もしぼんでいきました。
独立したいけど、独立する根拠を見つけられずに、コンサルタントセミナーなどに参加しました。また、出版による人脈の中で、かろうじて継続してくれていた人のセミナーなどにも呼んでもらっていたので、熱心に勉強はしていたと思います。もちろん、本もたくさん読んでいました。
そんなことをしながら数年、ストレスを抱えながらサラリーマン生活を続けていました。家系で独立した人はいなかったので、「甘い考えは捨てて、地道に働け」と言われることが多かったことも、私のストレスを増大させました。
毎日毎日、会社を辞めたいと思いつつ、満員電車で通勤をしていたので、仕事の質も下がっていました。
そんなある日、特に何かがあったわけではありませんが、「あー、もういやだ!」と強く思いました。その瞬間、天の声ともいうのでしょうか、「いつやめるの?今でしょ!行け!」という囁きが聞こえました。
で、その日の午後に退職届(取締役だったので辞任届)を出しました。
飛び出すことに根拠はいりませんでした。
しかし、何年間も準備をしてきたつもりですが、根拠を探していただけで、何の準備にもなっていませんでした。取締役だったので、失業保険もなく、蓄えもなかったので、最初にやったことは、「創業費用」という名目で生活費を金融機関から借りることでした。
会社を辞めてしまえば、自分で食うしかありません。根拠など、今更必要ではなく、仕事を獲得するために、考えられることはすべてやりました。もちろん、すぐに稼ぎが生まれるわけもなく、別の金融機関で「創業費用」を借りて、1年ほど過ごしました。
売上はないので、「この先、どうなるだろう?」とビビリましたが、後戻りはできません。
1日14時間以上、1年間休みなく仕事をしました。(と言っても頼まれる仕事はないので、やることは集客だけです)
結果的に言えば、仕事を頼んでいただける人や企業が増えて、サラリーマン時代よりも収入は増えました。
経験上、言えることは、ビビリはノウハウでな治らないということです。ビビリが治ったら、独立しようと思っていましたが、独立すればビビリは治ります。と言いますが、ビビっている暇がありません。
無謀な挑戦をすすめているわけではありません。
自分のビビリに対処する方法は、冷静になるということです。不安になれば、不安の中身を分析します。私の場合は、お金を稼ぐということだったので、必要なことは集客の仕組みとお客さんの存在です。
重要なのは、ノウハウを学び続けることでなく、食べていけるだけのお客さんを獲得するためにアクションを起こすことでした。
危険と怖い
ビビリを解消する方法は、危険と怖いを区別して考えるということです。
たとえば、床に置いてある横幅30センチの板の上を10メートル歩けと言われば、よほどバランス感覚の悪い人でなければ歩くことができるでしょう。しかし、崖下50メートルの場所に30センチの板が置かれているとしたら、話が違います。落ちたら死んでしまうと思ったら、怖くて渡ることができなくなります。怖いと思い始めると、自分の持っている能力を発揮することができなくなります。
独立をすることは、果たしてどっちなのか?
実は、30センチの板の上を歩くだけのことが、50メートル崖下を連想してしまっているのかもしれません。この場合は、怖いと思っているだけで、実際に危険はありません。でも、実際に崖下50メートルの板を渡るのは危険でしょう。
怖がっているだけなのか、実際に危険なのかを判断することで、ビビリは解消に向かいます。
タリーズコーヒー創業者の松田公太さんは、1店舗目を出す際に7000万円の借金をしています。松田さんは、借用書に捺印をする前に、近くにコンビニの求人を見て、1日15時間仕事をすれば、30年で借金を返済することを確認しています。
最悪の場合、30年間コンビニで仕事をするわけで、自己破産することもありません。もちろん、もっと効率のいい仕事もあるでしょう。失敗を恐れる場合、失敗した最悪の状態を受け入れることができれば、危険は回避することができます。
副業解禁は追い風
昨今、大企業でも、副業が解禁されています。複数の収入源を持つことは安定を強化すると考えるかもしれませんが、実態は逆かもしれません。
企業が副業を解禁するとは、
「会社の給料は保証できないので、他で稼いでくださいね。」
「やめる準備をしておいてくださいね。」
というメッセージかもしれません。
特に、大企業ではAiがやったほうがいい仕事や、すでに必要でない仕事(銀行で「いらっしゃいませ」と言うだけの仕事)があります。
もしかしたら、変化しないことで安全が確保されていると盲信し、怖いと思わないまま、危険な水域の踏み込んでいる人も少なくないと思います。
ノウハウがあなたを成功させてくれるわけではありません。
ノウハウはあくまで手順です。正しい手順を行ったからと言って、うまくいくとは限りません。しかも、うまくいくかどうかはやってみなかればわかりません。
ビビリを解消するためには、小さなことでもやってみることです。インターネットを使って1万円でも販売してみる。これが案外と難しいわけです。
机上で考えても、ビビリは治りません。でも、1万円を得ることができれば、今度は2万円にする方法を考えればいいのです。ノウハウを学ぶことではなく、ノウハウを使うことでビビリは解消できるのです。
うまくいく方法を学んでから行動するのでなく、行動することでうまくいく方法がわかります。副業が解禁されているのは、何かをするための追い風です。
「あれ?案外といけるかも?」と思った瞬間、あなたのビビリはかなり解消されています。
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