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「1万時間の法則で成功できるでしょうか?」について考えた

何かの分野で成果を出そうと思ったら、「1万時間はそれに時間を投資しないといけない。」という教えがあります。

「石の上にも3年」になぞらえて、1万時間➗(365日×3)=約9時間ということで、1日9時間の訓練を3年続ければプロになれるというような話です。

この話を鵜呑みにして努力をしても、まったく無駄になることもあるので注意が必要だと思います。

普通に会社員をしていると、毎年部署が変わるなんてことはないので、3年ほどは何かの仕事に従事しています。

4年目の営業マンがすべて営業のプロになっているかというと、新人次第よりも大きな差が開いています。

1万時間の法則はどこからやってきた?

「1万時間の法則」の出典は、マルコム・グラッドウェルの『天才』(講談社 2009年)でしょう。

確かにグラッドウェルは、本書の中で、天才になるための1万時間の法則を紹介しています。

しかし、そこには一般に理解されていない要因があります。

事例として紹介されているプロのバイオリニストとピアニストは、アマチュアに比べて圧倒的な練習をこなしています。問題は、彼らがいつから練習をしているのかということです。

バイオリニストの場合、レッスンをスタートするのは5歳で時間は週に2〜3時間、8歳頃からほかの子どもとの違いが出始めます。9歳で週に6時間、12歳で週に8時間、14歳で週16時間、20歳になる頃には、上手になりたい一心で、強い決意を持って、優に週30時間以上も練習をしています。この傾向は、ピアニストにも見られます。また、作曲家、スポーツ選手などにも1万時間の法則は見られることがあります。

ここで注意したいポイントは、彼らが練習をスタートした年齢です。


残念!1万時間の法則は10代に限った話です

モーツアルトが作曲を始めたのは6歳。UNIXOSの開発まとめ役として知られるビル・ジョイは16歳の時点でかなり数学の知識を持っており、大学入試の数学で満点を取っています。ビートルズのジョン・レノンがバンドを結成したのは17歳です。ビルゲイツは中学2年でコンピュータープログラムを学んでいます。

1万時間の法則は、10代で1万時間を突破した人に当てはまる法則です。しかも、1万時間を費やすことに才能があった場合に限られます。

また、グラッドウェルは、才能が開花する要因として、才能、好機、そして偶然与えられた優位点を挙げています。また、10代の後半までに自力で1万時間を突破するのは難しいですね。だから、多くは親のサポートが必要になってきます。

スポーツ選手、アーティスト、芸能など、天才と呼ばれている人は、10歳を迎える前に練習をスタートして、20歳までに1万時間を突破しています。

また、残酷な話ですが、グラッドウェルは、偶然の優位点も大きな要因だと語っています。

人類史上における大富豪75人のうち、14人が19世紀後半の10年間に生まれたアメリカ人です。この理由は明確で、彼らがビジネスを始めた時期に、アメリカの建国以来最大の好景気を迎えていたからです。

簡単に何かの天才になることはできません。さらに、20歳を過ぎてから1万時間の努力をしても成功するとは限りません。この残酷な事実の中でも努力をすれば、成功の道がひらけるかもしれませんね。

でも、1万時間という基準はあてにしないほうがよろしいかと思います。


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