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リザエレ! エレミネイション+ウィンクルム EPISODE 17 A 『破れ、シナリオを』 Vol.1

はじめに

 この度は数ある記事、作品の中から本作品(「リザエレ! エレミネイション+ウィンクルム」)をお手に取っていただき、心より感謝を申し上げます。

 度々のお願いで恐縮ですが、お読みいただく際の注意事項を以下に添えさせていただきます。

 本作品は現在『note』のみで連載しております。その他のブログサイト、小説投稿サイト、イラスト投稿サイトでは連載しておりません。この作品は一部無料にて公開しているものですが、掲載されている画像、文章などは著作権フリーではありません。無断転載、コピー、加工、スクリーンショット、画面収録、AI学習及びプロンプトとして使用する行為はお控え頂くよう、ご理解の程よろしくお願い致します。

 この作品の物語はフィクションであり、登場する人物、場所、団体は実在のものとは一切関係ありません。また、特定の思想、信条、法律・法令に反する行為を容認・推奨・肯定するものではありません。本作には、演出上一部過激な表現が含まれております。お読みの際は、十分ご注意ください。





闇の願い 4.0


 歌を唄ったり、絵を描いたり、遊んだり、助け合って仕事をして、自然と仲良くできれば世界は平和になるのに……何でまだ来ないんだろう。


 あの頃の私はまだ純粋だった。――けど、年齢が重なるにつれてその願う気持ちは強くなり、たわごとだと思っていた暗闇というものがこの世界にあることを知る。


 待つだけじゃ、願うだけじゃ、絶対に平和は訪れない。動いて根源を潰さないと。


 ヤツラはこれまで自分たちが行ってきた自作自演行為を世界の脅威、平和の象徴として何世紀にもわたり君臨させ続けてきた。


 己の罪を認め償うこともなく、寄生虫――ヤツラは自分たちの思想・哲学の下、私たちをハンドルし、新たな完全世界を実現させようとしている。


 無駄を生み出さない、争いもない、誰もが自由で楽しく健康で幸せに暮らせる社会――私が望んでいた世界と同じようなものだけど、全く似て非なるものだよ。何故ならヤツラは『都合の悪い』存在を排除することでその世界が実現出来ると考えているから。


 その証拠にヤツラは二十年前と同じやり方で世界中の人々から個人情報を収集し、数値化してランク付け。ヤツラが決めた基準に満たない人間は次のくだらない茶番=大量虐殺の対象にされる。


 そしてまた多くの命が間引かれ、また多くの人々が深い哀しみと後悔にさいなまれる。


 戦争は良くない。人間には愛が必要だ。さあ、手をつないで。前を向いて未来へ進もう。と、ヤツラがプロデュースする映画や漫画、音楽、芸能人、インフルエンサーの言葉から教えられる。


 ……同じことの繰り返しだ。


 それのどこが平和な世の中? 理想の世界? 全然完全じゃないよね? 支配されているだけだよ。


 これでいいのみんな? こんなのイヤでしょ?


 ヤツラに振り回されず、楽しく生きたいでしょ? 愛し合いたいでしょ?


 だから、私が――私が神になって、みんなの願いを叶えてあげる……。


 この究極の力があれば、不可能なことじゃないから。


 *

 *

 *


 今、私の目の前には抜け殻となった何人もの死体が転がっている。


 今日も人を殺した。……うふふっ。またもう一人……。悪人が死んでいくざまを見るのはすごく気持ちがいい。


 こいつらはどれだけ罪のない人たちの自由を奪ってきたんだろう――多分、数や人種を間違えるほどしてきたんだろうね。私もそうだよ。


 醜い怪物の姿で居続けるのも悪くはない。最凶最悪の奴なんて、この世に私一人でいい。


 もっとヤツラを殺せるなら、私は惜しみなくこの力を使う。


 世界を乱す輪は私が壊す。


 あの子たちは愛で和を作る。それでいい。


イラスト画像:Powered by PixAI.Art




Chapter 117 「再登場①」


 太陽が一番頂上から下りはじめる午後は日差しが暖かい。晴れ渡る青空には綿あめ雲がぽつぽつと。シティランニングするにはとても気持ちのいい天気だ。
 ペミィ・ペミィーの前で準備体操ストレッチするわたしたち。そこへ一匹の小動物が甲高い鳴き声とともに現れた。
 ぷにぷにと足音を立てて近寄ってくる小動物は小柄で、フェネックのような長い耳と猫のような体つき。尻尾は長く、筆先のようにふわふわ。光に反射する大きな瞳が小さい子どもみたいで円らだ。
 小動物はわたしたちの目の前で足を休め、尻尾を振り首を傾げた。あらあら、可愛い。
 わたしはしゃがみ込んで訊ねてみた。
「どうしたのキツネちゃん? お母さんとはぐれちゃったのかな?」
 すると、小動物は頭と口を動かし、「あ、あ~、君たち、聞こえるか? 私だ」と、甲高い声とは裏腹に低音で渋い男性の声を発した。
「わっ!」
 驚いたわたしは慌てて離れ、希海にしがみつく。可愛さから一気に気持ち悪さを感じた……。この声って……まさか、テツハル?
「そうだ」


 ――えっ!!!!!


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