夜のしたで
夜のしたで、僕は泣いた
あなたがいない、あなたがいない
朝がみえて、僕は泣きやんだ
あなたを探す旅にでよう、と
出会い別れ傷ついたあの夏
手探りでほんとのこと、みつけたかった
ふりむいてよ、聞いてよ、君の手を
握りしめたら涙が遮った
虫が鳴かない 君の声もない
だから僕は あなたの胸に埋もれた
いつも微笑んで 僕の頭を撫でてくれた
いつしか君は気づいていた?
あなたのことが大きくなっていた
僕の心、の真ん中であなたのことが
もうほんとうに、お別れだよ
君は泣いて僕の肩を叩いた
蝉が鳴かない ホームのうえにふたり
かげろうのように 頼りなく
僕は「ほんとうに」の意味が
わからなかった
夜はやがて通せんぼをするように
僕のもとへやってくるね
あなたがいない あなたがいない
そんな夜でも僕は
乗り越えなきゃ耐えなきゃ
あなたと君は似ていないね
笑った顔さえ重ならない
いつしか僕はあなたのことを
「ほんとうに」しりたくなった
あなたには家があって
あなたを待つひとがいて
僕はそこに入れないから
黙って夜を待つ朝を待つ
夜のしたを、歩いている
夜のしたで、僕は泣いた
あなたがいない、あなたがいない
朝がみえて、僕は泣きやんだ
あなたを探す旅にでよう、と
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