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DOGEによる政府混乱とXの評価額――Pivotで語られた“いま”のテクノロジーと政治
●はじめに
今回の記事では、ポッドキャスト「Pivot」のエピソード内容をもとに、「DOGE’s Chaos Strategy, X’s New Valuation, and Guest Co-Host Katie Drummond」がテーマとなった回を取り上げます。ホストのカーラ・スウィッシャー氏が、ゲストとして迎えた米メディアWiredの編集責任者ケイティ・ドラモンド氏とともに語ったのは、企業家イーロン・マスク氏とトランプ大統領のもとで進められている“DOGE”の動きや、SNSプラットフォーム「X(旧ツイッター)」の新たな資金調達計画などについてです。この記事を読むことで、テクノロジー企業と政治権力がどのように結びつき、国の政策やビジネスの流れに影響を与えているのかが整理できると思います。
●今回のトピックを知る
ポッドキャスト「Pivot」では、次のような大きな論点が語られました。
DOGE(Department of Government Efficiency)の活動と混乱
DOGEは「政権のコスト削減」を掲げて動いているとされますが、その実態は“イーロン・マスク氏の側近が政府機関を次々に掌握している”といった構造だと報じられています。
Pivotの会話では、「19歳の若手エンジニアたちが本来ならセキュリティクリアランスが必要な部署に簡単に入り込んでいる」「彼らは人事データベースにアクセスし、職員を大量解雇している」という具体例が示されました。
X(旧ツイッター)評価額の再上昇
イーロン・マスク氏は2022年に約440億ドルでツイッターを買収しましたが、その後の混乱や広告撤退によって「実質価値が大幅に下がった」と見られてきました。
一方、今回のエピソードでは「Xが再び440億ドルの評価額をもとに追加の資金調達を模索している」という情報が出てきました。ホストのカーラ氏は「この数字は以前Fidelityが下げた評価とは大きく乖離している」と指摘しており、政治的影響力と絡めて投資家を呼び込む狙いがあるのではと推察されています。
企業と政権の“利害関係”
ポッドキャストでは、DOGEの動きが単なる「コストカット」で終わらず、特定企業や個人が政府の仕組みに直接入り込むことで大きな利益や影響力を得ようとしている可能性が強調されました。
一部広告主は「X」に広告を出さなければ政治的圧力を受けかねない状況にあるとされ、その圧力が「国家レベルの混乱に拍車をかけている」という見方です。
●今回のトピックを理解する
ここでは、論点の背後にある構造と歴史的経緯、そして関係するステークホルダーを整理してみます。
政府とテック企業の結びつきの背景
過去にも、IT企業が国防や公共サービスで技術協力する例はありました。しかし多くは正式な入札やセキュリティクリアランスを経ており、透明性も一定程度確保されていました。
今回のDOGEは「イーロン・マスク氏の直轄部隊」が各省庁を“乗っ取っている”かのように見える点が問題視されています。通常であれば、もっと厳格なルールや採用プロセスがあるはずだと考えられます。
SNSプラットフォーム「X」と評価額
企業価値の根拠は収益力やユーザーベースなど多様ですが、「X」は広告主の離脱が続き収益面での不安要素が大きいといわれています。
それでも評価額を440億ドルに設定するのは、政治的立ち位置やイーロン・マスク氏のブランド力で投資家を引きつける狙いがあるのではと考えられます。
“カオス”戦略と権力掌握のメカニズム
ケイティ・ドラモンド氏は番組内で「DOGE内部の混乱」「若手のエンジニアたちが複数の政府機関で同時に活動している」「ベテランの官僚が大量に辞めている」ことなどを挙げ、「このカオスこそが狙いなのではないか」と指摘していました。
混乱を起こすことで既存のルールや反発をかわし、新たなメンバーを次々と配置しやすくなる効果があるといえそうです。
なぜ他の政治家やテックリーダーは強く抵抗しないのか
番組では、他のテック企業経営者の多くが政権との衝突を避ける方向に傾きつつあるといわれています。大きな官民プロジェクト、国防関連ビジネス、法律リスクを考えると、無用な対立を避けたいという思惑が強いと見られます。
民主党側も一部の政治家は抗議を繰り返していますが、いまだに有効な対抗策や一貫した戦略を打ち出せていないように見えます。
以上を整理すると、DOGEがアメリカ合衆国の政府機能に入り込み、人事・データ・予算の面で大胆な改変を進めようとしている背景には、「イーロン・マスク氏の影響力を最大化したい思惑」「広告主や投資家への政治的圧力」などが複雑に絡んでいるといえます。「X」の評価額再浮上も単独ではなく、政府との密接な関係による可能性が浮かび上がります。
ここまでまとめると、「なるほど、DOGEやXの動きが単なる企業買収やコスト削減策にとどまらず、政治体制や行政の在り方そのものを揺るがしている」という構図が見えてくると思います。
●今日ここだけは理解して1日を終えよう
なぜDOGEの活動がこれほど問題視されるのか?
→ なぜなら、政府機関が通常の採用プロセスや監査を経ずに“民間の特定集団”の指揮下に置かれ、膨大な公的データや人事権が事実上独占される危険があるから。
よって、行政の透明性や民主主義的なチェックアンドバランスが損なわれ、大きな混乱や不利益をもたらす恐れがあると考えられます。
●まとめ
DOGEが主導する急激な人事刷新と「X」の新しい評価額は、単なる表面的なニュースではなく、テクノロジーと政治が緊密に癒着する状況を象徴しています。公的セキュリティの確保や行政の透明性といった問題から見ても、アメリカのみならず世界のビジネス・政治に影響を与える可能性があります。
以下を日常生活で意識するとまた表面的ではなく、今回のような関係性が見えてくるかもしれません。
SNSやニュースで伝えられる情報の背景を意識し、権力と企業の結びつきがどこにあるかをチェックする。
政府のデジタル化やコスト削減といった言葉に隠れやすいリスク(情報流出や透明性の欠如)について、メディアの報道を継続的に追う。
企業やリーダーの政治的スタンスや動きが変わる背景に、「何が動機になっているのか」を疑問に思う習慣を持つ。
DOGEの全貌を理解できる記事もあるので是非ご一読いただけますと幸いです。(有料記事ですが、一部無料で読めます)
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(本記事は、pivotの「DOGE’s Chaos Strategy, X’s New Valuation, and Guest Co-Host Katie Drummond」の内容をフェアユースの範囲内で引用・要約して解説の記事を作成しています。)
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●今日のポッドキャスト
今回ベースとなった「Pivot」は、ニューヨーク・マガジンとヴォックス・メディアが共同で運営する番組です。ホストはテック業界や政治、経済を鋭く分析するカーラ・スウィッシャー氏と、マーケティングや経営に通じたスコット・ギャロウェイ氏の2名ですが、今回のエピソードではスコット氏が不在で、ゲスト・ホストとしてWiredの編集責任者ケイティ・ドラモンド氏が登場しました。番組は最新テックニュースを深堀りし、社会・政治との関わりを分析する目的で配信されています。
●ゲスト紹介
ケイティ・ドラモンド氏は、米国の主要テクノロジー雑誌「Wired」のグローバル編集責任者です。テックと政治が交錯する領域に精通しており、近年ではDOGEやイーロン・マスク氏の動向を中心に積極的な取材・報道を行い、注目を集めています。ジャーナリズムの現場を牽引する存在として、テクノロジーと権力の関係を鋭く問い続けていることが今回の「Pivot」エピソードからも感じられます。