肝蛭症について
以前,院外から肝蛭疑いの相談があった時に,LiverpoolのDTM&Hで学んだことを復習しました。
まず大きなくくりとしてLiver fluke(肝吸虫)には,
• Clonorchis sinensis (=Opisthorchis sinensis) “Chinese liver fluke”:肝吸虫
• Opisthorchis viverrini(タイ肝吸虫), O. felineus(ネコ肝吸虫)
• Fasciola hepatica :肝蛭
• Fasciola gigantica:巨大肝蛭
などがあります。
このうち,OpisthorchisやClonorchisは胆管や胆嚢へいくことが多く,再発性の胆管炎の原因にあります。タイでは胆管癌の原因になることもあるそうです。
治療はプラジカンテルが第一選択です。
次にFascioliasis(肝蛭症)です。
• F. hepatica(肝蛭症): Worldwide
• F. gigantica(巨大肝蛭症): Africa, S Europe, S.USA, Middle East, SE Asia, "USSR"
に分布するようですが,両者のハイブリッド型の報告もあり,臨床症状に違いはないので,あまり区別する意味はないかもしれません。
最終宿主は草食動物で,人間は汚染された水生植物を食べて感染することが多いようです。
症状は右季肋部痛,黄疸などで,好酸球増多,肝腫大を起こし,画像では肝膿瘍のような見た目になります。
診断は便で虫卵が見つかることがありますが,感度はあまりよくないと思います。
抗体検査は,SRLから抗寄生虫抗体スクリーニング検査を出すことができます。
肝蛭は他の吸虫と異なり,プラジカンテルは効かず,トリクラベンダゾールでの治療になります(ここ,試験にでるポイントです)。
トリクラベンダゾールは日本で承認されていないため,熱帯病治療薬研究班に相談する必要があります。
熱帯病治療薬研究班
↑にある「寄生虫症薬物治療の手引き」が治療の参考になります。
他には,Fasciola buski(肥大吸虫)というのもあり,こちらはプラジカンテルで治療することができます。