オストラコンの運命【PC88版エメラルドドラゴン】
はじめに
この記事は、PC88版エメラルドドラゴンの1ファンである筆者が、考察や研究中のテーマをまとめたものです。
筆者は、YouTubeチャンネル「BIZ ANIMATION」の管理人であり、そこではエメラルドドラゴンに関する様々な情報を取り扱っています。
※文章が長くなることを避けるため、言葉の意味や説明を省いている箇所があります。
※さらに関心をお持ちの方は、YouTube再生リスト「エメドらじお」のリンクから動画をご覧いただければ幸いです。
僕は、運命なんてものは信じない
エメラルドドラゴンの本編では、頻繁に「運命」という言葉がでてきます。
たとえば、
・アトルシャン「僕は、運命なんてものは信じない」
・エメラルドドラゴン「その運命には逆らえないのだ」
・ファルナ「運命か・・・・・・」
・ナレ「タムリンが、ホルスであるとは、何と皮肉な運命だろうか」
・海のミコ「・・・・・・としても、・・・・・・運命・・・・・・分かりましたね」
などです。
ほう。これも、また運命ってやつか
ところで、悪役であるオストラコンもまた「運命」という言葉を使ったのをご存知ですか?
「え!?そんなシーン、どこかにあったっけ?」
「オストラコンって、そんなキャラだっけ?」
と思われた方もいることでしょう。
筆者もつい最近までは気づきませんでした。
じつは、オストラコンが「運命」という言葉を使ったのは本編ではなく、
「サオシュヤントの弓~サイドストーリー~」
での1シーンとなります。
そこで語られたオストラコンの言葉が「ほう。これも、また運命ってやつか」というフレーズす。
「サオシュヤントの弓~サイドストーリー~」の登場人物
このサイドストーリーをあまりご存知ない方のために、簡単なおさらいをしてみます。
まず、この作品が公開されたのは「コンプティーク1990年3月号」という古い雑誌です。その中の付録に『エメラルドドラゴンDX(P18-19)』という記事があり、その巻末で描かれています。
このサイドストーリーの主要な登場人物は
・サオシュヤント
・オストラコン
・アークデーモン
の3者となります。
(サブキャラとして、オストラコンの三邪衆の一人「パラゴ」も少し登場します)
ストーリーの大きな流れ
このストーリーの流れを簡単に要約すると、次のようになります。
この話の流れで、注目したい要点は次の3つです。
・アークデーモンは上位の存在である何者かとの「いにしえの盟約」を破った。
・サオシュヤントよりも、オストラコンの方が何枚も上手であった。
・オストラコンは自分の運命を受け入れることができた(アークデーモンに自分の魂を捧げる覚悟ができた)
オストラコンの器の大きさ
エメラルドドラゴン本編では、オストラコンというキャラは、
「卑劣」「残虐」「姑息」なイメージがあります。
このサイドストーリーに登場するオストラコンも、そのイメージにピッタリです(サオシュヤントを陰から襲い、弓を奪う行為など)
ですが、改めてオストラコンの言動や、起こった出来事をよく観察すると
「彼の器の大きさ」
も見えてきます。
アークデーモンはオストラコンの「魂の契約」に従う
ここで、先程の「壁画」に描かれた未来に起こる「予言(未来)」を思い出してみましょう。その場面では、本編における「ドゥルグワント城での決戦」において成就します。
そこでオストラコンは、アトルシャンたちに敗れた後、次のように語りました。
「アーク・デーモンよ!今こそ、我に力を与えよ」
「我に恥辱を与えし者どもに、死の洗礼を!」
カッコいい言葉ですよね~。惚れ惚れしますよね~。
一方、オストラコンの雇い主?である、ガルシアの最後の言葉はどうでしょうか?
「バ、バカな・・・・この俺が敗れるなど・・・・」
なんか、オストラコンの方が「潔く」、ガルシアの方が「小者」っぽい発言ですよね(笑)
話を元に戻すと、オストラコンの死に際に放った言葉は、アークデーモンとの「魂の契約」に基づく「命令」です。
事実、アークデーモンはその「命令」を守り、オストラコンに「力」を与えます。
つまり、アークデーモンは、
・自分よりも上位の存在との「いにしえの盟約」は破り
・自分よりも下位の存在である「オストラコンの魂との契約」には従った
ことになります。
まとめると「オストラコンの魂の契約 > いにしえの盟約」といった関係が成立すると考えてよいでしょう。
ここは、イシュ・バーンのようにはいかないぜ
最後に死を覚悟した(かもしれない)、我らが「ダーク・ヒーロー」オストラコンのカッコいい言葉で締めくくりたいと思います。
「サオシュヤントの弓~サイドストーリー~」において、オストラコンは「二回」同じ意味の言葉を繰り返し、サオシュヤントに対して警告を促します。それは次のフレーズです。
1回目:「ここは、イシュ・バーンのようにはいかないぜ」
2回目:「言ったはずだぜ。ここは、イシュ・バーンじゃねぇんだってな」
奇しくも、オストラコンがアトルシャンたちに敗れたのは「聖地イシュ・バーン」でした。オストラコンは、未来を映し出す「壁画」を見た後、自らの命をアークデーモンに預け、運命を受け入れた(その代償としての勝利を願った)のかもしれません。
「牙龍」で復活したオストラコン
オマケとして、エメドラの続編である「牙龍」で復活した「オストラコン」についても少しだけ触れておきたいと思います。
「え?オストラコンが復活?生き返ったの?」
と驚いた方もいるかもしれません。
はい、無事に地獄から蘇ってきました(笑)
しかも、復活した場所は「イシュ・バーンの外(ナーファリア大陸にあるブシュガラの遺跡の地下)」なのです。
その場では、アトルシャンたちと戦うことなく、再び姿を消したオストラコンでしたが、そこに居合わせた仙神フシュルヌムが次のように語ります。
「今のままでは……あのオストラコンにさえ勝てるかどうかわからんからのぉ」
といった意味深な言葉で、物語の序章は幕を下ろします。
果たして、イシュ・バーン外部における「オストラコンの逆襲」のストーリーは、いつか見ることができるのでしょうか?
これからも首を長くして、続きが描かれるのを楽しみにしたいと思っています。