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ブサイクになって行く顔

若葉です。

先日、国内旅行をしてきました。

何十回と乗っている飛行機。
気分が悪くなったことは一度もない。

悪天候で飛行機が揺れに揺れて
殆どの人が吐いて(吐く声があちこちで聞こえた)
隣で吐かれて洋服に着いても
私は吐かなかったことがあるくらい
丈夫な体だった。


今回の旅は乗って急に気持ち悪くなってしまい
息がハァハァしはじめた。

これは吐いてしまうかも知れないと思い(人生でまともに吐いたのは海の中で一度だけ)
客室乗務員に席の移動は出来ないか
離陸前に聞いてみた。

飛び立ってからしか移動出来ないとのこと
口に袋を近づけてハァハァ言っていた。

3列席の真ん中だった。

隣の通路側に座っていた60代くらいの女性が

私の背中をずっとさすってくれていた。

「迷惑かけてすみません。ありがとうございます。」

「全然私は大丈夫ですよ」

人の優しさに触れた。


後ろのトイレ近くの席が空いているとのことで
離陸後すぐに移動した。

奥に男性が座っていたが
真ん中が空いてると
気持ち的に全然違う。


気持ち悪さを我慢出来ず
トイレに行った。
全然吐けない。
一段と息が荒くなった。
このまま倒れてしまうかも知れないと思った。

結局吐くことはなく
無事着陸した。

気持ち悪さが落ち着いた。


こんなことは生まれて初めてで
眼球の奥まりからきてる吐き気だと思っていた。
確証はないけど。

その後も気持ち悪さは度々襲い
最終日の朝もかなり辛かった。

宿泊先は離れの一軒家で寝泊まりするタイプ。

一日一組限定の宿。

本当は10時にチェックアウトだったが
12時まで寝かせてもらった。

宿のオーナーは
「お互い様ですから」
と笑顔で言ってくれた。


また人の優しさに助けられた。

かなり調子が悪かったので
帰りの飛行機も不安だった。

気分の悪さは午前だけで
無事夜には自宅に戻ることが出来た。


旅に癒された。
楽しかった。
また来たいと思った。
このままここに住みたいと思った。

海を見ながら泣いた。
宿でも泣いた。
毎日顔が変化する。
ぐっすり眠れない。

この現実を受け入れなきゃ!
大丈夫!
顔が変貌しても私は私。



しかし、いざ鏡を見ると
眠そうでキツい目をした
知らない顔の人がいる。

「誰?誰なの?」

悔しい!悔しい!
くっそーーーーー!!!!!


吐き気が本当に辛かった。
これが毎日一生続いたらしんどいと思った。
病院に行って薬を貰って
薬がないと生きていけない体になるなんて嫌だ。

普段、病院も薬も嫌いだから
どうにも我慢出来ないほどの限界にならないと利用しない。



「もしさ、苦し過ぎて耐えられなくて
どうにもならなくなったら
ごめん、逝かせてもらえるかな…」

夫に言ってしまった。


宿の部屋の灯りが暗くてよくわからなかったが
夫の表情が曇り
涙を堪えてるような感じがした。

世界一大好きな夫を悲しませてしまう。
ダメだ…
頑張らなきゃ!
大丈夫!
私なら乗り越えられる!



旅中はずっとサングラスだった。
普段使いできるブルーの色が薄めのサングラス。

メガネから透けて見える私の目も
全然可愛くない。


自宅に戻っていつもの鏡を見た。
びっくりした。

ブサイク化が進行していた。

夫が「可愛いよ♡」
と言わなくなっていたのも理解出来た。

荷物を片付けながら
号泣してしまった。

今までで1番激しかった。

夫は淡々と黙って
旅の荷物を片付けていた。


どうしたらいいの?
まだ悪くなるの?
助けて!
しんどいよ!
苦しいよ!

「動画に撮っておけば良かったかな?」
と夫は言った。

「なんで?」

「こんなに苦しんでるとこを医師に見せる為に」


ごめん。

私は夫にごめんとありがとうしか言えない。


毎日毎日笑ってた。
笑わない日は一度もなかった。
そのくらい毎日が幸せだった。
喧嘩も一度もしたことがない。
世界中でこんなに合うのは
この人しかいないとお互い思ってる。


悲しんだり凹んだり悩んだり
人を恨んだり
そんなことをもう何十年としたことがないくらい
心から幸せに溢れていた。


周りからも
「エネルギーをもらえる」
「元気になれる」
「癒される」
「幸せな気分になれる」
「若葉さんみたいになりたい」
「憧れです」
「いつかお会いするのが夢です」

そんな風に言われていたし
私より人生を楽に楽しく幸せに生きてる人は
数少ないんじゃないかと思うくらい
とにかく生きてるのが嬉しかった。


それがまさか自分に
こんなことが起ころうとは。

信じられない。

でもこれは現実。


やっぱりそうそう簡単には受け入れられないな。

眼球の陥没はいつ止まるのだろう?
恐怖でしかない。


私は夫に元気を与える役目だった。
笑わせるのが生き甲斐だった。

でも今は悲しませてしまっている。

嫌がられないかな?
マイナスの気は伝染する。


夫の前では笑うように努力しよう。
家でもサングラスでいれば大丈夫!

1人の時に思いっきり泣こう。


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