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薬事承認の壁②

前回、薬事承認の壁①の続きです。

結論から言いますね。
薬事承認には金がかかるんですわ。
幅がありますが、モノによってはおそらく一般の皆さんが思っている金額とは桁違いで高額なんじゃないかな。
メーカーが承認取得をするためには薬事のスペシャリストという人員も必要になるし、金がかかるんですわ。
時間も手間(臨床試験報告とか)もかかる。時は金なりなので、やっぱ金がかかるんですわ。
カネカネうるさい?ごめんなさいね。

中でも薬事承認の前例が無いものだと治験から始まり、さらに大変なんですわ。。。
だから先駆者となったプロダクト/企業には本当に本当に敬意を払いましょうね!

薬事承認に関して、CDで例えてみます。
CDってずーっとありますよね。音楽CDや記録用のCD-Rとか。
いずれも生産数減ってると思いますけど…でもありますよね。
そしてこれからもおそらくしばらくありますよね。
いや、消えるか?例えが悪かったかな。すみません、あると仮定して。
だったらCDは承認取得を目指しても良いプロダクトだと思います。
でも、MDってどうでしたか。今の若い人知ってますかMD。
フロッピーディスクみたいのちっちゃい版みたいなやつです。あれ、今の若い人知ってますかフロッピーディスク。まあいいや。
昭和生まれの皆さんならご理解いただけると思うんですけど、MDってほんの一瞬で消えましたよね。
作った時は誰もあんなに旬が短いとは思ってなかったと思いますが、結果一瞬で消えてしまった。そういうプロダクトに、大切なお金と時間を費やすべきと思いますか?

美容になると、もっと流行が短命なのです。
化粧品だって、クッションファンデやらティントリップやらが彗星のごとく現れて、しれっとメイクポーチにいますけど、そういえばキャップに筆がついてるインクみたいな容器に入ったジェルアイライナーってどこいった?たいな。

同じように、美容医療の施術にもトレンドがあります。
今の流行りだったらHIFUとかピコレーザーとか?
ボトックスやヒアルロン酸の注入、スレッドリフトなんかも、昔よりずっと受ける側の抵抗が無くなってきているという、世の中の変化もあります。

だから、製薬会社や医療機器メーカーは慎重に検討する必要があるのです。
需要はあるのか。MDのように一瞬で消えないか。これは一時の流行ではないか。スタンダードになるのか。
安易に決められない金額、時間、手間がかかりますから、各社それを見極めて、戦略のもと、判断を下す必要があるのです。

医師も、患者様のニーズに合った治療を提供したいという意志のもと、場合によっては未承認品を導入されますよね。
未承認品の方がある適応に対して最善の効果が見込めたり、あるいはコストが安かったりするのも決め手のひとつ。機械高額なものに関しては減価償却とかもありますけど、自費診療ですから、コストが安ければ患者様の手の届きやすい金額で提供できますしね。やたら安いヒアルロン酸注入のメニューなんかは未承認品使ってるんじゃないかと。

①でも述べましたが未承認品は「医師の自己責任のもと個人輸入し施術を提供する」わけですから、承認品と同様もしくはそれ以上に、作用機序や効果効能を日々勉強された上できちんと製品を見極めて、海外のものは英語を駆使して個人輸入の手続きをとって、どんぶらこっこと海外からやってくるのをしばらく待って、届いたらスタッフさんのお顔とかでトレーニングをして、やっと施術メニューとして提供できるようになり、そしてそこからまた学会などで知識をアップデートしていくのです。

そりゃあ、叶うものなら全部承認品になってほしいですよ。
レムデシビルの即日承認とか正直「ズッル~!」と思っちゃいましたよ。かかる金はどこが出し点のとか思っちゃいましたよ(また金)。
世界的な危機状況、緊急度も違うので比較しちゃダメなのはわかってますけど…。(すみませんね、ネットだとあげ足とってくる人が多いので予防線…)

兎にも角にも。
施術を受ける側の方には、「承認品だから良い / 未承認品だから悪い」という判断はしてほしくないな~というのが私のささやかな希望です。
不安が残るようなら、クリニックで不安がなくなるまで聞けばいいと思います。リスクや副作用、何でも教えてくれますよ。むしろ教えてくれないところは医療機関としてマズいと思うのでクリニックを変えるという選択肢をご検討ください。
世界中の誰より何より大切なご自分の身体に関係することですからね、ポジティブに施術を受けてくださいな。