デリケートゾーンをケアする理由
先日、勤務先の薬局に、50代後半の女性が、塗布する場所が記載されていない保湿剤の処方箋を持参された
(通常、塗り薬や湿布は、どこに使用するか記載されていなければならない)
「こんな場所が乾燥しているなんて、今まで知らなかったわ」
とその女性が話すのも無理がない
下着についた出血が気になり受診したら
医師から
「乾燥したまま放置していたため、炎症をおこしたようですね。
菌が発生しやすくなるのでお薬だしておきますね。」
と言われたそうだ。
「お顔などと違って見えないところですものね」
と私がお伝えると
「ほんとにびっくりしちゃったわ」
と
この女性のように、閉経をすぎると、腟の粘膜や外陰部の皮膚が乾燥して炎症を起こすことがある。
一般的に「萎縮性腟炎」「萎縮性外陰炎」と呼ばれ、エストロゲンの欠乏が原因である
腟の粘膜は、他の皮膚と同じように、新陳代謝を繰り返している。
新陳代謝により腟粘膜の上皮細胞が剥がれ落ちると、粘膜に含まれているグリコーゲンが乳酸に変化し、膣内を酸性(㏗3.5~4.5)に保ち、病原菌の発育を抑え、膣炎や尿路感染を予防します。これを膣の自浄作用と呼ぶ。
しかし年齢とともに女性ホルモンの分泌が減少することで、この腟粘膜のグリコーゲンも減少し、酸性状態が保てなくなり、膣内の細菌バランスが乱れ、感染や炎症が起きやすくなる。
また閉経後の女性のうち90%以上の方が、何らか泌尿器系の症状を感じているにも関わらず十分な治療を受けていない
「恥ずかしい」、「年だから仕方ない」、「病院に行っても改善しない」
と思いがちだ。
また、市販薬で対応しかえって炎症をひどくする方もおられる。
乾燥・搔痒感・灼熱感・・・これらはよくありがちで、病院を受診するきっかけになりやすい
しかし性交痛で受診する人は少ないだろう
性交痛の原因はパートナーに対する愛情不足ではなく
身体の変化であることを、男性・女性ともに知ってほしい
心豊かに暮らすためには
信頼できる誰かに相談することが大切だ