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先日、トルコのとあるクリニックで2000グラフトの手術を受けた患者様が不満そうな顔をして当院にやってまいりました。

「密度が薄い、髪が割れる、方向がおかしい」

とご立腹な様子でした。

術前の様子はこちら↓↓


髪をマイクロスコピーで覗いてみるとびっくり。
傷跡が大きく、ピッチング、リッジングなど悪目立ちしていました。
1cm2あたりの密度もかなり薄く、低いところで10G/cm2、高いところで25G/cm2でした。

また、後頭部についても採取計画があまりされておらず、
かなり不均一に採取されており、部分的に薄い状態を呈していました。
術前に2000グラフトの手術しました!と言われたそうですが、
よく見ると明らかに2000も採取されておらず、1400グラフト程度の採取痕でした。

これに対して、当院で2100グラフト手術を行いました。

術前写真 右斜め上から 
生え際最前列の傷跡と密度の不足が目立つ 
術前写真 正面上から
移植部 奥
薄さが目立ちます


後頭部採取痕 
黒矢印は採取痕が数珠つなぎのようになっていて傷が目立つが
赤矢印の箇所はあまり採取されていない


最近は当院でも海外植毛の修正例が増えておりますが、

・移植穴作成時の密度不足
・移植部のキズアトがぼこぼこして目立つ
・スリットの方向が異なる
・後頭部ドナーのスカスカ感
・移植範囲が事前に伝えていた範囲と異なる

の5つが代表的な海外植毛の修正点と言えるでしょう。
他にも、丸刈りされて伸びるまでかなりしんどかったなどの御意見も伺います。
丸刈りについては、以前Xでも投稿しておりますが、毛皮角や移植部の誤判断をする可能性などから基本的に私は推奨しておりません。

海外のグラフト採取用パンチは直径が大きいものが多いですから、傷も目立ちがちになります。
今回、傷を最小限にするべく密度アップ用の小さい直径のマイクロホールスリットを用いて修正しました。

術後写真です。

術直後

既存毛や1回目の移植毛を最大限温存しながら合計2100グラフトの密度アップ手術を行いました。奥の密度を自然に増やす方針としています。生え上がりが楽しみです。

トルコには優秀な先生がいらっしゃるのは事実ですが、ブラックマーケット(悪徳クリニック)の数が最も多いと国際毛髪学会でも言われており、きちんとしたクリニック選び・ドクター選びがより重要といえるでしょう。

密度アップは可能な限りショックロスを抑えつつ、既存毛間植毛を行うため難易度が増します。

密度アップの解説動画は↓↓をご覧下さい。


海外植毛は費用は安いものの、手術時間や工程も短縮しているところが多い印象で、どうしてもクオリティもそれなりになりがちです。
言語の壁から意思疎通がとりずらく、予定と異なったなどの問題もあると思います。

絶対に避けなければいけないのは、2回目をすぐに検討するほどの不満足感です。
きちんとした手術をうけないと2回目の修正をすぐに行う羽目になり、結果として必要以上のお金だけでなく、大切なグラフトも失い、傷跡を負うことになります。

日本が正義だと言い切るつもりはありません。
クリニックにより満足度が異なるのも事実ですし、海外でもしっかりとした技術のところもあるでしょう。
植毛をご検討されている皆さんには、大切なグラフトを失ってほしくありませんし、密度の不足や傷跡で悩んでほしくありません。
修正はとにかく難易度があがります。

植毛クリニックが増えてきた中、今一度慎重にクリニック選び、ドクター選びを検討されてみてはいかがでしょうか。
それではまたお会いしましょう。

アルモ形成クリニック HP  
おかげさまで開院5ヶ月を迎えました。
些細なお悩みでもかまいません、お悩みでしたらお気軽にご相談ください。
オンラインでのカウンセリングも行っております。
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(今回のモニター患者様ですが、写真等は許可を得て投稿しております)




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