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ホールスリットとラインスリットの違い ③〜密度編〜 part2

では、前回に引き続きホールスリットとラインスリットの違い② 〜密度編〜 のpart2となります。
前回は、ラインスリットで密度高く移植穴を作成した場合に下記のような現象が起こり得るというところまで解説しました。
今回のpart2では、それらを掘り下げて解説いたします。

【ラインスリットで高密度に移植穴を作成した場合の生じうる現象 2つ】
❶グラフトの浮遊現象
グラフトの飛び出し・動揺現象とも呼ぶ
❷キズの広がりによる移植穴同士の干渉
※あくまで今回は密度の観点でお話します。)


❶グラフトの浮遊現象について

左:ラインスリットにグラフトを入れようとする図。
スリットがライン(線)から楕円のように変化している。

右:ホールスリットにグラフトを入れようとする図

左側の図のように、線状のラインスリットにchubyグラフト(太っちょのグラフト)がおさまりづらく、行き場を失ったグラフトが上に浮き出て飛び出そうとしてしまうことがよくあります。
これにより、創とグラフトの密着度が下がり、結果として生着率が下がることが起こり得ます。
skinnyグラフトだと収まりやすくなりますが、細い毛髪のため、ボリュームが出にくい傾向にあります。


❷キズの広がりによる移植穴同士の干渉について
さらに、一つ移植しようならまだしも、たくさんのグラフトを移植しようとすると、干渉が起こりえます。

左:ラインスリットへグラフトを次々に詰め込んだ図。
複数のライン(線)状のキズが次々に楕円状に変化し、皮膚への干渉が生じている。

右:ホールスリットにはグラフトが収まり良く入る

左側の図では、ラインスリットに円柱状のchuby graft(太っちょの2-4本毛のグラフト)をつぎつぎに入れようとした際の図です。いかがでしょうか。
ライン状のキズが縦方向に広がり、お互いに干渉しあうため、他のグラフトがますます入れづらくなってしまうことがお分かりではないでしょうか。

私自身も以前は、キズ跡の小ささ・細さからラインスリットの方が有利と考えてより多く、使用おりましたが、密度を高める工夫を毎日工夫をしながら手術を行うにつれ、疑問をいただくようにもなりました。

線状のスリットに太いグラフトが入れづらく、⑶ ボリュームの出しやすさや⑸ 見た目の自然さ(段々畑に見える現象)の要素において、不利になるばかりでなく、密着率が下がり、生着率が下がる一番の原因の可能性があります。

ラインスリットのみで若干密度が低く、生着が悪くなった場合にはその可能性があるということです。

当然、ラインスリットにもメリットはありますし、一概に否定するものではありません。次回以降では記載していきますが、この章で伝えたいことはあくまで、太っちょの2-4本毛のグラフトの方が1年後に毛髪ボリュームが出やすく、密度高く移植できるという話です。

次回は、「ホールスリットとラインスリットの違い(3)のボリュームの出しやすさ」に焦点を置いてお話していきます。

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