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姉と夏のバナナアイスと魔法のきらきらシール

私には6歳離れた姉がいる。昔の姉は負けず嫌いな割にはあっさり引くところは引く。潔の良さも兼ね揃えていた。勉強もできたがかなりズボラで無頓着。インドアで漫画をよく読みよく書いていた。

そんな姉とは 今は仲はいいけど、昔はよく喧嘩したものだ。

やはり6歳も上だとわたしなんぞが叶うわけもない。
力も言葉も。すべて。

よく姉に騙されてきた。それは夏の話。

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姉(11)「あー私がずーっと大切にしてきた今しか手に入らないこの魔法のきらきらシール(何枚か使用済み)欲しい人おらんかなぁ~?」

ビヨン酢(5)「(魔法!キラキラ!)ほしい!ほしーい!」

姉(11)「えー?でもすごく貴重でレアねんてねー!タダであげられんわ~!」

ビヨン酢(5)「(貴重でレア!)ほしいー!ちょーだい!」

姉(11)「本当はあげたくないけどバナナアイスと交換ならあげる。」

姉の要求は、私が前日から楽しみにしていた冷凍バナナである。ちょいと黒ずみがある完熟のバナナを凍らせる。これが我が家のたまーにあるデザートデーだった。だから姉も私もすごく大好きだった!母ケイコに一本づつ食べるんやよ。と言われていた。姉は午前のうちに食べ終わっていた。

 もう私に迷いは無かった。





魔法のきらきらシールで貴重でレアなのだ。






ビヨン酢(5)「(欲しい気持ちMAX)いいよ!あげる!!」
あっさりとバナナと交換した。あれだけたのしみにしていたのに。次の日が待ち遠しくて何回も夜に冷凍庫をあけて見ていたのに。
やはり魔法のきらきらシールでレア貴重で姉がなかなか手放したくないとしてたから欲しくてたまらなかった。


姉は涼しい顔で扇風機にあたりながら漫画を読みバナナアイスを頬張る。

 ビヨン酢(5)「これってまほうつかえるんやよね?」 

姉(11)「んー。」

ビヨン酢(5)「どうやったらまほうでるん?」

姉(11)「デコに貼って公園のブランコ乗ればいつもより羽が生えたみたいになるよ」

……羽!!!
セーラームーンやん!
 トクン。と心臓が跳ねたのを覚えている。

ビヨン酢(5) ペタッ。「いってくるねー!」

そうして普段と変わらないブランコを目一杯漕いでたしかにいつもより高いかも!!!と興奮していた


なのに隣にきた近所の子がブランコを私よりもはるかに高くまで漕ぎ上げ、全然自分のが低いとわかった瞬間に魔法は嘘やん!って気がついたが時はすでに遅し。

その頃にはおでこにシールの日焼けを作りせっかくの貴重なおやつが無くなった夏のことだった……。

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