もう一度会いたい名も知らぬ女性

私は大学1年の時に横浜に住んでいました。
そこで最寄り駅で見かける髪はショートボブで知的な顔立ちの一人の女性が気になりだしました。
その人は真っ赤な車椅子に乗りスーツ姿が多くたまに同僚の方とお見受けする人と会話されてるので近隣の会社にお勤めなのかと想像してました。足の形状から見て先天性ではなく事故などの脊髄関係だったのかもしれません。
一度彼女が水筒を落とした事がありました。3m程後方に転がって行きました。私がそれを拾う為に水筒の方に行こうとした時に「あ・大丈夫です自分で拾いますので」と素早く方向変換して水筒を拾い上げました。出来る事はなんでも自分でするみたいなオーラを感じました。それから何度も見かけて横浜での一年間が終わろうとしていました。ある日彼女はパンと携帯電話を持って私の横を追い抜いて行く時に彼女の携帯電話が鳴りました。
相手が外国人なのかyes・・とかしか言わずあまり気乗りしない相手との会話だったみたいで突然キレた様な口ぶりで「Just a fly in the ointment. 」と言って(そう聞こえた)電話を切ったのです。聞いた事の無い言葉で「ハエみたいに邪魔者だ!」みたいなスラングっぽい言葉だと思うけど相当英語が堪能なんだと思いました。
数日後の雨の日に横断歩道を私の後方10mくらいを彼女の車椅子が渡って来ました。その時ちょうど私達の間くらいで車同士の衝突事故が起きました。
彼女は事故車両に進路を塞がれ進めなくなりました。また大丈夫です❣とか言うかな?とは思ったけど私は10mを走って戻り車椅子を押して交差点に入ってくる車の列を避けて退避しました。そして私に笑いながら「ありがとう~いつも見ていてくれてありがとうね」と言いました。いつも何か有ったらと見ていてくれるのを知ってたと言うのです。その後2回ほどすれ違ったりしたけど一度だけ「あなた〇〇大学の子?」と大学名や学部まで当てられてしまって驚いたのです「何で解ったんですか?」と聞くと「なんとなくです」と笑った。
その後私は東京に戻りもう会う事もなくなったけど何度かバイクでツーリングがてらあの駅周辺に行って探したけど彼女を見かけるタイミングには出会えなかった
もうちょっと彼女と話したかったなぁ~と今でも思うのです
時間や関係性の有無に限らず人生にはほんの一瞬の遭遇が心に残り続ける事って有るものなんですね

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