桂米朝 【除夜の雪】
人間国宝、桂米朝。その数々の素晴らしい演題の中に「たちぎれ線香」「百年目」などの人情絡みの大ネタに比べると知名度は低いが本当に素晴らしい話です。
あるお寺の三人の修行僧の大晦日の話なのですが、話の大半は三人の年明け前のお寺のエピソードで展開して行き馬鹿馬鹿しい笑いで進行して行く。
ただ、終盤のある女性の登場とその結末で一瞬にして人情話に展開してしまう。
最後の一瞬だけの登場が最初からの登場人物を凌駕する心に響く主人公になってしまう。
これはまさしく人間国宝、桂米朝ならではの究極の話芸と思える芸術作品だと思います。