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鴨川ホルモー、ワンスモア

5/4(土)にサンケイホールブリーゼで開演された「鴨川ホルモー、ワンスモア」を観劇した感想を残しておきたいと思います。

安倍(中川大輔さん)

この物語の主人公。主人公らしくない主人公。だからこそフラットな状態で彼を見ることができると思います。
中川さんは今回が舞台初主演とのことでしたが、鈍感で自分しか見えていない安倍の様子がたまらなく好きでした。原作では安倍の一人称視点で物語が進んでいきますが、舞台版ではいわゆる神様視点で進んでいくところで、安倍をより客観的に(登場人物の一人として)見ることができました。
これは脚本の上田誠さんの手腕ではありますが、それを見事に表現された中川さんの演技力はすごいと思いました。

早良京子(八木莉可子さん)

いわゆるサークルクラッシャー(サークラ)といわれる、この物語において常に全員を振り回す、原作では言ってみれば真の悪役みたいな役なのですが、この舞台においてはそこがマイルドになっていたように感じました。
原作ではただただヤバい奴という印象だったので、なんか愛くるしくなっていて、八木さんが早良に対して向き合い、八木さんなりの早良を見つけた結果なのだろうなと。
個人的には、同郷(滋賀県出身)ということで、応援したいなと思っています。

高村(鳥越裕貴さん)

ほんと高村にしか見えませんでした。鳥越さんの演技力本当にすごいです。
高村はだれとでも話をして、情報屋のような、もっと言えばストーリーテラーのような存在だと思っているので、立ち回りが気持ちよかったです。
おそらく高村には全体が見えているので、鳥越さんが台本を全部覚えた(万城目先生と上田さんの生配信参照)というエピソードを伺って、改めて高村だなと感じました。
ちょんまげがとてもお似合いでした。

楠木ふみ(清宮レイさん)

原作よりも甘さが増していた気がします。持ち前の明るさを基本的には封印しながら、レナウン娘やホルモー対戦のシーン(どちらもダンスだと思っています)ではさすが現役アイドルの立ち回りでしたね。動きのキレがありますし、動きがダイナミックで見ごたえがあります。
表情の演技がとても上手だなと感じていて、新勧コンパで安倍をずーっと見つめていたり、告白シーンでの恥ずかしそうな感じ、メガネを外したときの晴れやかな表情まで管理がすごいなと感じていました。
松永とのシーンは、とても生き生きしていて、ナイスコンビでしたよ。

芦屋満(佐藤寛太さん)

どこまでもいけ好かない奴で、その感じが全面に出ていてすごいと感じました。ほんと芦屋にしか見えません。
芦屋は自分のことしか考えていない、ナルシシストで嫌な奴なので、あのキャラづくりはどのようにされたのかとても気になります。
早良さんと付き合ってはいるけど、巴ちゃんのことが気になる絶妙な感じ。決め切れない、踏ん切りのつかない感じを表現されるのがとてもうまかったと思います。
ホルモー対戦のシーンでのキレの良さはピカイチでした。

清原(石田剛太さん)

個人的に石田さんの演技が好きなんですよね。
舞台オリジナルキャラを、さも原作にもいるかのように見せる技術と演技力。
あれは石田さんにしか作れないと思います。
二人静の紀野に想いを伝えるシーンでのセリフ、毎回会場で笑いが起きていましたが、あのセリフの言い方や間がとても好きでした。

柿本赤人(酒井善史さん)

滋賀県民として、BKCをネタにしてくださったのがとても嬉しいです。
ホルモー対戦のシーンでの発明品。
小道具を自ら作成される気持ちの入りようがすごいなと感じました。
清盛とのシーンでのセリフ、本当にありがちな普遍的なセリフですが、寂しさが込み上げてきたのは、酒井さんの演技力あってこそだなと思います。

三好 兄(角田貴志さん)

弟とあまりにも似すぎです。それだけで面白くて、この舞台での一番の面白ポイントではないかと思っています。
弟役の浦井さんとのユニゾンが寸分たりともずれがなくて、プロの技術をまじまじと見せつけられました。
あれがずれると面白さが半減してしまうと思うので。
また双子役やっていただきたいですね。

清盛平(土佐和成さん)

いかつい。原作でこんなにいかついと思いませんでした。
ホルモーV3中の大学ということで、その辺の余裕が見えるところが表現されていて、話の中に入りやすかったです。
柿本とのシーンでの社会人ホルモーのくだり、いわゆるエモシーンのはずなのに毎回笑いが起きているところがとてもよかったです。
おそらく土佐さんの声のトーンや間が絶妙なんだなと感じました。

店長(中川晴樹さん)

この物語の中で、一番ホルモーのことを知っている生き字引のような人物。
なのに多くは語らないところがミステリアスでいいですよね。
全編を通して、弾き語りをされていて、とてもお上手なのに大笑いしてしましました。
この役は中川さんしかできないと思います。
別の舞台のオファーも老人役が来ているというカーテンコールでのお話も面白かったです。

紀野(藤松祥子さん)

二人静の片割れ。坂上とは違い、恋もしてしまいそうな難しい役どころだと思います。
北山議定書を破り、坂上とホルモー対決をすることになりますが、ここは原作よりはかわいそうな感じではなくコメディタッチになっていました。原作は本当にかわいそうなので。
芦屋に放った「お前、ホルモー以外0点だな!」は、この舞台一の名台詞だと思います。

大江(片桐美穂さん)

オリジナルキャラなのに、いやオリジナルキャラだからこそできる存在感。
演技力だけでなく、歌唱力にも惚れ惚れしました。
レナウン娘や店長とのデュエットなど、全編を通して歌うことが多かったと思うのですが、抜群の安定感のある歌声。
三好兄弟とのシーンでのコメディ感もとても好きでした。

山吹巴(日下七海さん)

今作で一番好きなキャラです。原作の巴よりもとてもかわいく見えました。
ただ、ヤバさは増していて、芦屋へ対する執着がたまらないです。
黄龍陣の復活まで舞台の中に組み込まれるとは正直思っていなかったので、とても嬉しかったです。
芦屋とのシーン、早良への敵対心、ホルモーへの乱入など、最終的にはかなり物語をかき乱す人物となっていて、日下さんの演技力のすごさに圧倒されっぱなしでした。

坂上(ヒロシエリさん)

二人静の片割れ。毒々しさがたまらなく良かったです。
本当にまじめに坂上という人物に向き合われたんだろうなと感じました。
二人静でホルモー対決をするシーンでの、真剣なのにコメディになっている感じが出せるのは、ヒロさんの演技力あってこそだと思います。
キャラが濃いのに主張しすぎないバランスの良さも心地よかったです。

三好 弟(浦井のりひろさん)

兄と似すぎです。それだけで会場の笑いをかっさらっていたと思います。
正直、いまだに見分けがついていません。
ブルース結成のシーンでの邪悪さは、そこまで出していなかった分面白さが際立っていて大好きです。
アクスタ入れ違い事件のエピソード、大笑いしました。

松永(平井まさあきさん)

なんて愛くるしいキャラ何でしょうか。
楠木への純粋な愛。振り向いてほしいから理系用語を覚えたりする健気さが、一番共感を呼んだキャラだと思います。
原作では全くと言っていいほど出てこないので、舞台での化けようがすさまじかったですね。
楠木とのバイクのシーンや、楠木の告白に遭遇するシーンでのやり取りが、ほほえましかったです。

立花美伽(槙尾ユウスケさん)

完全に女性役でしたが、本当に女性に見えるのがすごい。
あの高い声を出し続けながら枯れないのが、本当にすごいです。
喉のケア方法が気になります。
なべ丸のエピソードを立花に落とし込むのは、舞台でしかできないなと感じました。
高村との今後が気になりますね。

菅原真(岩崎う大さん)

原作の菅原はもっと余裕のある感じでしたが、なんだか人間味のある菅原になっていてすごいと思いました。
なによりう大さんの台本なのにアドリブっぽく見えてしまう自然さが本当にすごくて。
舞台上にいるだけで何かが起きそうな、そんなわくわくを与えてくださる存在感。
改めてとんでもないコント師だと感じました。


完全に自己満足というか、覚書のようなものですが、以上感想でした。
本当に楽しかったので、またこのメンバーで「がぎじぇぼぁ」していただければいいな。

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