扇よ、開け!
「日本語の発音がきれいにできていますね」
お稽古のときに先生がおっしゃった。
おそらく他に褒めるところがないからだろう。
11月から始めた能の2回目のお稽古の振り返り。
鼻濁音という曲者がいる。
言葉を追いかけているとつい忘れてしまい、先生の「今、忘れていましたね」の言葉が部屋に響く。
昔は公園の端と端に立って、聞こえるかどうか発声練習をしたようだ。
びわまめさんの町でもできるかな、と聞かれ考える。
できないことはないだろうが、今年はちょっと難しいかもしれない。
今住んでいる町の人たちは皆びっくりするぐらい大声で話すので、
少しずつ私もそのようにしてきたつもりであったが、まだまだ私の声は小さい。
前回の復習が終わったと思ったら、一人でやってみろと言われ
補助輪を外された子供のような心持ちになった。
よし、やるしかない! と何とか最後まで言えたと思ったら、
新しいパートをやるという。ちょっとぞっとした。
どんどん進む。
にわのいさごは、きんぎんの、のとことろがとてもかっこいい。
まるでロックのようだ。
しかし、このあたりからいろんな節回しが出てきて、
途中から先生の説明が外国語のように聞こえてきたのだった。
仕舞では、
・360度から体が糸で引っ張られているような感じを持って
・日常を出さないように
・様式美
の言葉が印象に残った。
日常が雑な私はどうしても隠さなければいけないことであろう。
そして、動きの簡素化。
今住んでいるところでは、みんな身振り手振りが大きいので、
つい私も癖になっているかもしれない。
頭の上にお盆と湯飲みを置いて、お茶をこぼさないように歩く練習をするところもあると聞いた。
今日一つよかったことは、扇が一人で開けるようになったことだ!
この間は一度も開けなかったけれど、先生のアドバイス通り少し手首を返してやると、あら不思議!
いままでの難しさが200とすると、手首を返した後では120ぐらいになったと思う。つまり、まだ簡単ではないということだ。親指が痛いが、嬉しくて何度も開く。
質問はありますか、と最後に聞かれる。
毎回30個ぐらいあるのだけれど、最初から頭でっかちになるのもよくない。
今日も事務局のおじさまがずっとついていてくださっていた。
ありがたいことだ。
何でも、おじさまは大学生の頃の部活で能を始められたそうだ。
屋上で一人ですり足の練習をしていたこともあった、という話はとても興味深かった!
明日は3回目のお稽古だ!
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