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諦めない


私の母は末期の胃がんでした。
(初めて私のnoteを読んで下さっている方は、マガジン「母の記録」にて、これまでに母と私達家族に起こった出来事を記していますので、よかったらそちらの方も読んでみて下さい。)



2024.1.30
今日も下の子を学校へ送り出した後、父のお弁当と母の着替えをバッグに詰め込み病院へ向かった。


私『お母さん、おはよ〜。』

息子達の話しや、昨日のお客さん(ダンナが営む飲食店の手伝いをしてます)の話を一方的に母の報告。
私の話を聞いているのか、聞いていてもちゃんと分かっているのか分からない…昨日と変わらない母。


昼過ぎ。
何か食べないと…と母が言うので、お昼に温玉を少しだけ母の口に流し入れた。


母はまだ、生きることを諦めてはいない。


飲み込む力はとっくにないはずなのに、
『やっぱり野菜を食べないとね』と言う。
でも、食べる事は出来ないから野菜のジュースをほんの少し…本当に少しだけ、スプーンで母の口に流し込んだ。ゴクリ、母には辛い作業でしかないように思える。

そんな母を見ていると、辛くて涙が出る。

でも3口も食べた…と思って、凄い、もしかしたら、ちょっとずつでも食べる量が増えてくれたら…と期待してしまう。



そろそろ帰る時間になるので、父は私が出る前に慌てて一服して来ると言って病室を出た。


父と入れ違いで、主治医の先生が母の様子を見に来てくれた。


母が寝ていたので、先生はすぐ病室を出た。
慌てて先生の後を追って、私も病室を出た。


私『先生、母はどんな感じですか。最近少しずつですけど、プリンやゼリー…今日のお昼は温玉を3口食べました。』

先生『2〜3口食べたは、食べたうちには入りません。お父さんにはお話ししましたが、やっぱり娘さんにも一緒に話を聞いてもらうべきでした。』

私『…すみません。』

先生『お父さんには、週単位だと。寝ている時や急に…と言うことがあるので覚悟しといて下さいね、とお話しています。』

先生『お母さんが少しでも痛いと感じたら、遠慮なく言って下さい。痛さの具合をみて、薬を出せるよう看護師に言っています。我慢させないで、なるべく痛みを感じないように最後を…と考えています。』

私『はい、よろしくお願いします。』
と言って、話が終わると私は病室へ戻った。
泣くのを我慢していたけど、病院へ戻った瞬間涙が溢れ出た。

父が病室に戻ると、先生が母の様子を見に来た事と、先生との会話を父にも話した。
父は何も言わず涙目になった。


私『お母さん、仕事行って来るね。また明日来るけん待っとってね。』
母は眠っていた。


病室を出てからも涙は止まらなくて、涙と鼻水でマスクはびちょびちょになった。



また明日、母に会いに行きます。2024.1.30



#母 #胃がん #末期がん #緩和ケア

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