別惑星での3ヶ月弱

おじいちゃんから貰ったわたしの宇宙船は、ここにいる間に4回パンクした。
年季と性能不足をひしひしと感じながら、かえって愛着が湧いた。
これからも雑に大事に乗ろう。よろしくね。

ここにいる時間は本当に濃密すぎて楽しすぎて、
「まるで3年くらい一緒に生活してたみたいだね」
とみんなで何回か笑った。

毎晩仕事が終わってまかないを食べて急いでシャワーを浴びて、
いつでも寝られるように準備してからみんなと飲んで騒いで遊んだ。
何回か大人に怒鳴られた。
“大人に怒られた”“大人が見てる”と表現してしまうほど、子どもに戻って毎日笑っていた。

わたしの心の奥底でたぎってた淡くない想いがこの惑星内の生活で成就しなかったのは、たぶんそれが原因でよくなかったことなんだけど。
でも楽しかったからいいんだ。
この物語は、まだ終わってないしまた別のお話。
地球に戻ってからも続くんだろう。

スキーもスノボも興味がなかったわたしは、
3ヶ月間のんびり引きこもるつもりでここに来た。
留学を終えて突然手を出したギターと、
買ったままやっていなかったたくさんのゲームと、
いつか読もうと思って手をつけていなかった本を携えて、
休みの日は部屋から出ないつもりだった。はずが。

大好きな人たちがまたたくさん増えちゃったな。
ここで得たのは毎晩の飲み食いで増えた体重だけではない、と思いたい。
ここではやりたいことをやりたいと言っても誰も笑わなかったし、
どんなくだらないことでもなんとか叶えてくれたし、
優しい大人はしっかり存在して、
雪山で日焼けして一皮向けたわたしはまた新しい決意で明日母なる地球に帰る。

次の仕事の目処も立ったので、
実家に帰ったらしばらく無限の時間を手にしようかなと思う。
タブレットでも買おうかな。
とりあえず実家の部屋を片付けて、
ギターの練習の続きをして、
書きたかった小説でも書き始めよう。
ラジオもまたやろう。
いつも笑顔の裏付けを。深みのある人間になろう。

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