【ACG大会2024秋 優勝】対戦レポ
エントリーナンバー42番ことbittです。
前回の記事で【蔵馬ループ】のデッキ解説を書いたところ、あまりにも長文になってしまったため、当日の対戦記録についてはカットしました……。
ですが、せっかくの楽しい対戦会だったので、一応記録として書き残しておきます。存在しないカードゲームのデッキを組んで、初対面の人と対戦するという独特な空気感と楽しさを、少しでも共有出来たら嬉しいです。
ただ、オタクの感想文だけでは得られる情報アドがnullなので、おまけとして、当日対戦しながら有用と感じた「小テク」を最後に共有します。今後【蔵馬ループ】や【冬眠コントロール】を使う方にとって何かの参考になれば幸いです。
※対戦レポについては、自分の記憶を頼りに記載しております。ライフの推移と『夜襲』で覗いたカードに関しては、対戦中にメモしているのである程度正確ですが、細かいプレイ内容等は間違っている可能性もあります。予めご了承ください。
※オタクの感想なんて興味ないよ! という方は、「おまけ : 小テク」まで飛んでください。
0回戦 : 会場受付 〇(オポ最弱)
相手は10時~10時30分受付。事前の想定通りに7時起きを決め、ちゃんと予定通りの電車に乗って、ドラゴンスター池袋店にて受付。
ちなみに、ここで受け取った番号が42番でした。
……参加者42名。最遅個体でした。まあ受付できたのでセーフ。
この後、運営の方から大会についての説明を受けつつ、デッキ構築の時間。カードとスリーブ、そしてデッキケースまで貸し出される太っ腹イベントなので、手ぶらで参戦できるのはありがたい限りですね。
カードは、厚紙の表面にカラー印刷されているもの。発売前って感じがしてこれはこれで味があります。一人回し用に自分で刷ったプロキシはモノクロ印刷だったので、カラフルなだけで少し嬉しい。
事前にデッキリストは記載していたので、リストを見ながらカードをスリーブに収めていきます。一人回ししかしてない「脳内最強(笑)オリジナルデッキ」なので勝つ自信はないですが……ここまできたらやるしかない!
1回戦 : 赤青冬眠コントロール(バーン採用型)
結果 : 〇 - △(時間切れ)
初対戦にドキドキしながら指定された卓に着席。お相手の方はすでに『冬将軍』のプレイマットを用意していてかなりの「本気」っぷりが伺えます。初戦から強そうな人引くのは運負けです~泣。
ですが、初対面の対戦相手の方と雑談しながらデッキシャッフルをするのがほとんど10年ぶりで、懐かしさに少し緊張がほぐれました。MTGやってたときの気持ちを思い出しつつ、真剣勝負のマインドに気持ちを切り替えます。
ダイスを振って先手後手を決め対戦開始。お互い水生領土が領土デッキから飛び出し、ゆっくりしたゲームになるかなと思いきや、2T目に『渓谷』が出てきて目玉が飛び出る。赤青!?
対戦中こそ平静を装っていましたが、想定しないカラーリングに内心かなり混乱していました……。まさか初戦から予想外のデッキ踏むなんて。
予想外ながらも、一応この時点では、妨害を採用した【四つ子ワンショット】を想像していました。四つ子の「弾」は、ダメージ効率の良い『象教皇』か色の合う『クロコダイルⅡ世』のどちらかでしょう。【四つ子ワンショット】は象パッケージと相性が良いため【赤緑象】のサブプランに組み込まれている印象でしたが、確かに青の墓地肥やしと妨害は四つ子コンボと相性が良く、【四つ子ワンショット特化型】で組むならこの色も不自然ではありません。
ひとまず、「弾」が墓地に落ちるまでは余裕があると判断し、ドロソを回しながら妨害をかき集めます。相手も『貯め瓶』や『海中への探査』などのドロソで手札を回す展開。大きな動きのないままターンが進みます。
数ターン後、今度は相手から『冬』がプレイされます。……『冬』? まあ青系の四つ子なら自然に採用できるか……とか考えつつ、手札に『噴水』があるので妨害せずにスルーすると、今度はこちらのターン終了時に相手から突然の宣言。
「『火球』、対象本体」
マジか!!
ここでようやく対戦相手の構築を把握します。これはバーン採用型の【赤青冬眠コントロール】。火球は本体にも動物にも撃てる汎用火力なので、こちらに動物が入っていないと判断して手札上限が来る前に顔に撃ち込んだというところでしょうか。
……この形の【冬眠コントロール】を真面目に検討したことはありませんが、これまでの動きを見るに【赤単バーン】よりも【冬眠コントロール】に寄った形と想定されます。となると、自分のライフも削れる『狐火』や、弾となる生物が必須の『火達磨』は採用されていないはず。
その上で、【青緑冬眠コントロール】の緑カードの枠の分がバーン札になっているのならば、採用可能性が高いのは『火球』『焼き討ち』『不知火』『大炎上』の4種類最大16枚です。既に『焼き討ち』を強く使えるターンは過ぎたので、特に警戒が必要なのは『不知火』と『大炎上』の2枚。この2枚には確実に妨害札を合わせたいところ。そして、ライフを守るという観点から『冬将軍』の攻撃だけは絶対に通してはいけません。
上記を意識しながらループ開始まで凌ぎきり、『貯め瓶』を使ったループでライフを安全圏まで持っていって、最後は『夜襲』ループで締める。大枠でこの方針でプレイすることを決心し、デッキを0枚にすべくドローを進めていきます。
相手が『冬将軍』をプレイしたタイミングで『噴水』を『冬』に撃ち込み、そこでの妨害合戦にも勝利して『冬将軍』を自壊させることに成功。その後の火力は『火球』と『大噴火』を1枚ずつ通し、『貯め瓶』を1回入れ、ライフ14点で無事にループに到達。
そこからは対バーン用ループの『森の中へ』を『夜襲』に切り替えた形で回し、毎ターン『貯め瓶』を回してライフを42点まで戻します。ライフが安全圏になった後は基本の『夜襲』ループに切り替えて封殺。
(『貯め瓶』絡めるループは難度が高くミスするのが怖いので、途中からシンプルな『夜襲』ループに切り替えました。『森からの贈り物』と『貯め瓶』が重なった瞬間にセルフLOするリスクがあるので。)
相手の残りデッキ枚数が5枚ほどになった段階で、対戦相手の方が投了。
予備デッキからは『貯め瓶』『設計図』『孤毒鍋』を採用。残り時間10分のアナウンスを聞いて「お互いコントロールなので2戦目終わらないかもしれませんね~」なんて談笑しつつ、内心は(予備デッキ15枚でフルバーンに換装されてたらどうしよう)とドッキドキ。『狐火』『猟犬』『陽炎』まで採用されたら、余裕で10分の間に2回焼かれます。
……幸いにも、相手の予備デッキはそこまで暴力的ではなかったようで、序盤はドロソからという穏便なスタート。『火球』1回分を『貯め瓶』1回分で相殺しつつ、『冬』をバウンスして『冬将軍』を破壊している間に時間切れ。1勝1分けで無事に初戦勝利! 対戦ありがとうございました。
……ちなみに、自信満々に『大噴火』(自分の『冬』が割れてしまう)や『火達磨』(弾が『冬将軍』しかいない)は採用されてない! と予想してたのに、普通に入ってたし普通に撃たれました。デッキレシピどうなってるんだろう……。凄く気になります。
(なんなら『火達磨』は『冬』をバウンスしようとしたタイミングで『冬将軍』を弾にして撃たれました。一応妨害したけど、なんだか損した気分。)
2回戦 : 青緑冬眠コントロール(蔵馬システム?)
結果 : 〇 - 〇
続いて2回戦。序盤でお互いに『沼地』がめくれ、色はミラーであることが分かる。というか……
「あの、デッキ枚数何枚ですか?」
「5x枚(細かい枚数忘れた)です」
ああ~~~~~そういう感じね!
シャッフルしてる時から、同じ貸出スリーブ使ってるはずなのに妙にデッキが厚いなとは思ってたんですよね!!
というわけで、【蔵馬システム】です。自分もデッキを考えるときに一度は通った道なので分かります。
青緑というカラーリングは一応クロックパーミッションの線もありますが、象や鷲に依存するデッキがわざわざデッキ枚数増やすはずがないので、十中八九【冬眠コントロール】もしくは【冬無しコントロール】でしょう。
理論上こちらのLOは起こりえないので、相手のデッキ枚数が多くても問題ないはずなのですが、それでも緊張はします。何より、相手がLO意識のデッキ構築をしているということは『冬への備え』ループのことも知っている可能性が高い。こちらも集中して、妨害合戦に備える必要があります。
……唯一救いがあるとすれば、少なくとも【蔵馬ループ】ミラーではないということでしょうか。【蔵馬ループ】はそのループコンボの特性上、自分のデッキを0枚にすることに特化する必要があり、デッキは必ず最低枚数で構築されます。
【蔵馬ループ】は【蔵馬システム】の上位互換。そう信じて今日このデッキレシピを持ち込んできたのですから、なんとしてでも勝たないとです。
そんなことを考えながら、序盤はお互いにドロソを使ってデッキを回す穏やかな立ち上がり。
中盤にかけて、お互いの『妖狐の巻物』が盤面に着地する展開に。ですが、相手が『鉄檻』を生贄に捧げて「妖狐カウンター」を乗せるタイミングに合わせて『噴水』をぶつけるプレイを2回行い、相手の巻物に仕事をさせません。こちらだけドローを進め、3回目の『妖狐の巻物』のプレイを妨害札3枚で叩き落します。
その後、『冬への備え』のプレイコストで『噴水』を2枚と妨害2枚を回収し、相手の『冬』に備えます。「冬への備え」だけに(激ウマギャグ)。
これでかなり有利に……と思いきや、なんと相手の手札から2枚目の『妖狐の巻物』が飛び出してきます。うん? 話が違うぞ?
手札の妨害で撃ち落とし、ひとまずは安心するものの、まだまだ気は抜けないぞと改めて集中します。
※後で構築について話を聞いたところ、『冬』で割れてしまうからリカバリー用に『妖狐の巻物』を3投しているとのこと。自分のデッキ構築過程の思考回路とまったく同じなのに、そこから別の構築が生まれてくる……これだからカードゲームは面白い!
とはいえ、そこからは驚くような展開もなく。相手の『冬将軍』を『鉄檻』で足止めしている間に、『設計図』で一度シャッフルを挟み、首尾よくドローした『噴水』で『冬将軍』を自壊させます。あとはそのまま『夜襲』ループを決めて勝ち。
2戦目。相手が【蔵馬システム】型である以上、予備デッキからイーグルビートに換装する……というような「アグレッシブ・サイドボーディング」はまずありえません。安心。
(デッキ枚数が下限以上であるということは、予備デッキから採用されるカードの濃度が薄いということ。40枚デッキに4枚採用するのと、60枚デッキに4枚採用するのでは、初手の引きやすさも軸としての安定感もまるで違います。そのため相手のデッキは2戦目以降も【冬眠コントロール】と予想できました。)
基本通り、序盤はドロソでデッキを掘り、巻物を設置。中盤は『冬』を『噴水』で戻して『冬将軍』に行動させない立ち回り。
残り時間1分で、対戦相手の方が勝ち筋なしと判断し投了。対戦ありがとうございました。
3回戦 : 青緑イーグルクロックパーミッション
結果 : 〇 - 〇
対戦相手の方のnoteを読んでください。カード1枚1枚への評価、デッキ選択理由、そして丁寧な対戦レポと、非常にまとまった良記事です(第3試合の項目で、自分との対戦記録も載ってます)。
3回戦も、初動はお互いに水生・森林領土を置きながらドロソを撃ちあう展開。この時点では「また【冬眠コントロール】かな……?まあそれなら相性有利だしな」と考えていました。
序盤の内にお互い『妖狐の巻物』をプレイし、こちらの巻物は通って相手の巻物は妨害することに成功。これでコントロールミラーはかなり有利になったと喜んでいたところ……いきなり飛び出してくる『戦列の鷲』!
イーグルクロックパーミッションかい!!
その強さは理解していたものの、環境デッキとしては切っていた相手(詳しくは前回の解説記事をお読みください)。正直、かなりキツイです。
というのもこの構築、象系統を重く見てメインの除去カードを『噴水』にしています。このバウンス、『戦傷の勇者』には強いのですが『戦列の鷲』には全く刺さりません。本体を戻すとなぜか鷲が増えますし、トークンを消しても1点しか防げない……。
しかも、デッキ枚数の兼ね合いで『鉄檻』は3枚、『淘汰』は1枚しか採用していません。イーグルの横並べ展開への対策が薄く、クロックパーミッション系統の中でも特にキツイ相手です。なんで象じゃなくて鷲なの……泣。
とはいえ、泣いていても仕方がありません。幸いにも鷲が出てきたターンが遅く、こちらの手札は潤沢です。『鉄檻』が妨害され攻撃を数回通したものの、『貯め瓶』でライフを戻し、妨害を構えた状態で『淘汰』をプレイ。残りライフ9点残して鷲を一掃することに成功し、そのまま『夜襲』ループへ。数回『夜襲』を回したところで、対戦相手の方が投了。
予備デッキからは『鉄檻』を探すための『設計図』を追加し、『森の中へ』を1枚サイドアウト。イーグルに当たると知っていれば、追加の『鉄檻』や『淘汰』も用意したのに……。
そうして2戦目。序盤から都合よく『妖狐の巻物』を引き、そのままプレイすることに成功。相手も『妖狐の巻物』をプレイしてきたものの、しっかり妨害を当てて叩き落します。相手からは全く妨害が飛んでこないので、おそらく手札はそこまで強くないと思い込んでいました……。
そして中盤。相手が5コストの状態で、3コスト残して『戦列の鷲』をプレイ。こちらは妨害を持っていたものの、手札に『鉄檻』と『噴水』をセットで抱えていたため、余裕の表情で素通し。
そして返しのターン。
「プレイ、『鉄檻』」
「妨害します」
「(妨害あるのか~)対応してこちらも妨害」
「もう1枚妨害で」
……!?
『鉄檻』が妨害され、そのままターンを返す羽目に。妨害されてから気づいても遅いのですが、ここでようやく、相手が『妖狐の巻物』を妨害"できなかった"のではなく、妨害を"温存していた"ことを理解します。
こちらがLOを唯一の勝ち筋とする「超長期戦デッキ」であることは、1ゲーム目で露見しています。そのため、長期戦で力を発揮する『妖狐の巻物』は妨害を釣り出すための囮として使用し、短期決戦プランの障害となる『鉄檻』を止めることに全力を注ぐプレイング。いくらなんでもカードゲームがお上手すぎません???
『鉄檻』をプレイできなかったため、そのまま鷲に殴られる展開に。こうなっては手札の『噴水』も役に立ちません。1回は『森の中へ』で誤魔化すものの、何も引けないまま2回殴られ、残りライフは10に。
ここで『噴水』の温存を諦め、相手のワシトークンにプレイ。ワシトークンを1体減らすことで、打点を4点に減らし1ターンの延命を試みますが……。
「『戦列の鷲』プレイ」
無理~~~~~。
2枚目の鷲の登場で盤面の打点は9点に。残りライフは6。もう後がありません。
ここで2枚目が出てくるのも上手で、おそらくこちらの『淘汰』をケアしてのプレイングなんですよね。1ゲーム目でこちらが『淘汰』を見せているので、撃たれた後のリカバリーのために温存し、こちらが『噴水』を撃つほど切羽詰まっているのを確認してから、キルターンを早めるために2枚目を投入。プレイングが完璧すぎる……。
そうしてターンが回ってきます。ここからはもうひたすらに山を掘って『鉄檻』を探すしかありません。
『森からの贈り物』プレイ……ない。
『孤毒鍋』プレイ……ない。
『猿知恵』プレイ……3枚見て……
『鉄檻』あった! そのままプレイして……通った!!
なんとか『鉄檻』を置いて首の皮一枚つながりました。とはいえ、これに対処されたらその瞬間に負け。祈りながら相手にターンを返します。
返しの相手ターン。相手は1枚引いて……何もせずにターンエンド!
無事に生き残ることに成功。そのまま『鉄檻』の維持コストを支払って延命を続け、数ターン後に引いてきた『淘汰』をプレイ。盤面の『戦列の鷲』を一掃したところで、対戦相手の方が投了。
本当にギリギリのところでした……。対戦ありがとうございました。
(直後のツイート。マジでキツかった……。)
4回戦 : 青緑冬眠コントロール
結果 : 〇 - △(時間切れ)
タフな試合を制して4戦目。対戦相手はこちらのnoteの方。
デッキは完コピと書いてありますが、対戦中の動きからはそうは思えないほどに使いこなしていた印象があります。4回戦の項目で相手視点の対戦レポも載っておりますのでこちらも是非。
1ゲーム目。序盤からお互いに『沼地』がめくれ、ドロソを撃ちあう形。3回戦の記憶から青緑クロックパーミッションの線をしばらく警戒していましたが、いつまでたっても生物が出てこないことから【冬眠コントロール】と断定。【夜襲】ループを成立させるために妨害を集めていきます。
相手は『冬』を全然引き込めないようで、さしたる脅威もなくゆっくりとループの準備ができる理想的な展開。そのまま『夜襲』で前方確認し、こちらの妨害札の方が多いことを確信してから『夜襲』ループ開始。数回『夜襲』が通ったところで対戦相手の方が投了。
予備デッキから『孤毒鍋』を追加して2戦目へ。
ここでも相手はなかなか『冬』を引けないようで、焦ったのか『森からの贈り物』を追加コスト有り(手札を2枚捨てる)でプレイ。ここを見逃さずにしっかり妨害を撃ちこみ、手札優位を作ることに成功。
また、途中で相手の方が自分の『冬への備え』に『氷の反射』を撃つデッキ修復セットをプレイしてきて面食らうものの、戻すカードが『貯め瓶』や『海中からの探査』といったドロソであることを確認し、問題ないと判断。コントロールミラーであれば『夜襲』のないループは怖くないですし、デッキ内の妨害札の濃度が増えないのであれば、手札消費の大きいこの動きはあまり強くありません。この分野は自分が一人回しで一番研究したところですので、自信があります。
そのままじっくり相手の行動をいなしている内に時間切れ。1勝1分けで勝利。対戦ありがとうございました。
5回戦 : 青単冬眠コントロール(夜型)
結果 : 〇 - 〇
なんと全勝で決勝戦まで来てしまいました。対戦相手の方と「ここまで勝ち残るなんて全然思ってなかったですね……」と苦笑しながらも、「ミスしないようにお互い頑張りましょう」とお互いの健闘を祈って対戦開始。泣いても笑っても最終戦。頑張ります!
そんな最終戦1ゲーム目。相手の領土デッキから水生領土が飛び出すものの様子がおかしい。『朝焼けの海』? それが入る青系のデッキってなんだ?
とりあえずこちらは、セオリー通りドロソを回します。『渦巻くキリン』でデッキを掘って『貯め瓶』をプレイ。
返しの相手のターン、『朝焼けの海』がめくれて「夜状態で出す」ことを宣言し……
ナンデスカソノカード?????
知らないカードをプレイされて『貯め瓶』が消し飛ばされます。おいおいおい。
※後から聞いた話だと、【レオストーム】の『永久に咲く獅子の時代』や、【冬眠コントロール】ミラーでの『鉄檻』を除外するために採用されたそうです。確かに『冬将軍』を通す上で『鉄檻』は邪魔な存在なので、『闇夜の工作』で除外するという発想はアリなのかも……。
このカードの最大の強みは「除外」であることです。『闇夜の工作』で消されたカードは『冬への備え』で回収できません。これは『妖狐の巻物』を1枚採用としているこのデッキにとって非常に厳しい。
ただ、幸いなことに『貯め瓶』に1枚切ってくれたことで、このカードを採用しているという情報アドを得られました。こんなカードを何枚も採用することは考えづらく、多くても2枚採用が限度なはず。『妖狐の巻物』は極力温存し、『貯め瓶』や『鉄檻』を囮に安全を確認してから巻物をプレイすることを決心します。
また、このカードを見た時点で、相手の構築が青単(夜型)であることを確定させました。そうでもしないと、メインからこんなカード採用できないでしょう。そして、青単で組めるデッキはクロコンか冬眠コンです。どちらにしても、『夜襲』ループで勝つという方針が定まりました。
そうやって相手デッキを確定させ、ゆっくりとドロソでデッキを掘ります。
中盤に『冬』をプレイされ、ここで【青単冬眠コントロール】であることが確定。……5戦中4戦が【冬眠コントロール】って、マッチングが偏りすぎでは?
このあとは基本プラン通り、『冬将軍』を『噴水』で自壊させ、時間を稼ぎます。3枚目の『冬将軍』を破壊したところで対戦相手の方が投了。
※後で話を聞くと、3枚目の『冬将軍』が破壊された時点で、自分のデッキの勝ち手段がなくなり、早めに投了して時間を残そうと考えたそうです。確かに青緑系は『冬への備え』があるため、LO勝負でも青単側は分が悪いですね……。賢い立ち回りです。
予備デッキから『孤毒鍋』を2枚追加して、2ゲーム目。青単であれば予備デッキから加えられるカードにも限界があるでしょうし、基本的には1ゲーム目同様の展開になるだろうと予想していました。
中盤までは1ゲーム目同様ゆったりとした展開。こちらは順調に『妖狐の巻物』を設置し、『貯め瓶』や『鉄檻』と合わせて「妖狐カウンター」をドローに変換していきます。
残りデッキ枚数が1桁になったタイミングで、ループ前に前方確認するため『夜襲』をプレイ。ここでなんとお相手、いきなり領土をすべてムーブさせて『ペンギンフォース』をプレイ。意外過ぎる手に、他の妨害が無いのか? と訝しみながらも、とりあえず妨害を合わせて相手の手札を覗くと……
流石に笑ってしまいました。なにこの面白すぎる手札。
4枚が3枚になっても大して変わらないでしょうし、おとなしく『ペンギンフォース』を落とします。
……ですが、四つ子が見えたことによって、相手側のサイドイン後の戦術が分かりました。ミラー戦を前提とした【四つ子ワンショット】です。
『四つ子の魂の呪い』というカード、墓地から除外するのは「同じカード名のすべてのカード」なので、お互いの墓地を参照します。つまり、ミラーマッチでお互いに同じカードを採用している場合、最大で8枚除外し大ダメージを与えられる可能性があるのです。
1コストの『環境不適正』でさえ、8枚飛ばせば8点。手札にある4枚の四つ子を使えば、こちらのライフが一瞬で消し飛ぶ可能性も十分にありえます。
夜条件を上手に使うデッキだとは思っていましたが、まさか予備デッキにこんな隠し玉があるとは……。デッキ構築のセンスに脱帽です。
さて、こちらは『夜襲』を通してそのままターン終了。唐突に相手側のリーサル手段が見えたことで、こちらの緊張も高まります。手札の妨害は耐えきるのに十分な枚数だと考えていますが、まだ『夜襲』ループに到達していない以上、勝ち確とは言い難い状況です。
返しの相手ターンでは何も起こらずターン終了。こちらもターンをもらってドローゴー。
そして次の相手ターン。トップから引いたカードを見て、即座に『水生』を夜領土に。この動きは……?
『夜襲』! こちらの妨害を1枚消費させるカードを、このタイミングで引かれてしまいました……。手札を見せる理由もないので、ここは妨害を切って無効化します。
夜条件のカードは固め撃ちが板。その上、『夜襲』直後がワンショットを決めるのにベストなタイミングです。間髪入れずに、相手が動き出します。
「プレイ『四つ子の魂の呪い』。対象『イルカミネーション』で。」
対象となった『イルカミネーション』は、こちらの墓地に2枚、相手の墓地にも2枚。合わせて4枚の12点ダメージです。こちらも手札の妨害2枚で止めにいきます。
四つ子1枚目……妨害。
四つ子2枚目……妨害。
四つ子3枚目……
3枚目に対応して『冬への備え』。コストで『冬への備え』『氷の反射』『夜襲』そして、『イルカミネーション』を戻すことを宣言。
2ドローし、相手の『四つ子の魂の呪い』は通し。四つ子が解決し、墓地の『イルカミネーション』が除外されます……が、この時点でお互いの墓地にある『イルカミネーション』の枚数は3枚です。「4枚以上」という条件を満たせず、四つ子のバーン効果は不発に。それを確認し、対戦相手の方が投了。対戦ありがとうございました。
……5戦全勝。優勝です!
大会を振り返って
こんな感じで、【ACGカードはないけど大会をしよう。in 2024秋】優勝しました。参加受付の時点では【蔵馬ループ】でここまで勝てるとは思っていなかったので、優勝が決まって自分が一番驚いていた記憶があります。
大会を通して、いくつか感じたことをつらつらと。
マッチアップ運が良かった……想像以上の『冬』環境
何よりもこれに尽きます。
事前想定では【レオストーム】が最大手、次点で【象系統】、あとは【冬眠コントロール】と【赤単バーン】かなぁと考えていたのですが、蓋を開けてみれば5戦中4戦【冬眠コントロール】と、驚くほどに『冬』環境でした。結局上位はほとんど『冬』採用のデッキのようでしたし、実際対戦中にも「隣の卓も『冬』ばっかりだなぁ」とは思っていました。
また、事前の環境想定では【冬眠コントロール】は青緑1択だと考えていましたが、今回「赤青(バーン型)」や「青単(夜型)」に当たって、【冬眠コントロール】の新しい可能性についても色々と考えさせられました。やはり自分一人で思いつけることには限界がありますね。
マッチアップに関しては残りの1戦も【イーグルクロックパーミッション】で、結局予想していた【レオストーム】や【象系統】には全く当たりませんでした。結局5試合全部、妨害合戦を制する必要があり、想像以上に思考体力を消費しました……。
ただ、この環境は予想外だったものの、結果的にこれは有利な方向に働いたようです。『夜襲』を採用した【蔵馬ループ】は理論上【冬眠コントロール】に有利ですし、『戦傷の勇者』を重くみてデッキに3投した『噴水』も、『冬』相手に非常に有効に機能しました。
事前に考えていた『妖狐の巻物』を強く使うという戦略も綺麗にはまり、コントロール相手に終始手札優位を築いて対戦出来ていた印象です。ここは最初に【冬眠コントロール】や【蔵馬システム with 冬】を一人回しで練習していた甲斐がありましたね。
たまたまとはいえメタゲームに刺さっているデッキを持ち込めたのが、今回優勝できた最大の要因だと感じています。
想定通り【レオストーム】に勝てるのか? 【赤単バーン】にはどの程度勝てるのか? 【象系統】に『噴水』が本当に刺さるのか? など、実戦で試したかったことが全然体験できなかったことは心残りですが……。
対コントロール相手のプレイングが上手かった
存在しないカードゲームをプレイしているので、お互いに初心者なのは当然なのですが……そんな中でも、コントロール相手の対戦では、かなり的確にプレイできていたのではないかなと自画自賛しています。一人回しの成果。
詳細は、この後のおまけで共有しますが、コントロールミラーは、妨害の撃ち先、撃つ順番が非常に大事になってきます。妨害の総数は10枚~15枚程度で、デメリットの無い最強の妨害は『環境不適正』4枚だけなので、使った『環境不適正』の枚数をカウントしているだけでも、相手の持っている妨害状況がなんとなく透けてきます。
大会中に何回か、『貯め瓶』や『設計図』のような、消されても損しないカード(1ドロー分の効果を相手の妨害1枚で無効化されているので、プラマイ0)に妨害を切られて、妨害が減ってアドだなぁとニコニコしたり、妨害合戦で『氷の反射』を撃ってもらえて、ありがたく1ドローを頂戴する場面がありました。
また、妨害を撃って減った手札をどうやって補充するかについて、常に意識して立ち回る必要があり、妨害合戦後に手札を増やせるカードを握れているかどうかは非常に重要です。手札が6枚あるのに『森からの贈り物』をプレイしたり、逆に手札上限で手札が余っているからといって『森からの贈り物』を捨ててみたり……こういうことをすると、肝心な妨害合戦の後に手札がすっからかんになってしまいます。『妖狐の巻物』を置くのが強いのもこれが理由です。
こういう細かいアドの積み重ねが、ループを通すときの妨害枚数で優位に立てる要因になるので、ここでミスしなかったのは良かったです。
逆に3回戦の【イーグルクロックパーミッション】相手には、相手の『妖狐の巻物』を止めたいあまりにこちらの『鉄檻』を妨害されるという、本末転倒なプレイングをしてしまいました……。早いデッキ相手のプレイングについては、まだまだ精進が必要な部分だと感じます。
メインデッキ……概ね正解だったが、まだ調整の余地がある
採用カードはかなり吟味した甲斐があって、概ね正解だったと感じていますが、まだ調整の余地があります。
まず、『噴水』の採用枚数について。3枚は流石に多すぎでした。結果的に大量の【冬眠コントロール】とあたったため有効活用できましたが、それでも何回か手札上限で捨てるなど、『噴水』が余るシーンがありました。
汎用カードとしてマルチな活躍ができるカードではありますが、1枚削って2投にするのが丸いような気がします。
また『森の中へ』も1枚減らしてピン差しで良さそうです。
対【レオストーム】への安定性を考えて2投していましたが、そもそも妨害採用の時点で【レオストーム】に有利なこと、森林領土の条件が厳しく序盤に撃てるとは限らないこと、きちんとループを組めば1枚でも問題ないこと……などなど、複数枚採用するメリットをあまり感じないので、1枚減らして1枚採用とするべきでしょう。予備デッキに追加用の1枚あれば十分。
そして、戦闘制限の要である『鉄檻』と体力回復ができる『貯め瓶』。こちらは逆に枚数が足りなかったと感じています。
『鉄檻』の枚数については【イーグルクロックパーミッション】との対戦で特に感じましたが、いくら『噴水』で戻せるからといっても『鉄檻』自体が着地しなければ意味がありません。『冬』を抜いた関係で戦闘制限に使えるカードが減っている以上、『鉄檻』の現物を増やして4投した方が良さそうです。
『貯め瓶』については、今回の大会で【赤単バーン】に当たっていないので正確には分かりませんが……それでも試合中の引きをみるにこの枚数ではバーンに負けるなと感じました。『貯め瓶』が「唯一」持ちで手札に重ねたくないという事情はありますが、それでも本体に1ドローがついている汎用カードなので、こちらも1枚足して3投したいところです。
『貯め瓶』『鉄檻』の現物を増やすなら、両方にタッチできる『設計図』を増やす方が、デッキを掘るという点でも効率的な気がしますが……ここは難しいところ。
少なくとも『貯め瓶』は現物を増やさないとバーンが厳しいです。8点回復では貫通されそう。
『鉄檻』と『設計図』は、一長一短です。後攻2ターン目に森林領土が引けなかったときの事故や、『鉄檻』を妨害され続けて枯渇する事態まで想定するなら『鉄檻』を増やした方が安全ですが、『設計図』を増やすと『妖狐の巻物』にアクセスしやすくなるという大きなメリットがあります。
今の想定だと『噴水』と『森の中へ』を1枚ずつ減らすので……『貯め瓶+鉄檻』か『貯め瓶+設計図』のセットで採用することになりそうです。どちらが良いかは要検討。
予備デッキ……不明点が多いので判断は保留
今回、マッチアップが想定と違いすぎたので、1回も使わなかったカードが多かったです……。
まず、自慢の「アグレッシブ・サイドボーディング」である『戦列の鷲』と併せて森林領土の枚数を増やす『森の中の大樹』。結局全試合で1ゲーム目に勝利し、1回も使わなかったのでここは判断を保留中です……。ただ、絶対に早期決着を狙えるカードを予備デッキに採用すべきだと感じていますし、その中では『戦列の鷲』が一番強いカードだと考えています。
そして『殴打』『貯め瓶』『森の中へ』『設計図』といった対バーンカード。これもバーンに1戦も当たらなかったので判断は保留。『貯め瓶』や『設計図』はメインで増やす想定なので、予備デッキの採用枚数は減らすかも。
最後に『孤毒鍋』。もともとはイーグル採用時に相性が良いカードとして採用しましたが、純粋に手札補充できるのが偉いのでコントロール相手によく予備デッキから交換されてました。ただ、今のメインデッキの構成が『孤毒鍋』2枚、『森からの贈り物』1枚なので、そこに追加で2枚採用するのは少しバランスが悪かったかもしれません。
コントロールミラーでは手札上限に引っかかってしまうケースもあるので、墓地に仕込めるドロソである『亀知恵』に1枚変更した方が強いかなと思いました。
予備デッキに追加する候補としては、上で挙げた『亀知恵』の他に、追加の妨害札として『海蝕腐食』も良いかなと考えています。想定される相手は【レオストーム】【冬眠コントロール】【四つ子ワンショット】【ターボフォックス】。
『海蝕腐食』はもともとメインデッキに2枚採用していましたが、デッキ枚数の調整時に早いデッキ相手に仕事ができないことから1枚減らしました。ただ、妨害合戦では妨害札の枚数が命綱であること、ループが決まる前に飛んでくる【ワンショットコンボ系】が不安なことから、予備デッキから1枚増やせると嬉しいです。
大会自体の感想
とっても楽しかったです! 優勝したとかそういうの抜きに。
全員が「カードゲームうさぎ」「アニマルカードゲーム」が好きだというのが分かる空間が心地よく、そんな空気感と「まだ実在しないカードを使って対戦する」という一種狂気的な試みが非常にマッチしていました。
カードだけでなく、スリーブやデッキケースを貸し出してもらえるのも非常に良心的で、どの卓にもターンの進行順確認やライフカウンターの役割を兼ね備えた紙のプレイマットや、カウンター用のサイコロまで常備され「何の準備をしていない人でも楽しく遊べるように」という心遣いが詰まった、非常に素敵なイベントでした。
一応「妖狐カウンター」用にと自分用のサイコロを持参していたのですが、結局一度も取り出さずに対戦を終えることができたので、至れり尽くせりとはこのことか……と感心してしまいましたね。
何よりも対戦相手の皆様が紳士的で本当にありがたかったです。
「相手が投了するまでデッキを永遠とループし、相手の通常ドローだけでLOを目指す」という言い訳のしようがないほどのカスのデッキコンセプトの構築を使用している自覚があるだけに、正直1,2戦は時間切れで引き分けになっても文句は言えないなと思っていました。
一人回しの時点では「60分あればLOできる」と確信していたものの、当然対戦相手は人間さんですので思考時間が必要ですし、全員(自分も含めて)ルール理解も覚束ない初心者なのでゲームの進行には余計に時間がかかると想定されます。
何より、こんなカスデッキを前にして「遅延して時間切れ引き分け狙おう」という考えが脳裏をよぎらないわけがありません。あまりに露骨であればジャッジを呼ぼうと考えてはいましたが、それでも60分以内に決着がつかなくても仕方ないなとは思っていました。
ところが実際には、マナーを守ってしっかり対戦していただき、対戦中も必要以上に時間を使うそぶりは一切見せず、それどころかループ中に勝ち筋がないと判断された時点で投了して次のゲームに移行してくれました。対戦後に罵倒されたりTwitterでお気持ち長文飛んできたりもなく、むしろこんな変なデッキを前にして「面白いデッキですね」と試合後の雑談に付き合ってくれる方ばかりでした。
こんな陰湿デッキ相手に紳士的に対応してくださった対戦相手の皆様に深く感謝申し上げます。おかげで楽しくカードゲームができました。
おまけ : 小テク
ここからは、このデッキを使っていて気付いた「妨害札を使う時に覚えておくとアドが取れる小テク」を2件、共有いたします。
知っている人からすれば語るまでもないような内容なのですが……。今後【蔵馬ループ】やその他コントロールを使う方の参考になれば幸いです。
効果にデメリットがある妨害は最初に撃つ。コストにデメリットがある妨害は最後に撃つ。
対戦レポで何度も「妨害合戦」という言葉を使いましたが、皆様は「妨害を撃つ順番」を意識したことがあるでしょうか。
手札に複数枚妨害を抱えていて、かつ相手も妨害を持っていることを想定する場合、最初に「効果にデメリットがある妨害」(『氷の反射』『イルカミネーション』)を、最後に「コストにデメリットのある妨害」(『ペンギンフォース』『環境不適正(領土条件未達成時)』)を撃つのが鉄則です。
例えば相手の『妖狐の巻物』を妨害する時のことを考えましょう。相手は手札が4枚残っていて、少なくとも1枚は妨害を握っていそうな雰囲気です。
この時、一番最初に撃つべきなのは『氷の反射』です。なぜなら、このカードが一番「相手に妨害してほしい」妨害札だからです。
『氷の反射』で妨害した場合、妨害されたカードのコントローラーがカードを1枚引けます。そのため、最終的にこのカードによる妨害が成立すると、相手に1枚アドを与えてしまいます。
そうならないように、一番最初、相手が妨害を持っていそうなタイミングでこのカードをプレイした方がお得です。
※相手が妨害を1枚も持っていない場合は『氷の反射』が通ってしまいますが……その時は素直に巻物を妨害1枚で止められたことを喜びましょう。
また、『イルカミネーション』も、0コストまで落ちた場合は速やかにプレイした方がお得になります。なぜなら、『イルカミネーション』の持つ「『イルカミネーション』のコストが3増える」は、効果の部分だからです。2枚目の『イルカミネーション』を撃つことを考えるなら、相手に妨害してもらいたい。
※『イルカミネーション』を解決前のパイルであれば、妨害合戦中に2枚目の『イルカミネーション』をプレイしてもコストは増えません。逆に、『イルカミネーション』を解決してからは、次の『イルカミネーション』のコストが3増えます。
『イルカミネーション』に関しては、自分のカードを通すときの方が意識するタイミングが多いかもしれません。
例えば、自分の巻物を通すタイミングで妨害合戦が発生した場合。相手がこちらの妨害に『イルカミネーション』をプレイしてきたら、その『イルカミネーション』の対象はしっかり確認しましょう。
上図の場面で、もし『海蝕腐食』を対象に『イルカミネーション』をプレイされている場合は、『イルカミネーション』に妨害を撃つのではなく、『イルカミネーション』を解決し『海蝕腐食』が妨害されたのを確認してから、改めて『環境不適正』を妨害するようにしましょう。
そうすることで、相手が次にプレイする『イルカミネーション』のコストが3増加し、もう1枚『イルカミネーション』を持っている場合にプレイできない可能性が上がります。
『氷の反射』の場合も同様で、上図の場面でもし相手が『海蝕腐食』を対象に『氷の反射』をプレイしているなら、解決してありがたく1ドロー貰いましょう。その後に改めて『環境不適正』を妨害すればOKです。
※このことから『氷の反射』は、自分のカードを通すときは「使えない」カードになります(相手の妨害を止めても、1枚引かれた後に次の妨害を撃たれるため)。基本的には相手のカードを止めるために使いましょう。
逆に、コストにデメリットが書いてあるカードは、プレイした時点で損しているので、相手に妨害されることによる不都合がありません。むしろ、そういったカードは、プレイしなくて済むならその方が良いので、できるだけプレイするタイミングを遅らせます。
※『ペンギンフォース』のターン1枚制限は効果ではないので、妨害されても2枚目はプレイできません。領土が全てムーブ状態でも『ペンギンフォース』を使えるという裁定があるので、ついつい2連打したくなりますが、不可能である点に注意。
「特技」は相手ターンに撃つ
これは、相手ターン中に行動できる多くのカードゲームでも同じことが言われていると思います。
プレイコストを残して相手の動きを待ち、何もないことを確認してから、相手ターン終了時にカードをプレイする。基本中の基本の動きです。
その上で、ACGのコントロール相手の時はこれを特に意識した方が良いと考えています。それは、採用されがちな妨害カードである『イルカミネーション』が、自分のターンにプレイしにくいカードだからです。
『イルカミネーション』は、相手ターンに撃つとき「このターン相手がプレイしたカードの枚数に等しい」分だけコスト軽減が乗ります。……が、自分のターンに撃つときは、常に3コストの妨害です。
(しかも「『イルカミネーション』のコストが3増える」効果は残っているので、次の『イルカミネーション』は6コスト……)
そのため、相手ターンなら気軽に妨害できたのに、自分のターンになってしまったから妨害できないという事態がしばしば発生します。
このことから、特技カードを自分の「狩りフェイズ」(他TCGのメインフェイズ)ではなく、相手の「準備フェイズ」にプレイした方が嬉しい状況がいくつか考えられます。
例えば相手のライフが3で、こちらの手札に『火球』が2枚あるシーン。相手の領土は4枚で、すべてウェイク状態です。
この場合、自分のターンに『火球』を2枚プレイすると、1枚目の『火球』に『海蝕浸食』、2枚目の『火球』に『イルカミネーション』とプレイすることで問題なく妨害できてしまいます。
ですが、一度ターンを渡して、相手ターンの準備フェイズ中に『火球』をプレイすれば、1枚目を『海蝕腐食』で妨害しても、2枚目を妨害できません。このように『イルカミネーション』を採用しているデッキ相手には、相手ターン中に動くことで、相手の計算を狂わせることができます。
※ちなみに、「準備フェイズ」を過ぎて相手の「補充フェイズ」までいってしまうと、相手の手札と領土が1枚ずつ増えてしまうので注意が必要です。
(上の例だと、領土が5枚になれば『海蝕腐食』と『イルカミネーション』を同時にプレイできてしまいます。)
同様に、『ペンギンフォース』も自分のターンには少し撃ちづらいカードですね。領土がすべてムーブしてしまうので、自分のターンの「狩りフェイズ」中に行動できなくなってしまいます。こういったカードを採用している相手には、自分のターンよりも相手のターンに行動した方が強いケースが考えられます。
ただし、自分のターン中に動かないことによるデメリットもあります。例えば『冬への備え』は「特技」ですが、2ドローで『鉄檻』を探したい場合は、自分のターン中に撃つ必要があります。『鉄檻』は自分のターンにしかプレイできないためです。ドロソに関しては、自分のターンに撃つべきか、相手ターンに撃っても問題ないかについて、都度考慮する必要があります。
今のところ、『イルカミネーション』が1~3枚、『ペンギンフォース』が0~1枚採用されているコントロールデッキが多いように感じています。相手の『イルカミネーション』をケアすることで、拾える試合もあるのではないでしょうか。
逆に自分が『イルカミネーション』を使う側に回った場合は、強く使えるタイミングで早めにプレイした方が良いかもしれません。他の妨害札以上に、自分のターンに撃つのが難しいカードなので。
謝辞
末筆ながら、謝辞を述べさせていただきます。
原作者のワタル先生。「カードゲームうさぎ」「アニマルカードゲーム」を世に出していただいたおかげで、面白いカードゲームの素敵な大会に参加することができました。本当にありがとうございます。
大会当日の運営に携わられたドラゴンスター池袋店、並びに大興印刷のスタッフの皆様。スタッフの方々の適切な運営のおかげで、大きなトラブルもなく無事に大会を楽しむことができました。ありがとうございました。
大会当日の対戦相手の皆々様、その他大会参加者の方々。対戦ありがとうございました。本noteは自分の記憶を頼りに作成したものであり、内容に間違い等あるかもしれません。もし記載ミス等ございましたらご連絡ください。
5回戦もの長丁場を一緒に戦い抜いてくれた【蔵馬ループ】採用カード達。引き次第で勝ち負けが決まるのがカードゲームの難しいところですが、今回ドロー運に恵まれたのは、デッキ内の皆様のご配慮のおかげです。初手に『冬への備え』が4枚重なるとかいう事故がなくて本当に助かった……。
一人寂しくデッキの調整をするオタクの人生に彩りを添えてくれた、【アイカツアカデミー配信部】の姫乃みえるさん、真未夢メエさん、和央パリンさん。いつもお世話になっております。ありがとうございます。
特に、今回のデッキ調整中は『みえる屋』さんに大変お世話になりました。神回。
調整相手のいない可哀そうなオタクの相手をしてくれた、お部屋の壁さん。デッキの調整にお付き合いくださりありがとうございました。LOデッキと何度も対戦して辟易とさせてしまったことは深く謝罪いたしますが、今後はできれば対戦後にアドバイス等いただけますと幸いです。
そして、何の価値もない謝辞の最後の最後まで目を通していただいた読者の皆様に。特大の感謝!
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。