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『アマプラ映画』不都合な記憶 見てみた感想

映画『不都合な記憶』は、未来的な設定を持ちながら、観ているこちらの心の奥深くを静かにかき乱すような作品でした。宇宙移住が進む近未来の背景の中で、完璧な夫婦としての表面的な生活と、彼らが抱える見えない真実のギャップが、徐々に明らかになっていく様子には圧倒されました。この映画はただの「記憶と関係の物語」ではなく、「見たくないもの」「知らないほうが良かったかもしれないこと」に触れることで、観る者に問いかける何かがあると感じました。

伊藤英明が演じる夫のキャラクターは、どこか冷たい理性と計算が見え隠れし、新木優子が演じる妻との関係には薄暗い影が差し込んでいます。彼が放つ何気ない一言、ふとした仕草の中に、隠された真実が見え隠れする瞬間があり、どれが「本当の記憶」でどれが「意図的な改ざん」なのか、こちらの感覚もじわじわと狂わされるような感覚に陥りました。物語が進む中で、観客としても「信じること」そのものが揺さぶられ、どこまでが愛で、どこからがただの支配や執着なのかを考えさせられる瞬間が続きます。

また、作品全体の映像美も印象的で、特に宇宙空間での描写が静寂を伴いながらも圧倒的な存在感を放っています。壮大で美しいはずの宇宙が、時に冷たく、時に息苦しさを感じさせるように描かれていて、まるでその空間そのものが登場人物たちの心情を映し出しているかのようでした。浮遊感や孤独感、そして無限の広がりが画面越しに伝わってきて、物語の中に漂う不穏な空気がさらに増していきます。

この映画のテーマは、観る者それぞれに違った解釈をもたらすかもしれません。これはただのエンターテイメントとして楽しむ作品ではなく、記憶と感情の曖昧さ、信じることの危うさを静かに問いかける鏡のような作品です。観終わったあとも、じわりと心に残る違和感や痛みが、長く余韻として響き続ける…。もし、あなたが「自分の知っている真実」や「記憶している自分」に少しでも疑問を抱いたことがあるなら、この映画はあなたの中に眠る不安や葛藤を目覚めさせるかもしれません。


ここまで読んでくれてありがとうございます!映画『不都合な記憶』が心に響いた方や、記憶や関係性のテーマに共感した方、ぜひコメントで感想をシェアしていただけると嬉しいです。いいねや共有もしてもらえたら、他の方にもこの映画の魅力が届くかもしれません。あなたの感じたことを共有することで、より多くの人がこの作品を通じて自分自身と向き合うきっかけになると願っています。

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