コロナと、就活と、夏。


もう5月。


コロナがなかったら、今頃もうすぐ始まるオリンピックに向けて日本中がせかせかと騒がしく動いていたんだろうな。就活もオリンピックのために前倒しでどんどん進んで、GW明けには内定出て終わるくらいの勢いだったはず。

それが今のこの状況で、全部が延期とかオンラインとかになって、家で時間を持て余す毎日。就活は面接をオンラインに切り替えてくれてる企業も多いから進められていないわけではないけど、説明会が先延ばしになったり選考スケジュールが丸ごと秋に移動されたりした企業もあるから、思ってたようにはできてない。


だからといって焦っているのかというと焦ってはいない。自分だけが取り残されているのではなくて、日本中、世界中が歩みを止めなければいけない状況に立たされているから。自分だけじゃないという感覚は、就活生としては心強い。

ただ、世の中の多くの人がそうであるように、将来への希望が見えにくいこの世の中で、将来の進路を決めなければいけない立場にいるのは、難しいしつらい。


毎日のようにどこかの会社や店が破綻しているように思う。今日は、渋谷の代表的なライブハウスが5月末で閉店するというニュースが流れ、私の好きなミュージシャン達がSNS上で悔し涙をのんでいた。私はライブハウスは行ったことないから知らなかったけど何故だかすごく気持ちが沈んだ。

こうなってくると、必然的に、潰れにくい業界とか企業に行かなければと思うけど、仮にそういう会社に就けたとしてそれで安心と言えるのかもわからないし、なんかもうとりあえず、こんなに日本中で経済的に苦しんで今後の道が絶たれようとして悲嘆に暮れている人が沢山いる中で、社会に出て行かなければいけないことが怖いし、どう生きていくのが正解なのか全然わからなくなった。


大企業に勤めて安定した収入を得て生活することだけが「良い生活」だと思ったことは一度もない。例えばバイトしながら舞台役者を目指したり、フリーランスで小さくても好きなことを仕事にしたり、必ずしも安定してるとは言えない生き方でも、生きていけさえすればそれはとっても素敵な生き方だと思っていた。というか今も思っている。就職が思うようにいかなかったとしても、素敵な生き方はいくらでもあると。

でも今、生きていけさえすれば素敵な生き方で、生きていけない可能性が出てきてしまった。景気は最悪だし、非正規雇用の人たちは解雇され、営業を停止している店で働いていた人たちは収入が激減しているはず。私のバイト先もそうで、出勤予定だった日の半分だけは会社からお金がもらえるけど、フルタイムで働いてたパートさん達にとってはそれでもかなり辛いと思う。


大きな企業に勤めることだけが成功じゃない。つつましくても楽しく幸せに生きていければそれで良い。そう思って、自分を急き立てすぎることなく、肩の力を抜いて進めていた就活。でも、肩をこわばらせないといけない時が来てしまったのかも知れない。そう思って、今まで条件無しに明るかった私の未来像が、少し曇った。


家で自粛してるうちに、気が付いたら5月になっていた。

夕方に窓を開けると気持ち良い風が入ってきて、一番好きな季節の訪れを喜びながら、あっという間に暑くなるんだろうなあと、夏がもうすぐ来るのを感じる。

今年の夏はどんな夏になるんだろう。就活を終えて最後の学生生活を謳歌するはずだった。けど全く予定通りにはならないだろう。そもそも就活が終わっていないかも知れないし、終わってても遊べないし、旅行も行けない。残念としか言えない。


せめて、人間の自粛につれてどんどん綺麗になっている自然の水や空気が、見たこともないような星空とか大自然の風景を見せてくれたらいいな。