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ジョルジーニョを消したアーセナルの守備。チェルシーの第2のプランはあるのか?
昨夜の行なわれたアーセナルとチェルシーのビックロンドンダービー。4位チェルシーを6ポイント差で追いかける5位アーセナルのシックスポインターは、アーセナルが前半のウチにセットプレーから立て続けにゴールを決めて2-0で勝利した。
前半から、アーセナルの人に対するプレッシングに苦しめられたチェルシー。手も足も出せず完敗を喫した。
試合後、チェルシーの指揮官マウリツィオ・サッリは怒りを顕わにしたという。
「これは戦う力のある見慣れたチームではなかった。しかし、我々は10分や15分間苦しんでも戦えるチームになる必要がある。そして、自分たちのフットボールをプレーしなければならない。今日は我々のプレーではなかった」
GOAL 「とてつもなく怒りを感じる」サッリが“気持ちの入っていない”チェルシーに激怒 から引用
とコメントを残し、自分たちの理想とする自陣から繋ぐサッカーを出来なていなかったことを述べた。
確かにハマったときのチェルシーのサッカーは人々を魅了する素晴らしい攻撃を披露するのだが、対策を練られたときは苦しくい戦いを強いられる。13節のトッテナムとの試合では、サッリと共にやってきた、司令塔ジョルジーニョを消され攻撃の形が作れなかった。そして、この試合も同様である。戦術家と称される、アーセナルの新指揮官エメリの采配が見事的中した試合となった。
両チームのスターティングメンバー
チェルシーはいつもように4-3-3の布陣。アンカーの位置のジョルジーニョを配置しゲームを作る。その前には、カンテとコバチッチという中盤の構成だ。
一方のアーセナルは4バックのシステムに戻し、4-3-1-2の形。ジャカ、ゲンドゥージ、トレイラのスリーセンターに加え、トップ下に置かれたラムジーに与えられた仕事が勝負を分けるポイントとなった。
逆三角形とダイヤモンドのマッチアップ
この試合注目されたのは、中盤でのマッチアップだ。
自陣の後方からパスを繋いで攻撃を組み立てるチェルシーに対し、アーセナルは当然前からプレスをかける。この際、アーセナルは人に対してしっかりマークに付くことを約束事としていた。
ボールを保持するセンターバックに対しては、2トップがアプローチ。そして、キーマンとなるジョルジーニョにはトップ下に配置されたラムジーがしつこいくらいにマンマークをしていた。
また、インサイドハーフのカンテとコバチッチに対しては、ゲンドゥージとトレイラがマンマーク。ジャカが1枚残り2vs3の状況を作った。
こうなると、チェルシーのサイドバックが空いてくる。中央を閉められているため、チェルシーはサイドを経由しながら攻撃を組み立てるしかなくなるのだが、コレに対してもエメリはしっかり準備をしてきた。
サイドに経由された際の2つのプレッシング
一つ目は、スリーセンターの端がボールホルダーに対して行くパターンだ。
左SBのマルコス・アロンソに入った際に、スリーセンターの右を務めるトレイラがプレスをかける。この際、ジャカにコバチッチのマークを受け渡す。そして、右SBのベジェリンがウィリアンをマンマークする。
ここで大きくサイドチェンジをすれば局面が変わるのだろうが、アーセナルの寄せの速さから、余裕を持ってボールを大きく蹴ることができなかった。そして、チームの色としてあまり長いボールを使わないため、なんとかして密集地帯でパスを繋ごうとする。だが、なかなかテンポの良いパス回しができなかった。
二つ目は、アーセナルのCFが面倒を見るパターンだ。
アスピリクエタがボールを持った際、CFのラカゼットがスライドして対応。この際も、ラムジーはジョルジーニョをマンマーク。ゲンドゥージも本来面倒を見るはずのカンテに対し、マークに行く。そして後方にジャカが1枚余る形になっている。
このようにして、チェルシーのビルドアップを完璧に封じたアーセナル。中盤とツートップの運動量が求められる、とても難しいミッションを与えられたアーセナルの選手たちだったが見事遂行して見せた。
ユベントスの移籍の噂があるラムジーの仕事は実に見事で、彼のハードワークと球際の強さはチームを救った。ジョルジーニョに仕事をさせずチェルシーのリズムを作らせなかった。
恐らく、エジルにこの仕事を与えた場合クリアできなかっただろう。
そして、今シーズンサンプドリアから加入したウルグアイ代表トレイラの活躍も素晴らしかった。170㎝に満たない小柄な体格だが、そのハードワークとボールを狩り取る力でコバチッチに仕事をさせなかった。試合終盤に足を攣っていたが、それでも22歳の闘犬は最後まで走り続けた。
試合の中で、チェルシーがアタッキングサードまで持ち込めればクロスまで行けるシーンはあった。だが、前線に高さが足りないため、クロスはクリアされる。スピードに乗ってエリア内に侵入しても、ソクラテス、コシェルニーのセンターバックが身体を張ってブロックした。
後半は、エリアに侵入させることを許さないディフェンスで見事無失点を飾ったアーセナル。今後CL圏内に入ってくる可能性が十分にあるだろう。
ジョルジーニョが消された際の第2のプランは?
就任1年目ということもあり、課題が山積みとなったサッリチェルシー。指揮官の言葉を聞く限りこのスタイルを変えるつもりは無いと思う。サッリの理想としては、ジョルジーニョが消されながらも選手達がアクションを起こして戦況を変えることだ。これは、チームに戦術が浸透しない限り難しくなりそうである。
理想に溺れ続ければクビも見えてくるかもしれない。得点も減少傾向にあるため、サッリとチェルシーの未来はどうなるのであろうか。
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【ヘッダー】チェルシー公式Twitterから引用
【写真】アーセナル公式Twitterから引用
【図面】Football Tactics