どうしてこうなった…2021年の最後の1ページについて
「年の瀬をお愉しみになるクルーウェル様」について、思うことが大きいので、この場でひとり反省会をやっている。
この作品は2021年ラストの漫画になる。
ラストを飾るにふさわしいマンガにできるかは、描いている間は、まったく自信がなかった。
というのも、落書きのタキシード姿をTwitterに投稿したところ、相互さんから「脱がせてくれ!」のリクエストを多く受けたので、途中から大幅な方向転換をしたのだ。
「仔犬祭」はTwitter上のイベだし、私には珍しくTwitterファースト(いつもはPixiv)の漫画になるため、できればFFの皆様からの意見は最大限に取り入れたい。
実は11月時点では、クリスマスぐらい監督生に甘えさせてやろうと、オーソドックス(?)でハートフルなクル監を考えており、10ページを想定していた。ちなみに自信の程は、それなりにあった。
しかし、クルーウェルにストリップをさせるというお題が入ったことで、上記のようなスイートなネタが合わなくなってしまった。
ひとまず思いつくままにストリップver.でラフを切りなおしてみたら、意外と4ページでキリの良いところまですっぽりおさまった。しかも、悪ーウェル要素が沢山盛り込めるし、何より水着のクルーウェル先生を描いてみたかった。これは調子いいぞ、サンキュー、仔犬様方!
しかし問題は、オチの5ページ目だ。
「監督生に渡すプレゼントだった」という描写がないと、なぜ冒頭にストールを買っているシーンだけ切り取ったのか、説明がつかなくなる。
真冬にワンショルの水着という最高潮なチャラさを兼ね備えた男になってしまったからには、監督生に素直に渡しにいくのも不自然に思えてきた。
どうしよっかな、と悩んだ結果、とりあえず眠っている間の明け方にプレゼントを置いておくのはどうだろう、とラフを切っておいた。
自分の中でイマイチ感があったが、時間もないので放置して、最初の4ページの作画に没頭した。
作画を進め、4ページまではクリスマス前までに終わる目処がたったが、肝心の5ページ目が決まらない。…というか何故か描く気がまったくおこらない。
遅刻するぐらいなら、このまま4ページで終わらせた方が良いかもなぁ、と、先に4ページだけTwitterに投稿し、暫し創作から離れる。
オチをどうするか、悪ーウェルなら、どうするか?🎄の街を散策しながら考える。
私は夢なのにどうでも良いところで現実味を求めてしまう。おそらくそれは作画にも現れていて、気持ち悪い感じで人物が写実的になってしまう。完全にイマジネーションに振り切れないのは才能がないからだと思う。でも描きたいんだから、描かせてくれ、それは私の自由だろ。
脳内の記憶検索をかけて絞り出したキーワードは
「渡せなかったプレゼント」
指輪、シャツ、本…その人にピッタリだと思ってせっかく買ったのに、あげられなくて捨てたという話を聞いたり、目の当たりにしたことが数回ある。というか、私もあるし、皆にもあるだろうし、悪ーウェルにもあってもいい筈だ。
コレだと思った。
想定以上にスパーンと、言いたい事が、どの案よりも、綺麗に1枚におさまった気がした。この方が複雑さが増すし、格段に好きだ。
しかし、完成直前に、急に投稿しようか迷う。
表面上は後味が悪すぎるし、下手すりゃヘイトが来るかもしれない。
エクスキューズとして、ゴミ箱のプレゼントは、年末年始でゴミ収集が来ないのでゴーストが見つけて監督生に届けてくれた、という設定を準備した。
結果、アップして良かったと思う。
これまでになく、面白い感想がたくさん頂けた。
人によって捉え方が異なったり、賛否もあるのでコメント通知が来るたびにワクワクする。
中には私ですら意識していなかった⚗️の心理描写を考察して下さる方もいた。
ハートフルなクル監なままだったら…ラストをアップしていなかったら…このような多様性があるコメントは貰えていなかったと思う。
数少なかれ、センスが合う方が作品を見つけ出して下さり、反応して下さる事が私はたまらなく嬉しい。一人ではない感じがする。
いつもどうでも良い拘りが捨てきれなくて、わかりづらくなる事が欠点でありながらも、どこかの誰かはきっと気づいてくれる。これが独自の創作スタイルなんだと気づけたから、これからも大事にしたい。
結果、私にとっては今回の「年の瀬をお愉しみになるクルーウェル様」は、来年の創作方針を示してくれるような、2021年を締め括るに相応しい作品となったと思う。
終わりよければ全てよし。
今はすっかり開放された気分だ。
最後に、私のような、ひねくれ者の創作をいつも読んでくださる貴女。
本当にありがたいです、頭があがらない。いつも仲良くしてくださってありがとうございます。暖かくして、良いお年をお迎えください✨
【2021年ラストページの解説】
サンタが帰っていくので朝方だとわかる。オンボロ寮に来ていたのかはわからないが、NRC付近の上空では滅多に見ない光景。
小脇に1ページ目のストールのプレゼント箱をかかえ、タバコを吸いながら見上げるクルーウェル。サンタとオンボロ寮、おそらく両方視界に入ったんだろう。服は慌てて着たのか、珍しく酷い。ボタンをかけちがえている。首には無数のキスマーク。遊び過ぎて感覚が麻痺しているのか、寒くなさそう。
ぐっすり眠る監督生の横に、靴下と無造作に詰め込まれたプレゼント。冒頭の高級デパートの包装とは真逆。文字から故郷に帰った生徒たちからの贈り物にも見える。監督生は良い子だからサンタが運んで来てくれたのかもしれない。
煙を吐くクルーウェル。
何を考えているかは誰もわからない、作者にもわからない。
タバコを手で消す、アツくなかろうか。
オンボロ寮を背に首をふる。
付近のゴミ箱にプレゼントを捨てて帰っていく。
おそらくこの後は、真っ直ぐ自宅に帰り、泥のように眠り、昼過ぎに愛犬に叩き起こされ、冬の海岸沿いへ車と犬を走らせに行く。帰宅後は、自身の研究テーマに関わる学術書に没頭。夕飯は、海岸近くの魚市場で仕入れた素材で適当にアクアパッツァ、オリーブ、白ワイン、バゲット…のテーブル準備ができた頃に、煌びやかなイブニングドレスをまとった、次の女が、ドアベルを鳴らす。
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