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無色透明の世界から


いつもは綺麗事ばかりを書いてる俺だが、芸能界のドロドロとした噂話や、世間の事件や事故などの時事ネタが嫌いなわけではない。


というか、本当は書きたくてしょうがない。


だってね、毎日何かしら起こる時事ネタを書いてれば書くネタに困る事が絶対にないからだ。


さらに言うと俺自身はかなりのミーハーであり、心の中にドス黒い汚い部分も持ってる人間だから、時事ネタこそが大好物だとも言える。


しかし今の俺はその心の中のドス黒い部分を表に吐き出す事がない。なぜなら今の俺は嫌な事が一切無い平穏な毎日を送ってるからだ。だから人の陰口や悪口を吐き出す必要性がまったくない。


いや違うな。俺は人の陰口や悪口を言わないのではなく、人の陰口や悪口を言いたくても言えない環境にいるだけだ。


社会生活を普通に送り、社会人としての当たり前の人間関係がある人には、今の俺の環境にはあまり共感出来ないかも知れない。つまり人の陰口や悪口を言うのにも、それなりの人間関係が必要だという事だ。


今の俺はたった1人の友達も、たった1人の知り合いもいない、社会的にはたった1人の孤独な世界の中にいる。


普通の人は、こんなに孤独なら「寂しい…」という感情が心の中に芽生えるはずだが、今の俺の心の中には寂しいという概念さえなくなってる。


長年に渡り、俺自身が毎日のように激しいモラハラを受け続けたから心が壊れてしまってるのかも知れないが、今はどんなに長い時間を1人で過ごそうとも何も感じない。ただただ、孤独な時間だけが過ぎて行く。


孤独で寂しいと思う感情は時として凄まじい力を生むと思う。寂しいから知り合いを作ろうとするし、寂しいから友達や恋人を作ろうと人は懸命に努力するのだ。


今の俺には人間関係を構築しようとするエンジンとも言うべき寂しいという感情が無くなってしまってるので、孤独になってもう4年以上の月日が経っているのに再度人間関係を構築しようとする気力がまったく湧いて来ない。


だから俺という人間が、どんなに腹黒い人間だったとしても今の俺は人の陰口や悪口を絶対に言わない善人として生きられてる。孤独になって分かったが、人の陰口や悪口は周りの人間関係があってこそ言えるのだ。


と言うことはだね、極論を言うと人が善人になったり悪人になったりするのは、周りの環境次第とも言える。


だから今、嫌いな人を憎んで、陰口や悪口を言ってる人。その人がもしそんな自分に嫌悪感を抱き悩んでるとしたら、あなたは決して悪人ではない。人を憎む自分に嫌悪感を抱くという事はあなたの本当の心は染まりたくもない黒い色に一時的に染まってるだけだ。


環境さえ変われば、きっと本来の自分の心で生きれるはず。


だからこそ、何モノにも染まらず生まれて来た赤ちゃんは真っさらであり純真なのだ。


その瞳は深く清く澄んでて、まったく穢れてない。


という事はだな。この真っ白な子供の心のキャンバスをどんな色に染めるのかは周りの大人が作り出す環境や言動が非常に大事だと言える。


今は心が汚れてしまった俺でもね、山奥育ちだったのもあるけど高校を卒業して故郷から飛び出すまでは、かなり純真だったと思う。


そう言えば、小学生4年ぐらいだったかな。今では本当に馬鹿だとは思うけど、当時の俺はドラゴンボールに夢中だったから特訓したら本当にかめはめ波が出せると思って、1人で必死にかめはめ波のポーズを繰り返していた。


今なら絶対にムリだと分かるのに、この時の俺は頑張ったら絶対にかめはめ波が出せると信じてた。そして何回も何回も、


「か〜め〜は〜め〜波!!!!」


と、1人で必死にかめはめ波のボーズを繰り返してたのだ。


これは本当の話ですよ、みなさん。


俺って馬鹿でしょ。大人から見たら無駄な努力をしてる馬鹿な子供でしかない。


でも、俺に限らず小さな子供は本当に抱きしめたくなるほど馬鹿で可愛いんです。


だから絶対に小さな子供の心のキャンバスが悪い色に染まらないように周りの大人が守るんです。

 
この時の俺の心のキャンバスは、まだまだ白いままだった。


俺には6つ離れた兄がいるんだが、その兄はかなり頭が良くて高校生の時はずっと学年1位の成績で、生徒会長もしてた。その兄がだね、毎日のように夜中まで勉強をしてたんだが、ある時からおかしな行動をするようになったんだよ。夜中にトイレに行って、なかなか部屋に帰って来ない日が頻発しだしたんだ。


兄と俺は同じ部屋の二段ベッドの上下で寝てたんだが、ある日の夜中、兄が勉強机の一番下の引き出しから何かを取り出して、それからトイレに行くのを俺は二段ベッドの上から目撃をしてしまった。今の大人の俺ならもちろん思春期の兄の行動の理由は分かるんだが、その当時の心が真っ白シロ助の俺は兄の机の一番下の引き出しの中に何かとんでもないお宝があると疑っていた。


だから俺は、兄が部活で遅くなってる時に、海賊王ならぬ山奥の山賊王ことゴールド・ロジャーとなって、兄の机の引き出しの中に眠ってるお宝のワンピースを目指して、机の一番下の引き出しを「エイヤー!」と気合いを入れて開けてみたんだ。


すると!ななっなんと!そこにあったのは、青いお目目の金髪ギャルがお股をおっ広げて、そのお股の真ん中には少し黒ずんだマンピースが塩水を浴びながらキラキラと光り輝いてる裸の写真集があるではないか!!


……この時の衝撃たるや!今でも忘れられない!この時の俺には性欲という魔物がまだ備わってなかったから、当時の兄の行動がまったく理解出来なかった。俺は幼心に、


「兄ちゃん……兄ちゃん……どうしちゃったのさ?!なんだよこれは?!我がビタミン家はプロレスが好きだったんじゃないのか?!なんで長州や武藤敬司のような戦う男たちの逞しい筋肉の写真が掲載されてる週間ゴングじゃないんだ!!なんで金髪ギャルが1人でスッポンポンになってる写真を兄ちゃんは大事に大事に引き出しの中に保管してるのさ?!」


この時の兄の摩訶不思議なお宝を見た衝撃的な出来事は、当時の俺にはかなりのショックな出来事であり、この後、中学生になってすぐに性欲開国した俺の心の歴史には「黒船来航」のペリーが日本に開国を求めたように、俺にとっては「黒アワビ来航」として心の1ページに強く刻まれた事件だったのだ。


確か、この写真集の外国人女性モデルの名前は「マルガリータ・ペリー」だったような気がする(多分)


この時の俺の心のキャンバスの色は全体的に少しピンクになった。


そんな俺も高校を卒業して就職する事になり、そこで初めて大人の恋をする。


この恋は俺の年上女性への片思いだったのだが、なんと俺が恋の相談をしてた男の先輩と俺が片思いをしてた女性が、俺に隠れて陰でコッソリ付き合ってたのが後になって発覚した。つまり俺の切ない恋心は俺の相談してた先輩の口から、その意中の女性に全部筒抜けだったというわけさ……


俺はなんて、愚かで惨めなピエロだったんだ。


大人の恋愛って、人に嘘ついて陰でコッソリ付き合うものなのか?


この時に俺の心のキャンパスは、その全てが真っ黒に塗り潰されてしまった。


人って、こんなに平気で嘘を付くのだと俺はこの時思い知った。


さらに付き合ってたのが俺にバレた途端に二人はすぐに別れた。


でも、好きで付き合ってるのなら別れる必要はないじゃないか?


俺が勝手に好きになっただけの恋だ。


俺にバレたとしても、そんなの関係ない。そのまま付き合えばいいのに。


しかし、男性の先輩の方が、この女性に本気じゃなかった。だから周りに秘密にして隠れて付き合ってた。


後で聞いたが、俺が好きだった女性の方は先輩の男性を本気で好きだった。だから別れ話の時に激しく泣いてたと別の人から聞いた。


結果的に俺が彼女の恋を終わらせたのだ。


俺が勝手に好きになったから。


だから、今でも罪悪感に囚われ、勝手に好きになったのを今でも後悔している。


人を好きになったら、誰かを傷付ける可能性があるのを知ったあの日。


俺は無色透明の色が付いてない世界から生まれて来たのに、もう二度と無色透明の世界には戻れない。


無色透明の世界から生まれて来た俺の心は、今ではすっかり汚れて、いろいろな汚い色が付いてしまったまま時間だけが過ぎ去ってる。


俺は大人になり、知らなくていい事まで知り、好きにならなくていい人を勝手に好きになり、そして、その人を傷つけた事への後悔と、好きな人の幸せを奪ってしまった罪悪感を今でも思い出す。


無色透明とは色が付いてなくて、透き通っている事だ。


全ての人は無色透明の世界から生まれて来たのに、世界のある組織は7歳の子供にも殺人を教えてる。どんな色にも染まってない穢れなき心のキャンバスをいきなり真っ黒な罪深い色に染めて、子供にはその色が悪いのかさえも教えないままに大人にさせてる。


全ての大人は無色透明の綺麗な世界から生まれて来たはずなのに、そして自分でも悪い事をしてると気付いているのに、それでもまだ悪い色に染まり続けてる大人もいる。


だからせめて、少しでも悪い色に染まった事を後悔してる大人なら、無色透明な世界から来た子供たちが、少しでも良い色に染まって育つように優しく導くべきだ。


そうすれば、世界は良い未来に繋がって行くだろう。


無色透明の世界から良い未来に色付けを。


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