「カード・カウンター」とアブグレイブの闇
頭の中を巡る自責の念が抜け出すことを待つ。カードを数えて。
映画「カード・カウンター」を鑑賞しました。
ポール・シュレイダー×マーティン・スコセッシの最強タッグが再結成した話題の作品です。
オバマ前大統領をはじめとする、多くの著名人が2021年のベストムービーとして選出しています。
しかしながら、初見で私は今一つ面白さを実感できませんでした。
重く暗い雰囲気に加え、政治的・軍事的な知識がある程度必要で、私にそれがたりなかったからだと思います。
しかし、映画鑑賞後に色々調べてみて、「あ、なるほど!そういうことだったのね!」と感じ、今ではもう一度観たいほどの作品になっています。
今回の記事では、「カード・カウンター」を楽しむためのポイントや、鑑賞前後に押さえておきたい知識をご説明いたします!
スコセッシ×シュレイダー
今作は、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務め、ポール・シュレイダーが監督と脚本を務めています。
この二人、なんとあの「タクシー・ドライバー」や「レイジング・ブル」でもタッグを組んでいるのです。
いくつかの作品を手掛けた後、二人は別々に仕事をし、それぞれに映画を作ったわけですが、別に仲違いしたわけではないそうです。
お互いに今でもメールのやり取りをするほどの仲で、ポール・シュレイダー監督が、今作を手掛ける際、資金調達のために「スコセッシの名前あったら金集まりやすいんじゃない?」と考え、オファーしたところ快諾してくれたのだとか。
名前貸しのような感じなんですね笑
でも、お互いに信頼関係があるからこそ、なせる業なのでしょう!
タクシードライバーと似ている?
今作は、「タクシードライバー」と少し似たところがあります。
それは、主人公がどちらも待つ男であるという点です。
ポール・シュレイダー監督はインタビューで以下のように語っています。
確かに、トラヴィスも受け身で、どこか自虐的なキャラクターで、今作の主人公ウィリアム・テルに似ています。
ちなみに、ラストシーンもどことなく、「タクシー・ドライバー」に似ているような雰囲気ですよ。
ショッキングでありながら、どこか救いのある、あの独特の雰囲気です。
主人公ウィリアム・テル
今作の主人公の名前はウィリアム・テルです。
この名前、どこかで聞いたことがあるなと思ったら、これですね。
スイスの童話や伝説で、我が子の頭にリンゴを乗せて矢を放つ男の名前です。
オーストリアの悪代官が自分の帽子に敬礼をしなかった弓の名手テルに、息子の頭の上にのせたりんごを射るように命じたという話で、
伝説によると、その後テルは悪代官を殺し、これを機にスイスは独立に向かったとされています。
「カード・カウンター」では、元上官に復讐することや、出会った少年を助けようとする要素が多分に含まれています。
確かに、ウィリアム・テルの伝説と、今作の流れはよく似ているので、もじった名前であることは間違いなさそうですね。
背景にある実在の事件
ここからは、映画の理解を深めるためのポイントを解説します。
「カード・カウンター」はアメリカで実際にあった事件を背景に作られた作品なのです。
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今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画「カード・カウンター」について解説しました。
少し重い雰囲気の映画ですが、「タクシー・ドライバー」を思わせる雰囲気や、アメリカの反省点を正面から突き付けたメッセージ性の強い傑作です。
ブログでは映画に関する情報をたくさん紹介していますので、興味のある方はぜひ遊びにいらしてください!